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★のんびり生活 ~北の国から~★

★のんびり生活 ~北の国から~★

2005年6月

6月9日 「Penso, dunque sono / Ich denke, also bin ich」

Due anni fa quando sono arrivata qua per la prima volta
non ho mai pensato di stare con lui da tanto tempo.
Stavo pensando - forse sei mesi, forse un´anno,
non sapevo di niente, e non pensavo di niente.

Certo che volevo sempre andare in germania,
ma non ho voluto mai "ragazzo tedesco".
Dei ragazzi tedeschi non mi sembravano fascinosi...
Ma il mio fidanzato e´ proprio tedesco e
ho notato ultiimamente che e´ tedeschissimo infatti.

Qualche giorno fa mi diceva che vuole fare
tutte le cose che mi fanno felice,
e che vuole aiutarmi a realizzare il mio sogno.
Mi dice che mi ama di tutto cuore,
e adesso lo posso vedere bene perche´ sono vicina a lui.



Mi sento molto bene che abitiamo insieme.
Quando devo uscire, gli dico ciao.
Quando deve uscire, mi dice ciao.
E qualche volta usciamo insieme.



Pero´ ----

Strano che siamo ancora insieme.
Strano che ci siamo conosciuti.
Strano che ci amiamo.

Perche´ sono qui?
Sarebbe meglio se torno a casa mia?
Ma dove posso tornare?

Come sara´ il mio futuro?
Come sara´ la mia vita?
Come sara´ la nostra relazione?

Ho bisogno di smettere di domandarmi queste cose
perche´ le solzioni non esistono fino a che il tempo viene.


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6月10日「平凡な一日」

ルパンはまた夜のお仕事中。(ヒロシみたいにホストのお仕事じゃないよ)

ルパンが最近とてもやさしい。気持ち悪い。

今朝、わざわざ駅まで車で送ってくれた。
自分はすることないのだから寝ていればいいのに。
送ってもらったのに、なぜか遅刻した。

午後家に帰るととても幸せそうで
「幸せだ、幸せだ、あーなんて幸せなんだろう!」
と、お経のように唱えてきた。気持ち悪い。

夕方一緒に買いものに行くと、
「僕幸せだよ。」
となぜかドイツ語で言ってきた。

ルパンは私にドイツ語を話させようとするけど
なぜかルパンとは恥ずかしくて離せない。
最近友達になった香港スターみたいなかっこいい中国人とは
ドイツ語で話せるのに。
と言うか、ドイツ語しか共通の言語がない・・・。

平凡な生活こそ幸せなはずなのだけど。


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6月11日「マイン・シャッツ ルパンアイシュテル!!

ルパンじゃないおとこのヒととうわきした。

ュめのなかで。

(ルパンとなにかしてもうわきではない。)

こうふんしてそれをルパンにしらせたら

ルパンはいじけてしまった。

くるしュうない, ちこうよれ!!!!

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6月18日「un giorno in germania」

しゅうまつにルパンのおやにおよばれして
べつにたべたくもないバーベキューをたべた。

ルパンのおやは、
こんかいはドイツごではなしましょうか、
なんて言う提案をしてきたけれど
けっきょくまたイタリアごではなした。

わたしからのおみやげにもおおよろこびで
しまいにはルパンのこどものころのビデオまでみせられた。

ルパンははずかしがりながらもなんだかうれしそうで
わたしにべたべたとはりついてきた。

ルパンのおかあさんは
わたしがドイツごをねっしんにべんきょうしているとおもっているらしく
しきりにルパンに
゛フジっ子にドイツごをしっかりおしえてあげなさい゛などという。

