私個人は元々歌謡曲には全く縁の無いロック好きな学生だったのだけど、仕事で音響に携わるようになってからはずいぶんと多くのアイドル歌手のイベントもこなしたものであった。当時の知り合いにはアイドル好きも多く、様々な情報がどんどん入ってくる中で彼女:甲斐ちえみに付いても当然知る事となったのだ。
キャンディーズが解散し、山口百恵が引退していった後の80年というアイドルの存在がガラリと様変りする変動期にデビュー。
同期にはビックネームになる松田聖子や河合奈保子、田原俊彦らがいた。
甲斐ちえみという歌手は、小柄でもパンチのある歌声である意味70年代的なカラーを携え登場したアイドルだったのかもしれない。いつも笑顔ではちきれんばかりだったが、どこかしら寂しげな表情が印象的であった。
80年頃のアイドルのアルバム(LP)は、それまでのファン向けのポートレート的作品から脱却し、多くのニューミュージック畑のソングライターの作品が提供され、実力派セッション・ミュージシャンやアレンジャーによる新たなサウンド展開が華やかさを競いはじめた頃だった。
当時のマニアに散々聴かされたLPの中に彼女のファーストLPも含まれていたが、当時としてはそれまでの歌謡曲を覆すような非常に素晴らしい作品であったと記憶している。無論、松田聖子らの華やかさはそれにもまして凄まじかったが。まあ、時期的にアレンジのお手本にデビッド・フォスターとジェイ・グレイドンの「エアープレイ」の影響がかなりあるのはお慰みという事で。
次第にアイドルの定番、イメージチェンジでの大人の女性への脱却を図るが、彼女の持つ童顔にはそぐわなかったのかもしれない。多くのファンの間ではそれほど評判にならなかったんじゃないかなと記憶している。
女優業を経て今のご主人とご結婚なされたのであるが、ご主人の方とは確か楽器フェアか何かイベントでご一緒したと思う。「うは!結構凄いドラマーだなぁ」とPA卓を操りながらも惚れ惚れしながらドラミングを楽しませて頂いた。
今回の訃報は暫く忘れていた往年のアイドルの記憶を当時のファンや関係者に思い起こさせた事だろう。
元ピンク・フロイドのシド・バレット、映画若草物語やグレンミラー物語等で知られるジューン・アリソンも亡くなられたそうですよね。
謹んで御悔み申し上げます。