膠着状態のまま、時はただ無意味に過ぎていく。
起きて見ているのも馬鹿らしくなり、少し横になった。
それでも1時間くらいは寝てたのだろう。
激しくドアをノックする音で目を覚ました。
まさか中国人ではないだろうとは思いながらも、やはり
ドアを開けるのは少し緊張した。
やってきたのは中田君(仮名)だ。
彼もまた演劇の参加者で、中心人物だ。
彼について触れていなかったが、僕がこの部屋に来たとき彼は
すでにこの部屋にいたのだ。
だから、自分の部屋に荷物を取りに行き戻って来ただけだ。
この中田君、山田君(日本語教師)と僕とは、同期生だ。
彼らとはもう1年もの付き合いで、どういう人間だか
お互い知り尽くしている。
山田君は、前期までは学生として中国語を習っていたのだが、
今期から先生として教鞭をふるっていた。
彼は2年ほど教師をして帰るつもりだと、以前語ってくれてた。
午後からの2,3時間のうちに、彼宛の電話が鳴り止まなかった。
掛けて来たのは彼の教え子、
『先生ご飯食べた?』
『大丈夫?』
『また授業してくれるよね・・・。』
『私たち先生を信じてる』
内容は全てこんな感じだ。これで彼の人柄がわかるだろう。
わずか2ヶ月で、ここまで生徒に信頼されている奴だ。
その一方中田君は、ちょっとお調子者の、楽しい奴。
彼は大学2年生だ。
中国語のほうはというとそれほど達者ではないが、
中国人の友達が非常に多い。
大学生以外にもかなりの知り合いがいる。
演劇には4人の日本人が出演したのだが、
後の2人は事は僕はあまり知らない。
外の喧騒も、ずいぶん収まったようだ。
なんでも正面玄関前で騒いでた連中を、
機動隊が別の場所に移動させたそうだ・・・。
『でもどうやって?
それが出来るならなぜもっと早くしなかったんだ?』
少し疑問も残ったがまあいいやと納得する。
時計を見ると3時前だった。
それからわずかして中国人の先生がやってきた。
『これから全部の留学生移動します。
廊下集まってください。』
やったこれで自分の部屋に帰れる~と思った。
一階に下りたとき、皆が唖然としてた。
ガラスは全て砕かれ、まさに竜巻の過ぎた後?ってな感じ・・・
裏庭に集まり整列させられ、
そのまま車に乗り込むようにと言われる。
僕はこのままでは、いっしょにホテルに行く羽目になってしまう。そこで僕は先生に言った。
『俺自分の家に帰っていいか?
お金も持ってないし着替えも持ってないから・・・』
『駄目だ!危なすぎる!』
あっさりと断られるも、まあ隙を見て逃げようとたくらんでいた。
いよいよ乗車、その時何食わぬ顔で、
列を離れ反対側の歩道へ。
誰も声を掛けてこない。いっそ走って行こうとも思ったが、
返って目立つかもと思いゆっくり歩いて家に帰った。
彼は起きて僕を待っていてくれた。
部屋のあちこちに小便がしてある。
まいった・・・。
トイレってどうやってしつけるんだったかな?
明日ネットで調べてみるか・・・
とりあえずビールで無事返って来れたことを彼と祝った。
ニュースによると、この事件は「3日本人留学生除籍、1教師解雇」という結末で落ち着いたそうですが、もしかしてその解雇処分になった先生というのが「山田君」でしょうか?
...しかし、「ワハハ本舗」みたいなシャレは中国では全然通じないみたいですね。(2003年11月02日 15時33分01秒)