ルパンは゛もちろんだよ。゛なんていっているけれど
ルパンにドイツごをならったことなんていちどもない。
べつにおそわるきもないのだが。

かえりぎわもルパンはなんだかんだうれしそうで
゛きょうはうちのおやもうれしそうだった゛なんてこぼしていた。


わたしのおとうさんとおかあさんは北海道にいて
わたしはどういうわけか―――じぶんのけつだんだったけれど
ドイツにながれついてしまった。

ルパンがまたおやによけいなことをいったらしい。

゛うちのむすこが、フジっ子はさみしがってるっていってたけど。
ほんとうに?だいじょうぶなの?゛

゛はいそうです。にほんにかえりたいです。
だからしゅうまつにちょっとかえってこようとおもいます。
ついでに北海道にもいってこようかとおもいます。゛

なんていえない。
いったところでなんにもならない。

でもルパンにはいえるとおもった。

゛ルパン。
べつにわたしはこれがはじめてのがいこくせいかつではない。
イタリアでもうまくやったしアメリカでもだいじょうぶだった。
でも今日本にかえりたい。゛

わたしはないてしまった。

なぜかえりたいの、
ときかれてもっとなみだがでた。

ああそうだった。
このひとドイツじんだったんだ。
いまここはドイツでドイツじんのルパンには
ほしいものぜんぶそろっているんだった。

日本がこいしいだとかなんだとかいっていても
結局日本はかれにとってただのがいこくなんだった。

にほんじんであるわたしが
にほんにかえりたいということにたいして
かれは゛なぜ゛ときいてきた。

あれ、
このひとわたしのなんだったっけ?

゛きみのことはきみいじょうによくしっている。
ぼくはきみをあいしているし、いちばんのりかいしゃなんだ。゛

なんていっていたけれどいまだになっとくできない。

゛きみはぼくといっしょにいることができてしあわせではないの?
ぼくたちがいっしょにいられてよろこんでいるのは
まるでぼくだけみたいだ.....。゛

だからそうではなくて.....。

しょくよくがでない。
あつくてますますたべたくない。
もうあぶらっこいものはたべたくない。

゛かさばるからいらない。゛

といいはって ほんのすこししかもってこなかった
ははのてづくりうめぼしが
いまこんなにおいしくかんじられるなんて。

ああ、おかあさんはどんなおもいでわたしを成田でみおくったのだろう。

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6月23日「だれかがわたしのために」


なんとなくルパンとくちをききたくなかった。
なんとなくむかついていて
一緒の空間にいることがいやでたまらなかった。

だからわたしが家にかえってきて
ルパンが゛おかえり゛ってむかえてくれても
そっけない態度をとって
そのままかいものにいったりした。

ルパンのすすめるごはんを全部拒否して
くちもろくにきかずに数日すごしていた。

さすがにルパンも心配したのだろう。


わたしがあさはやくでかけるときに
゛いってきますのチューをして。゛
とあまえてきたけれどわたしはめもみないで走って家をとびだした。

げんかんにたったまま
゛フジっ子、フジっ子、どうしてチューをしてくれないの。゛
とルパンはかなしそうにいった。

そのひルパンはケイタイ電話に
゛今日はぼくがごはんをつくります。゛
とメールをおくってきた。

ひる御飯に友達と中華料理をたべたし
よるはかるくしたいのに。。とおもっていたので
゛いりません。ゆっくりしてください。゛
とへんじをした。

すると
゛ほんとうにいいの?だって君のだいすきなものだよ。゛

どうせすしでもかってくるのだろうとおもった。

いえにかえると
ルパンがわたしをめかくししながらだいどころにつれていった。

゛君の為にぼくが今日はごはんをつくります。゛

といってひつじさんがみせてくれたのは
゛こくまろカレー゛のルウ。

゛みのり゛と言う名前の日本まいまでかってあった。
たかいのに。

゛てつだおうか゛

といったけれど、
じぶんでやるといいはった。

おこめのたきかただってわからないのに。

カレーなんてわたしがなんどもつくってあげてるのに
全然作り方はおぼえていなくて、水に直接ルウをとかしはじめた。
そのなかにフライパンで別にいためたブタにくをなげこみ
パプリカをきざんだものもなげこむというつくりかた。

そのすがたがなんともけなげで
むねがいたくなった。

だれかがわたしのためにつくってくれるごはんはやっぱりおいしい。

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6月24日「ルパンとの何気ない日常」

以前友達と飲みに行ってひとりで電車で家にかえったら
トルコ人をはじめ、色々な殿方に声をかけていただいたがちょっとこわかった。

ある男性は時刻表を見ている私に突然話し掛け,

"あなたはとてもうつくしいからモデルになるべきだ。
興味があれば仕事を紹介する。
ひと月5000エウロかせぐことができる。"

といった。

一体どんなモデルだ!

