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カテゴリ:読書 小説
カッコウという鳥は他の種類の鳥の巣に卵を産み、雛を育てさせるという習性は、きちんとどういう形で行われるかという所までは知らなくても、おそらく断片でも知っているというのが当たり前というレベルで知られているものだと思います。
本著のタイトルにあるように、この物語はそれが多いに関係してきます。 アルペン競技の元オリンピック選手の父親と、父親の後を継ぐようにアルペン競技で才能を開花させようとしている期待の若手である娘。 しかし、父親は娘に実の娘ではないという事を言えないままになっている。 また、スポーツと遺伝子の関係性に目をつけた研究が行われていて、その研究に手を貸すように言われているものの、拒み続けなければいけない。 そういった事を軸にした物語になっています。 冬季競技と科学となると、東野圭吾作品という事で『鳥人計画』という非常に良くできた作品を思い出しますが(今読むと、いろいろと時代を感じるでしょうけどもね、V字ジャンプ以前のジャンプ競技ですから)作品の傾向は違いますが、質という面では同じように高く楽しめるものになっています。 ミステリーとしての謎であるとか、家族愛に関する力点などを考えると、敷居の低さはこちらの方が上でしょうか。 ミステリーを複雑で面倒なものであるとイメージしている人であっても、話の筋そのものはシンプルなものであり、それでいながら多面的な色合いがあるものですので。 ところどころに、冬のスポーツに関する日本での扱いなどについての愚痴っぽいものまで含め、誰にでも薦めやすい一冊だなと。 カッコウの卵は誰のもの お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年03月22日 14時53分21秒
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