4 社会的環境の認知ースキーマ・スクリプト
4 社会的環境の認知―スキーマ・スクリプト
0.今日の概要
(1)前回は自己概念の社会的成立過程について考えた.
(2)今回は社会的相互作用の基本となる社会的環境の認知および日常的推論について考える.
1.日常生活と推論
(1)未知への対応
1なぜ未知の他者にも対応できるのか.他者に関して不十分な情報しか持ち合わせていないにもかかわらず,適切な対応をとることができるのか.
2意識しないうちに受容した認知的枠組(スキーマ)を用いて認知活動を行っているため,不十分な情報下でもある程度安定した認知が得られる.
(2)日常生活と推論
1日常会話や文章における言葉の使い方は正確で規則的とは限らない.省略・文脈依存...
→人の話を理解したり,文章を読んでその意味を理解する場合にも,抽象的なルールに従うのではなく,文脈に依存した推論を行う.
2会話や文章の理解において,知識を用いたトップダウン処理の推論が行われている.感覚データと知識を用いて候補を立てて推論する.Cf.ボトムアップ処理
2.スキーマとスクリプト
(1)スキーマ(シェマschema):経験を通して獲得した認知の枠組
(2)スキーマの種類
1人物スキーマ:人物に関して形成されたスキーマ
2事象スキーマ:スクリプト(script)(R.C.Schank):ある日常的な状況において典型的な場面設定と
行為の系列.
3役割スキーマ:職業(医師・銀行員)や社会的地位・役割(母親・高齢者)に関するスキーマ.
.推論への社会的影響
【資料1】
1.レーク・シティに住むキーチ夫人は,ある時期から,霊能を得て,エイリアン=クラリオン星人と交信できるようになった。憑かれたような状態になってクラリオン星人のメッセージを受け,手は自然に動いてそれを紙にうつすのである。ところが,そのうちクラリオン星人は,レーク・シティに大洪水が襲って町は壊滅する,ただしキーチ夫人とその同志だけは事前に宇宙船が救出するとのメッセージを送ってきた。その日時も指定してある。当日キーチ夫人を信じる人たちは旅仕度までして彼女の家で待機した。だが予言された事態はなにも起こらない。かくして“キーチ教”は終ったろうか。否である。
それどころか,“キーチ教”はむしろその時からはじまったのだ,とフェステインガーらの報告は続く。予..
出処::レポートサイトHAPPYCAMPUS!