本当に私はトルコ人にモテる。
アラビア人にもモテる。
アジア人だから注目浴びるのか、はたまたただ単に私にスキがあるだけなのか。

ちなみにドイツ人には"ドイツ人嫌い"オーラをはなっているのであまりモテない.
ふん。別にモテたくないもんね-!!!!!

おっさんに突然投げキッスを道でおくられたこともあるし
おっさんに電車の中で何度もウィンクをされたこともある。
ものすごいモテっぷりである。(ドイツ人以外に)

そんな訳でルパンは私にあまりひとりで出かけてほしくないらしい。
昨夜も私は友達と飲みにいったのだけれど、ルパンてば、

"もし君が望むなら仕事がおわってから行ってあげるよ."

というようなメールをおくってきた.

べつに私はのぞんでいないけれど,
こういう書き方をするというのは,ルパン自身がきたいってことね...
プラスひとりで家にかえらすとまたろくなことがないから嫌だということね...
と察したかしこい私は

"きてもいいよ。XXXX通りだよ。"

と返事をおくった. 

するとルパンは


"その通りまでフリーウェイでどうやっていったらいいの?"

なんてきいてくるので私はこまってしまい
一時間後にルパンから電話がかかってきたときに
近くにいるドイツ人に電話越しに説明してもらった。

到着するとルパンはややご機嫌ナナメで、

"なんでもっと早く教えてくれないんだよ."

と文句をいわれた. 

べつに来てってたのんでないのに....ちっ.......

結局ルパン仕事かえりだったし
申し訳ないから早めにひきあげることにした。

"ボク本当にしあわせ. 
今までこうしてどこかで仕事がおわった後に
合流して出かけたりすることができなかったけど今はできる。
すごくすごくしあわせ。君もしあわせですか?"

なんてかわいいことをねる前にいいだしたルパン。

"君が家に帰ってくるときにご飯をつくってあげるのが好きです。
君のために果物を買ってあげたりするのも僕のよろこびです。
この間映画を一緒に見にいって、
君は途中でねむってしまったけれどそんな君を本当に愛しています。

君が行きたいといっていたベルリンに一緒に行きたい。
ミュンヘンにもいきたいといっていたから連れていってあげたい。
またはまだ一緒にいっていないアムステルダムへいったり。
一緒にしたいことがたくさんたくさんあります。

やっと時間を気にしなくてすむようになった。
やっと同じ時間,同じ場所にいられるようになった。
また離れ離れになりたくないです。"

"もしまた離れ離れになったら別の彼女をみつけてしまう?"

ときいてみた。

"そんなことは一度も考えたことが無い.
むしろ君がいつもかなしんでしまうから
つきあっていくことがむずかしくなってしまうのではないかと心配する。
この2年間、僕は君のことだけ考えてきた。
一緒のときも離れているときも。
だからもし万が一また離れ離れになっても僕の気持ちはかわらない。

だってこれは愛だから。"


だってこれは愛だから..

もし私が日本にまたかえっちゃったら?
もし本当にかえってしまったら?

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6月26日「ドイツの日曜日」

ドイツの日曜日はたいへん退屈である。
イタリアの日曜日もたいへん退屈であった。
よくよく考えてみればアメリカの日曜日も退屈だった。

なぜか?

日曜日に店がしまるからか?

いやちがうちがうそうじゃない。

デートする相手がいないからか?

いやちがうちがうそうじゃない.

笑点がみれないからだ!!

夕方にはあのリズムが必要だ。

ちゃっちゃかちゃらららすっちゃっちゃー

ルパンが今日ウザかった。(今日にかぎらないが)
友達からの携帯メールにやたら反応して男か女か気にしていた。
その友達と電話中にメールが2-3通来て
何をしているのか、暇じゃないかきいてきた。

仕事しろ!

