かつてのサントリービールは「水っぽくて不味いビール」の代名詞だった。確かにコクもキレも少なめなのはサントリービールの特徴に違いない。例えば初発売時の『モルツ』は麦芽100%にもかかわらず(!)ただの「薄味ビール」にすぎなかった。しかし天然水使用を前面に押し出してリニューアルされた頃から、味わい深いビールに変化してきているのだ。結局のところ一番大事なのはコクとキレ、その2つのバランスであろう。
最近
モルツ4水系4缶セットというのが発売され、早速試飲(試飲といっても4缶全部を一気に飲んだのだが・・・)してみた。4水系とは、「赤城山水系(利根川工場)」・「丹沢水系(武蔵野工場)」・「天王山京都西山水系(京都工場)」・「南阿蘇外輪山水系(九州熊本工場)」の4つのこと。ビール造りにいかに水が重要とはいえ、それほど味は変わるまい、と予想していたのだが、意外にも味わいの大きな差があるではないか!
麦芽の味わいの深さ(コク)で並べるなら、1「赤城山」・2「南阿蘇」・3「丹沢」・4「天王山」の順となるだろうが、これは同時に“コクとキレのバランスの悪い順”でもあるのだ。とくに「赤城山水系」のバランスの悪さはひどい、不味い。逆に「天王山京都西山水系」は水っぽすぎていただけない。残る2つどちらをとるかは好みの問題になろうが、筆者は「丹沢水系」ビールを一番美味しく感じた。これは「サッポロ黒生」を少しマイルドにした感じのビールである。皆さんも一度試飲(ため)してみられると良い。