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晴走雨読

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November 5, 2006
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テーマ:たわごと(26612)
カテゴリ:つれづれ・・・

 
 
 
 
 
「もう試合始まってるんですか?」

「あぁ、今始まったところだよ」


自転車に跨ったまま金網越しにグランドを眺めていたおじさんはそう答えた。

僕は自転車を降り、おじさんのすぐ横に立った。


「あれ、ソフトボールですね。オジサンたち野球やればいいのに~」

「もうみんな結構な年だよ。ほら。ソフトぐらいで丁度いいんだよ」


なるほど。


「ここ小学校のグランドですか?」

「そうだよ。今は廃校になってるけどな」

「え!!」


今日久しぶりに自転車に乗り、このマンモス都営住宅に迷い込んでいたのだ。

5階建ての団地がどうだろう、3,40棟はあると思われる。

その中心にあるこの学校は今や休日の草野球場としてのみ存在しているということなのだろうか。


「いつ廃校になったんですか?」

「もう何年も前だよ。今じゃこの辺りも年寄りばかりだからね」

「日曜だというのに妙に静かですよね・・・」


大きな当たりが外野に飛んだ。

センターがイージーフライをはじいて大きな声がどっとあがる。

その歓声は白く無表情に聳え立つ団地の壁にはね返り、わずかだがこだまして聞こえた。


青い空を滑るように白い雲が流れていく。

おじさんがはき出した煙草の煙がその雲を追うように昇っていった。

遠くから白いボックスタイプの車が走ってくる。

その車は大音量で音楽を鳴らしながら近づいてき、そして走り去っていった。

路肩に積もっていた落ち葉が少し気だるそうに舞った。



グランドでは攻守交替のようだった。



「じゃあ、行きます。また遊びにきます」

「あぁ、またな」






僕はゆっくりと自転車をこぎ出した。

多摩川の河原が見たいと思った。








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Last updated  November 5, 2006 11:46:09 PM
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