明日遊園地に行こうとしつこい。
明日は用事があるから行きたくないし
ルパンも夜に仕事があるからいやだといったら

"バカなフジっ子、君は退屈な女だ。"

といわれた.

ふんだ.

あたしはルパンよりはおもしろい女だわよ。

"ドイツって本当につまらないだろう。
ああ、コンビニさえあればな。"

と昨夜ルパンがこぼしていた。

コンビニがあっても退屈さはかわらない気もするけれど少しはマシだろう。
でもドイツにコンビニできても品揃え悪そうだな。

先日飲みにいったときにルパンがやや強引に乱入してきたせいで、
友人がルパンを"夫"呼ばわりする。

夫がもうすぐ帰ってくるのでブログはこの辺で終了である。

とほほ。

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6月27日「ドイツでの平凡な一日」

ルパンが夜の仕事に行ってしまったのでまたひとりの夜である。
(ホストじゃないよ)

さーって鬼の居ぬ間に....と羽をのばそうとした瞬間
電話がなっておそるおそるドイツ語で対応したら男の声が.

だれっ
だれっ
だれなのっ
とおたおたしながらあーとかうーとかいっていると

"チャオべッラ,XXXだよ."

とルパンのおとうさんだった.
(ルパンのお父さんは"ウンコ"みたいな名前なのですぐ覚えた)

チャオべッラって....
イモばっか食べてるくせにべッラとかいうな!!
おまえら妖怪人間べムべラベロよりも非人間的な生活してるんだよー!!
早く人間になってみろ!そして人間のたべるもの食べてみろ!!!!! 
(おいおい言い過ぎだろう)

"ルパンは今さっき仕事行ってしまわれた。ザンネンです。"

とつたないドイツ語でかえすと

"ハッハッハ、仕方ないな。またかけなおすよ、じゃあね。"

と言って軽やかに電話を切ったルパンのおとうさん。

今日は至って平和な一日で、 
夕方家に帰るとルパンがご飯の準備をしてくれた。

どうやら私が肉嫌いだとおもいこんでいるらしく、今日も魚だった。
(肉だって大好きなんだけどね)
魚といっても冷凍サーモンをフライパンで焼いただけである。
ルパンはそれにトンカツソースを、私は醤油とマヨネーズをぶっかけて食べた。 

"ご飯たべるときには米とかパンとかなきゃ食がすすまないんじゃボケ-!"


と先先週位にいったのがきいたらしく、米もたいてくれた。
なかなかの成長振りである。

食事がおわるとどういう風の吹き回しか

"アイスカフェでアイスをたべよう!"

と言いだした。

天気もよかったので2人でテクテクあるいていった。

そういえば2人で町まであるくのは久しぶりだなあ
なんておもっていたら早速トラックの兄ちゃんたちが私たちを見てさけぶ。

ああなんという田舎。

私はここに2年もかよい続けやっとここに住み始めたのに
いまだに人々の視線がこんなに痛いだなんて。

さすがにアパートの住人たちは
もう私がここにいることに慣れっこだけれども
町の中の私たちを知らない人たちにはやはり異様にうつるらしい。

ここがベルリンとかもっと大きな都市だったらな.....

家にもどるとなんとなくかなしくなってまた涙をこぼした。 

"家にかえりたい。でも私には帰る家がない。"

とうつむきながらいった。

"君の家はこことカナガワにあるよ。"

と言ってくれたのが何だかすごくうれしくってまた涙がでた。

めそめそしている私を心配して
たった今仕事場から電話をかけてきてくれた。
こんなときには本当にやさしいのだけれども.....

ジンギスカンが食べたいんだよ......

電話はいらんから羊の肉用意してジンギスカンをくわせろ~!

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6月27日「ぼやいてみる」

今日しごとにいくときルパンが着ていたTシャツには
"ジャパン"と横文字ででっかくかかれていた。
背中にはもちろん日の丸がえがかれているというものすごいTシャツだ。
でもアデイダスのTシャツなんだぞとルパンは私に自慢してきた。
一体どこでこんなモノを手にいれたのかというと
(私はどうでもいいからきかなかったけれど勝手に教えてくれた)
クリスマスに同僚がプレゼントしてくれたのだとか。

彼女も車も日本製だから.....って。

微妙.....


