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地図のある風景

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地理空間情報と数学
[ 測量 ]    

数学を面白く紹介する秋山仁先生が測量の話を書いている
一般の人への説明として非常に分かりやすいので引用する

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1906年の時点で、日本地図は富山県・立山連峰の一地帯が空白のまま残り、未完成でした。その元凶となった難所は、日本の登山の歴史を作ってきた陸軍陸地測量部の先鋭たちの幾度かの挑戦をも拒み続けていた劔岳でした。

一方、当時の最先端をゆく欧州の登山技術を使って山々を征服しようという日本山岳会が1905年に設立され、未踏峰剣岳の制覇を狙っていました。「陸軍の威信をかけて剣岳の初登頂と(三角)測量を果たし、日本地図を完成せよ」。この命を受けた測量手、柴崎芳太郎と仲間たちの死闘が始まるのです。

新田次郎原作のこの実話を、コンピューターグラフィックス(CG)なしの壮大な実録ロケで完成した映画「劔岳 点の記」が公開されています。山々の壮大さに圧倒されるとともに、今の時代とは比べものにならないお粗末な装備で、自らの人生の意義を問い続けながら命がけで果敢に取り組んだ明治の人々の姿は感動ものでした。また、過酷だったロケ撮影を作品に仕上げたスタッフに感服しました。

さて、今回はこの作品の陰の主役“三角測量”についてお話しましょう。

測量に基づいた本格的な初の日本地図は、伊能忠敬(1745−1818)によってつくられた“大日本沿海海輿地全図”です。彼は1800年、56歳のときに江戸の高輪を起点に全国の沿岸線の測量を開始しました。天体観測によって緯度を定めながら18年かけて全国の沿岸線をほぼ正確に測り、3万6000分の1の尺の日本地図を完成させました。

明治になると陸軍に陸地測量部ができ、軍用図をつくる目的のため全国津々浦々において、天文、三角、水準、地形などの各測量を実施し、5万分の1の尺の地図を作りました。

ところで、物質を把握するための基本単位は、一般的にいうと(近年の先端分野では、原子の構成要素クォークやニュートリノなどのレベルまで分解してますが)、水素、ヘリウム、炭素、酸素、ナトリウムなどなどの周期表に並んでいる元素です。1、2、3…という自然数を把握するための基本元素は素数(1と自分以外で割れない自然数)です。そして、平面図形をとらえるための基本元素の役割を果たすのは三角形です。どんな多角形も対角線を引くことにより、三角形に分割できます。そして、微小な三角形を使うことによって、曲線で囲まれる領域さえも三角形で近似できます。

日本の地形をとらえるとき、まず日本全土を三角形に分割して、それらの三角形の頂点となる位置に、三角点を次々と設置し、正確な測量を行っていこうというのが三角測量のおおもととなる考え方です。

sankaku1

三角測量を実行する上で重要になるのが、多くの人にとって高校数学が嫌いになる契機となる“三角比”です。

余談ですが、大島渚監督は「中学までは数学が好きだった。高校に入って2次方程式まではなんとかやっていたけど、三角比がでてきたとたんすっかりイヤになった」とおっしゃり、女優の桃井かおりさんは、「みんながわからない、難しいと言うから、あまのじゃくの私は逆に、俄然(がぜん)やる気になって三角比だけは必死になってマスターして“三角比の桃井”と言われた」と、以前会ったときにそれぞれ三角比の思い出を語ってくれました。

さて、三角形には3本の辺と3つの角がありますが、3つの角のうち2つがわかれば自動的にもうひとつの角もわかります。それら5つの要素のうち、どれか3つの要素が分かれば、他の2つの要素も(高1で習う三角比に関する2つの定理すなわち正弦定理と余弦定理を使うことによって)特定できるという性質が三角形にはあります。

sanakaku2

これにより例えば図2の3地点を結ぶ△ABCにおいてABの距離と∠a、∠bが測れれば、ACとBCの間に丘があったりして実測できないとしても、それらを計算で求められます(これは“3点問題”と呼ばれています)。

sankaku3

また、図3の4地点A、B、C、Dで、ABの距離がわかっている時、AC、AD、BC、BD、CDの距離を知りたいときは、あと他に4つの角α、α’、β、β’を測量すれば求められます(“2点問題”と呼ばれています)。

いまのような数学を基盤に、日本の三角測量は、神奈川県相模原の下溝村三角点と座間村三角点を結ぶ相模野基線(5209.9697メートル)を実測することから始まりました。この後、神奈川県や多摩に数カ所の三角点を設けて三角測量をしていき、旧麻布天文台の東経139°44’40’5020、北緯35°39’17’’5148を原点とし、これと房総半島にある鹿野山と丹沢山を結ぶ三角形を第一号としてその三辺をもとに、日本全土に三角形網を広げていきました。その三角形網を基に、他の実測による等高線などの情報を付加していくことによって正確な地図を作ったのです。

(msn産経ニュースより)
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地理空間情報をに関連する学問と言えば地理学と思われがちだが、実際には地理学ばかりでなく、様々な学術分野の連携から成り立っている。

それは地学や地球物理など、地球科学系の理学であったり、情報工学であったり、実に多岐にわたる。
その中でも重要な役割を果たしているのが測量学であり、そのベースである数学ということになる。

これらは特別なことのようでありながらも、秋山先生が指摘しているように、誰もが昔習った三角形がすべての基本になっているのだ。

地理空間情報の中で数学の果たす役割が大きいことは、国土地理院長に数学出身の人が多いことからも垣間見ることができる。

今一度、原点に立ち戻ることも必要かな、ということで秋山先生の話を取り上げてみた。


Last updated  2009.07.05 09:34:06
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