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カテゴリ:読書 小説
西澤保彦の初期作品はSF設定を取り入れた本格ミステリーという体裁のものが多く、そのSF設定もどことなくふざけたものが多いため、スチャラカSFというジャンル分け?されたりとしていたわけであり、SF小説をメインに読まない私としては非常に目新しく感じ、特異な設定をつける事によって、他の本格ミステリーにはない思考法を必要とするという事で非常に面白く好きだったりしたものです。
特に「七回死んだ男」は私の中では一番お薦めの作品というくらい、スチャラカSF本格ミステリーは、もっとやっていいのではないかと思ったりするのですね。 しかし、この手のSF設定を取り入れたものは、「チョーモンイン・シリーズ」が始まってから、すべてこのシリーズに使われてしまったと言っても過言ではない・・・・ と思ったのですが、過言ですかね。 一応「笑う怪獣」という怪獣が登場するバカ作品なんていうのもありましたから。 少なくとも初期作品と比べるると非シリーズもののSFというのは久しぶりすぎるくらい久しぶりと感じられるものであり、まだこの手の作品を書く気はあったのだと喜んでいたりします。 物語は、22歳の主人公が気づけば31年後の世界で53歳になっていたというものになりますが、時間をスキップしただけではない状況でというものになるのですが、ネタバレはこれ以上しない方がいいかなというものですね。 この程度のネタバレは帯にも書いてあるのでいいだろうというか、私もそういう条件で読みましたが、予想した展開ではなかったので。 とりあえず、特殊条件下の世界で事件が起きるというのは、初期作品のテーストだなぁと言う事で、西澤保彦初期作品を楽しめた人には十分楽しめるかなとは思いますね。 事件の真相はともかく、いろいろとあからさまに提示しすぎじゃないか?とは思いますけどもね(実際に私はある程度早い段階で気づけたくらいですし) とはいえ、ある意味予測できる部分があろうとも全てを見破る事は出来ませんし、ミステリーの醍醐味というのは物語が1つに収束していく部分であったりするので、十分に楽しめるものですけども。 西澤保彦作品というのは、正直当たり外れがあるのが困りものですが、これは十分佳作だと思いますね。 スナッチ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年12月29日 20時45分37秒
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