ルパンの両親が2週間前に
私たちを招待してバーベキューをしてくれたときには
バーベキューソース(ただ焼いた肉にぶっかけるためのソース)に
何故か"アジア"とかかれたものが多数テーブルにならんでいた。

明らかに意識してくれている。みえみえだ。
まあでも気をつかってくれるのはありがたいことだ。

飲み物を勧められると私は大抵水をたのむのだけれど
この日隣にすわっていたルパンのお母さんが
なにやら怪しげなものを私に勧めてきた。

"コンブーチャーコンブーチャ-"

としきりにいっている。

"ブ"にやたらアクセントがおかれていたので何のことだかサッパリだった。

林家コンブエ-??....じゃないし 

このお母さんが笑点みたいな粋なものをしっているはずがない。

お母さんのもってるビンをよくよくよむと横文字で"コンブチャ"。
なるほど、 昆布茶か。
でも昆布茶ってビンにはいってうってるものだったっけ。
まあそんなことはどうでもいい。とりあえずいただくことにした。

あれれ。ついでもらうとなんか赤いよ。
昆布茶って赤いものだったっけ。
しかもなんかシュワシュワいっているけれど。
微炭酸昆布茶とかって日本にあったっけ。
のんでもお茶っていうかファンタみたいなんですけど。

あれは一体何だったんだろうか。
だれか教えてください.........


またルパンの彼女(あたひ)が日本人だと知るやいなや 

"その嫁はよくはたらくか"

ときいてくる人がいたらしい。

あたしはかわれた嫁ですかい......

ええ、ええ、
ここはドイツの中でもとっても閉鎖された場所なようでございます。 
あーあここの住民になるべきではなかったのかな..
日本へ帰るべきかかえざるべきか...

もう何とでもいってくれ。 ふんだ。

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6月28日「イモ男」

私の朝ははやい。
別に早起きが趣味なわけではない。

ただ田舎にすんでいるので自分の野暮用がある都市まででかけるのに
時間がかかるから毎朝七時の電車にのるために六時には起きなければならない。

日本の大学時代に六時におきることなんてほとんどなかったのに
ここでは毎日六時起きをしているのだ。なんて健康的だろう。

ルパンが夜の仕事(ホストじゃないよ)のとき、
彼は私が丁度電車にのる頃に帰ってくる。
タイミングが合えば顔をあわせることになるが
大抵いれちがいで,その日の夜まであえないのがほとんどである。

ルパンが夜の仕事があったあるとき、
私はやはり野暮用のために朝七時の電車目指して駅へむかった。
こんな田舎では電車が日本のようにこむことはまず無い。 

ちなみに私がもう少し大きな町の駅で
乗り換えをするまでのる電車は2両しか車両がない。
(一体どんな田舎かって?かなりの田舎です)

そんなわけで電車にのって窓際でボーっと発車をまっていると
窓の向こうに何故かルパンのはしる姿がよこぎった。

あら。あたし朝早すぎて寝ぼけているのかしら. 


なんて思いながら外へ出て"ルパン"ってさけんでみるとやっぱりルパンだった。


"ルパン、何をしているの。
仕事がおわったのならさっさと寝床にはいって
イモの夢でもみなさいな。"

というと(いってない)

"君に朝ご飯をとどけるのにまにあいそうなのではしってきました。"

と言って近くのパン屋さんで買ってくれた
べルリーナー(ジャム入り揚げパン)をくれた。

イモ男もやればできる。
その調子で私に尽くし給へ!!(おいおい)

てな感じでますます高飛車な態度をとっていたら、
バーガーキングにいったときにボール紙でできた冠をもちかえって、

"僕のかわいい女王様のための冠"

と書いてくれた。

ちょっとこき使いすぎただろうか。

鼻水がでればちり紙をもってきてもらう。
喉がかわけば飲み物をもってきてもらう。
スパゲッテイの茹で汁をすてるときもあつくてこわいのでやってもらう。

(注)イタリア留学中にお腹を熱湯火傷したので、以来調理のお湯が怖くてたまらない。 

そのお礼の気持ちをこめて昨日は部屋を少し片付けた。

今日も野暮用から帰宅するとルパンが家に居たが
それについては全く触れずに、

"君さ、ねるときトレーナー着てたよね?あつくなかった?
夜さむかったなら窓をしっかりしめればよかったのに。"

