カテゴリ:映画
シネカノン有楽町2丁目にて『アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生』観賞
写真も良く知らない素人で凡人がこれだけ感動するんだから、関係者が絶賛するのも当然だろう。 もちろん彼女の写真自体に惹かれて、彼女に興味が湧き映画を見に行ったわけだが、冒頭に表れるアニーの名を呼ぶ著名人たちの怱々たる顔ぶれ、そして次々に表れる作品でこれから語られる彼女の人生がとてつもなく興味深いものになった。 そして本当にものすごい数々のエピソード。 劇中でも褒め言葉として再三言われているが、ポートレイトからはまるでカメラがそこにはないような被写体の姿を見てとれるし、セットを組んだ写真からは詩やストーリーを想起させる。 素人でもだ。 もちろんだからといって本当に解説ができたり、ストーリーがスラスラ出てくるわけではないけれど、オノヨーコの言う通り、「魂」を、内面にある真実の姿を撮ろうとしているのが伝わってくる。 だから素人でも何かしら感じることがあるんだろう。 そんな写真家のドキュメンタリー映画はまるで音声解説付きの動く作品集。 テーマ事に写真集をまとめる仕事をする場面を合間、合間に差し挟むことで彼女の歴史を順を追って回想しているベストアルバムのような印象を抱いた。 セレブリティ達が彼女に撮られる理由、それは彼女が「写真家」だから。 それらしいことを言いたいのではなく、それ以外に適当な表現が見つからない。 「写真」でしか切り取れない人生の一瞬。 しかしそれは永遠に残る記録であり、だからこそ本質を残すべく彼女にだけは撮らせるのだろう。 彼女の人生そのものが写真であるという事実を我々に伝えてくれる飾らないドキュメンタリーにも関わらず、ストーリーとしても大変興味深く、面白い傑作だ。 《ローリング・ストーン誌 日本語版》 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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