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更新2007/12/13
「亜硫酸の形態」の部分、一部訂正しました。 いよいよ亜硫酸について。 1は亜硫酸の役割と形態を書こうと思う。2以降は、ワイン造りでの実践、資料が揃えば亜硫酸の毒性なども書きたい。 あまりに多様な効果があり研究が進んでいるので、知られている事が沢山ある。よって書籍でもかなりのスペースをとって記載されている。 市販のものでは、水溶液で売られているもの(フランスでは主流)、ガスの状態、カリウムと結合させた粉の状態(日本では主流:メタカリ)などがある。もちろん、従来の硫黄を燃やして得られる二酸化硫黄もある。日本では持ち運びや保存性でメタカリが選択されてきたのだろうが、カリウムが存在するぶん除酸と同じ効果を持つわけだから、違うものにするという選択肢もあると思う。 亜硫酸の役割 1.酸化防止 果汁の時点で酸化する成分としては、色素やタンニンなどフェノール類、香り成分(プレカーサーも含めて)などがある。ワインでは特にアルコールの酸化が問題になる。貯蔵上の欠点で言うと、鉄の酸化による混濁がある。この役割に代わりうる物質は、アスコルビン酸である。 2.殺菌(発酵の抑制) 菌や細菌を抑制する事が目的。そして亜硫酸耐性のあるサッカロミセス・セレビシエが登場して問題なくワインになるという寸法。適量の亜硫酸管理によって、乳酸菌やブレタノミセスによる汚染を防ぐ事が出来る。この役割に完全に代わりうるものといえば熱殺菌くらいしかないが、乳酸菌へはリゾジーム、酵母へはフィルター、ソルビン酸、脂肪酸、DMDCという手もある。 3.酸化酵素抑制 葡萄自体にも元々あるが、カビが多ければそれだけ酸化酵素も増える。その活動を亜硫酸によって抑制する。 4.アルデヒド類との結合 これはワインでの問題。エタノールが酸化してエタナール(アセトアルデヒド)になる。これは酸化したリンゴのような香りとか、マディラのような香りと表現される(Gout d'event)。これは非常に亜硫酸と結合しやすいので、亜硫酸を入れることによってその香りを抑制できる。もしくはアルコールがエタナールに変わること自体も抑制できる(酸化防止)。 亜硫酸無添加のワインでは、余韻にもわっとした旨み、造り手仲間では「オエ味」、飲み仲間であるソムリエ大越さん曰く「麦汁の味」を多く感じる事がある。これはフランス語では、「Gout de souris 野鼠の味」といわれるもので、原因は亜硫酸が切れていることによるエタナールの香味、そして乳酸菌やブルタノミセスの関与も指摘されている。よって、全て解決するというわけではないが、この野鼠の味があるときは、亜硫酸を少し入れると余韻がすっきりする事が多い。 以上が直接的な効果。以下は、亜硫酸による2次的効果。 5.清澄作用 6.色素の安定化 7.ワインの味を締める(ミネラル感を与える) 8.還元臭の原因 …などなどがあるが、挙げるときりがないような気もする。 亜硫酸の形態 SO2+H2O⇔H2SO3 これが亜硫酸の生成過程。二酸化硫黄ガスが水に溶け込んで初めて亜硫酸となる。二酸化硫黄ガスは簡単に水に溶けるが、一応水の中ではガス状態(SO2)と亜硫酸(H2SO3)の平衡状態が存在している。このH2SO3という状態が、亜硫酸がもっとも効く状態である。よってフリーの亜硫酸の中でも最も強い効果を持つ(SO2 actif)。 この状態だと、対酵母・対乳酸菌・対酸化・対酸化酵素・味の引き締め効果すべてに効果がある。ただし多すぎると、亜硫酸の香味ともに強く感じてしまう。 H2SO3⇔(H+)+(HSO3-) 亜硫酸が一つの水素原子を離してしまった状態。アルカリ性物質と結びついて塩の状態を作っている。このH2SO3とHSO3-のバランス(pK:酸解離定数)は、液温、pH、アルコール度数などにより変わってくる。上記のSO2 actifより効果は弱いが、一応前者とこれを合わせてフリーの亜硫酸ということになる。H2SO3との平衡状態なので、この状態だとまだH2SO3に可逆である。 この状態だと、対酵母・対乳酸菌はそれほど期待できないが、対酸化・対酸化酵素・味の引き締め効果は期待できる。この状態だと特に香りはないが、味覚上で塩味や苦味を感じる。 HSO3-⇔(H+)+(SO3 2-) HSO3(Bisulfite)がさらに一つの水素原子を離してしまった状態(Sulfite)。こうなると亜硫酸としての機能はほとんどない。SO3はピルビン酸など微生物などの代謝物質やエタナールと結合している。エタナール以外の物質の場合、結合力がそれほど強くないのでまだHSO3-と可逆だが、エタナールと結合するとほぼ不可逆状態となる。 この状態だとほとんど効果はないが、対細菌性は若干ある。亜硫酸トータルが多ければマロラクティック反応が起こりづらくなるのはこのため。通常の添加量では味も香りもない。 亜硫酸が最も結合しやすい成分は、今まで書いたようにエタナールである。結合しやすさを数字にすると、エタナール99.7、ピルビン酸28、ガラクチュロン酸10、グルコース0.03である。グルコースにはアルデヒド基があるので、亜硫酸と少量結合する。 この3つの状態が亜硫酸の主な形態である。これらの状態は、pH、温度、ワイン中の成分によってかなり変化する。とくに重要なのがpHで低いほど亜硫酸効果が高い。その理由は低pHだとH2SO3の比率が高くなるからである。エタナールや微生物の代謝物質は葡萄のカビや酢酸菌が多ければそれだけ多くなるので、これが綺麗な葡萄を取りましょうという理由である。 [ワイン学]カテゴリの最新記事│<< 前へ │次へ >> │一覧 │コメントを書く │ 一番上に戻る │ |
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