と指摘されたので、

"だってさ、窓しめようとおもったけれど高すぎてとどかなかったんだよ.
ベッドの端っこもつかったけど無理だったから諦めた。"

(注)この家は屋根裏なので窓が屋根の形にそって
斜めに設置されているのでチビな私には窓が完全に閉められない。

といいかえした。
するとルパンは頭を抱えてため息をついた。

"君って君って本当に今までどうやって東京で生きてこれたんだ!!"

と何だかなげいていらっしゃる。あたし神奈川にすんでたけどね。

まあいいや、何のこっちゃとおもったら

"何で椅子をつかって窓を閉めなかったの?
君チンパンジーの実験しっている?
天井からぶらさがっているバナナを得るために
チンパンジーは道具をつかって工夫ができるかどうかっていう...
...君は猿人だ。"

.......


.........


..............


...................


........................


....猿人?????????


私猿人???????????


何これ????????????



恋人に猿人っていわれた私って一体何??????
何となくむかついてヘソをまげていると慌てて

"でもかわいいから大好きーあいしゅてる-"

と言いだすイモ男。

今度日本に一緒に行くときには
絶対恐れ山に連れていって置き去りにしてやる。

イモ国民に負けないために今日も私はドイツ語とたたかう。

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6月29日「スパゲッティ」


日本でたべるスパゲッティはとてもおいしい。 
和風スパゲッティなんていうのも私は大好きで
お気に入りはタラコスパゲッティである。

イタリアでたべるスパゲッティはもちろんおいしい。
お気に入りはカルボナーラとカツオのたまごスパゲッティである。

ドイツのスパゲッティは....悲劇である。

日本とドイツだったらドイツの方がイタリアに近いのに
一体全体何が起きたのだろうかと思う。

2年前初めてルパンに会うためにドイツへとぶことを決意した私は
ゼミの教授にドイツに行くので授業をさぼる旨を伝えた。
(サボるときは堂々と!)

ドイツ法の研究もする教授なので
私が突然学期の最中である六月にドイツへ行くことを決したのも
きっと学術的理由があるとおもったのか、

"気をつけてたのしんでらっしゃい."

とやさしく言ってくださった。

八日間のドイツ滞在を終えて帰ってきたときに教授に昼ご飯にさそわれた。

"さあ,フジっ子さん,ドイツでの体験を話してください!"

と笑顔ではなす教授。

まさか男に会いにいったとは言えず....
まさかフランクフルト空港で実質初対面の男の車で、
そのみしらぬ男の家にまで行ってとまってきたなんて
とても教育者には言えない...

ので適当に初めて見るドイツはイモくさかった、と教授に報告した。

教授はニコニコしながら、

"初めてドイツに一人で行って無事にかえってきた!
それだけでいいのです!"

と私の勇気??を誉め称えてくださった。
が、教授はこうもいった。

"どうです,ドイツのスパゲッティ、まずいでしょう!!"


実はルパンの家でスパゲッテイーをつくって食べたことはあっても
外でワザワザたのんで食べなかったのでよくわからなかった。

でもルパンが家でつくる簡単パスタは
確かにうなるほどおいしいものではなかった。
でもまあ許容範囲内だったのでながしていた。

そしてこの2年の間私は何度もドイツへ来たわけだけれども、
それまで一度もスパゲッティをレストランで食べたことがなかったのだ。 

別にドイツはスパゲッティが名物でもないし
敢えて食べたいとおもっていなかったのだが
今回ドイツでの生活がスタートし友人とあるときお昼にスパゲッティを食べて私は仰天した.

この量何?
ひとり分じゃないよね?
え?これひとり用なの?
何かやったら多いんですけど。 
味はどうかって?
え?これうどん?焼きうどん?
何かくちゃくちゃするけど??
アッリオ オッリオ エ ペペロンチーノの中になぜ豆とにんじん?

友人はカルボナーラを食べているが味がしないという。
うわー時間が経つとソースがブツブツしてきて気持ちわるい。 
たべれば確かに味がない。何故だ??

もういやだもういやだこの国でスパゲッティは食べてはいかん....

今日ルパンがまた夜の仕事(ホストじゃないよ)
に行く前にお弁当(?)をつくっていた。

いつもだったらサラダをつくったり私がスパゲッティをつくってあげるのだけれど
今日は私の機嫌がわるかったから自分でスパゲッティをつくっていた。

私はルパンのスパゲッテイーの作り方が非常に気にくわない. 

何故って麺を茹でた後ソースをフライパンでからめずに
器の上で麺にぶっかけるからである。
麺に油を絡めるわけでもないので
キシキシと麺はくっつき合い見事に食べにくくなる。
それでも彼はフライパンでソースと麺をまぜようとしない。

"フライパンでソースを絡めるといいんじゃないかな."

とアドバイスしたら思いっきり"なんでやねん"という表情とともに

"ハア?"


といわれてまたはらがたった。

"だって麺がくっつくし。フライパンでからめればくっつかないよ。"

といったら

"べつにただのお弁当だからかまわないよ。"


だってさ.....

私はお弁当だとしてもスパゲッティはくっついてないで
食べやすい方がおいしいと思うけれども
やはりドイツ人のルパンは食にこだわりがない。

私がいつもおいしくて体にいいものを
とおもってつくっている努力が一瞬無駄に思えてまたかなしくなった。

ドイツのスパゲッテイーはイモでできているのだろうか。
うー思いだすだけで胃が痛い。
嗚呼おいしいものが食べたい。

***********************************

6月30日「ハーフジャパニーズ、ハーフジャーマン」

今朝も私は野暮用のために六時に起床した。
我ながら本当に健康的な生活をおくっていると思う。

ルパンは夜の仕事(しつこいけどホストじゃないよ)なので
私が家を出るときにはもちろんまだ帰ってきていなかった。。

ボサボサの頭のまま
(ドイツ人がみんなヘンな格好をしているので私まで最近気がぬけてきた)
駅にたどり着くと見覚えのある姿が。

どこの誰かは 知らないけれど
誰もがみんな 知っている
月光仮面の おじさんは ~♪

(別にルパンが仮面をかぶっていたわけではない.)

"おはようシャッツ。"

と言いながらルパンは私にまた朝ご飯を与えて(?)くれた。
朝ご飯といっても別に駅で納豆と味噌汁をくれたわけではもちろんない。

今日はバターロールパンとゾンマークーヘン(夏菓子?)のふたつをくれた。
この間はべルリーナーっていうジャム入り揚げパンをルパンは私にくれたわけだが
実は私は朝に甘いものをたべるのがあまり好きではない。

イタリアにいたときに朝ご飯を友人と大学のバールでとるときも
ブリオーシュという甘い菓子パンが主な朝食で
付き合いで食べていたが頭の中は納豆で一杯だった。

私は朝からパ二ーニが食べられるタイプである。
朝からスパゲッティも食べられるし
晩ご飯の残りのカレーライスなんて最高の朝食だとおもっている。

とりあえずバターロールだけは電車の中でほおばり(かなり時間があるので)
残りの菓子パンは野暮用の休憩時間中に食べた。
バターロールを電車の中で食べながら色々考えてみた.  

この2年ルパンとつきあってきて私は彼に相当の回数文句をぶつけてきた。
愛情表現が足りないだとか言葉が邪魔して何もつたわってこないとか、
価値観がちがうからはっきり言ってこんな関係は馬鹿げているだとか。
普通の男の人だったら見切りをつけて私から離れていったはずなのに
ルパンは私たちの関係の中に相当の価値をみいだしていて
諦めずに私が満足するように努力してきてくれていたはずなのだ。
たとえ私がにぶくて我がままな尺度だけで物事を見てきたにもかかわらず。

日本にわざわざ会いに来てくれることも
日本とドイツで離れていても一生懸命関係をつづけようとしてくれるのも
私のことを好きだとおもってくれているからであるはずなのに
恋人ならそれくらい当たり前だと私はずっとおもってきた。

昔から相当の高飛車女で(別に美人でもないくせに)
好きだといわれると無意識にそれを利用して色々注文つけていたような気もする..


朝から甘いものをたべるのはあまり好きではないし
今日はあさごはんに家からリンゴを持ってきたから
ルパンのくれた朝ご飯は必要ないものだった.

それでもルパンがわざわざ仕事がおわって家に帰る前に駅まで来てくれて
私のためにパン屋さんでご飯を買ってくれたことがやっぱり今日もうれしかった。

今日の夕ご飯は私が支度をしてあげる、と言って支度を始めた。
すると携帯にメールが来たのでのぞいてみたら、
ルパンから"イッヒリーべディッヒ!"  

"ルパンてば同じ家の中に居るんだからアホなことしないでよ!"

といつもの調子で怒鳴りそうだったけれど
一呼吸おいたら今日は何だかそれがまたいじらしく感じられて

"私もあいしゅてる。"とかえした。

ルパンは普段わらわない。
私の友達に紹介するときが一番最悪で大体仏頂面をしている。
もう少し社交的になれないものかとも思うけれど必要に応じて話をしたりはする。
私の男友達は大抵ルパンに恐れをなして
ルパンがいるときは私にあまり話してくれなくなる。
(殺気をかんじるらしい)

私の方がよっぽど恥ずかしがりやで
ルパンの友達に自ら話しかけたりしない。(できない)
だからルパンの友達の多くは私のことを
シャイでちっさくてかわいい、感じのいい(なんでだ?)女の子と勘違いしている.

それはさておき、
仏頂面で嫌いな人にはとことんつめたく、
ある程度好きだとおもっている人に対しても
おもいっきり親切なことはないルパン。

"愛してる"人と、友達などのように"好き"な人の区別が
かなりハッキリとしているルパン。
不器用でタイミングがわるくて
かっこいいことは何ひとつできない。(してもきまらない)

せっかくととのった顔をしているのに
穴のあいた靴下はいて鼻クソほじくったり鼻毛ぬいたりしていちゃ
そりゃ女の子もいやがるでしょう。
(私の前で平気でやる。私も調子にのって鼻クソと鼻毛チェックをしてあげる。
え?きたない?でもあたしたちにはそれが普通(?)なんざます。)

最近ふとってきた(2年前より確実にお腹が出てきている)
と言いながら夜食を容赦なく食べほして私のお菓子まで食べてしまうルパン。

でもいいとこあって私がまたポロポロないていたら

"君はきっと夢をかなえることができる。
君はいつも目標を立ててそれを実現させてきた。
イタリアでも勉強して大学で法学の学士までとった。
君になら絶対に夢をかなえられる。
ボクはそれをどんな形ででも応援していくつもりです。"

なんていう。

ルパンの前につきあっていた恋人も
最初は同じようなことをいっていた。

私が大学を出たら結婚しよう、それからまた夢を追えばいいだろう。
私がすることすべて応援するといっていた。
けどイタリアに行くといったらキレてしまった。

不思議なことにルパンは私が日本にいてもジャマイカにいても
愛してくれる気がするのだ.

きっと私はさみしいと言って泣くだろうし
つらいと言ってくじけそうになるだろうけれど
ルパンはきっと私をおもってくれるんだろうなと今は確信できる.

冗談で言ってみた。

"日本に帰る。そうしたらもうドイツにはこない。"

そうしたらルパンはそれを本気にして
自分の通帳とお給料の計算をしだして
悲しそうな顔をしながら

"最短で四ヶ月で君に会いに行くだけのお金がたまるから..."

って言ってくれた。

ああ、この人は本当に.....



"この2年間で君は僕をハーフジャパ二ーズ,ハーフジャーマンにした。"

と今日ご飯を食べながらルパンがいった。


私はハーフジャーマンにはなっていないかもしれないけれど
心の中がハーフルパンになってしまった、
とはなんとなくはずかしくて言えなかった。

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