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平成6年(1994年)5月、
金沢観光旅行に続いて、隣の
福井県に入り、
父の出身地を10年余ぶりに訪れました。峠を越せば石川県という山間地です。昔はひとつの村でしたが、今は合併して、坂井市の一地区になっています。夏は涼しいのですが、冬は豪雪の地です。
田畑は少なく、林業が主体の山村。以前は交通機関がなく、電車の終点から2時間ほども歩かねばなりませんでした。私どもは芦原温泉駅からタクシーに乗り、川沿いの道を通って地区に入りました。私は10回目、妻は2回目の訪問です。
着いて驚いたことには、地区の中央を貫通して幅8メートルほどの道路ができていました。
国道364号線だそうで、いずれは石川県の
山中温泉へ延伸するとの話でした。旧村道と交わるところが交差点になって、信号機が付いているのを見て、時代も変わったなと思いました。
父の郷里の家
人一倍元気だった当主の従兄弟も、70歳になって年老いた感じでしたが、従兄弟の孫3人が中学生、小学生となってにぎやかでした。
先祖代々の墓に参り、無事に停年まで勤め終えられたことを報告しました。地区に住んでいた伯父や伯母たちもすでに亡く、これらの親類の墓にも詣で、各家へも訪れて仏壇を拝みました。
自分たちも高年者となり、再びこの地を訪れることが難しいだろうと思い、地区の中をあらためてよく見て回りました。父の実家のすぐそばを流れる川をまたいで、国道に新しく橋が架けられていました。名付けて “
ひろせばし” 。
ひろせばし
地区を流れる川は、このあたりで浅く広がっているので、昔から この付近一帯を
広瀬 と呼んでいたようです。
父の実家で一泊した翌日、別れを惜しみながら、タクシーで新しい
国道364号を南へトンネルを抜け、坂道を降り,九頭竜川を渡って
永平寺へ。
永平寺
永平寺は、開祖・
道元(どうげん)
禅師が、京都の宗派争いを避けて、北陸のこの僻地を選び、ここに禪の修行道場を開いて800年、今も、京都の観光地化した寺院と違って、
曹洞宗(そうとうしゅう)のきびしい禪の修行場としての気風が感じられる寺でした。
この年の北陸行きは、金沢から始めて、父祖の地を訪れて先祖の霊を拝み、永平寺で真の仏道の修行場を見る良い旅でした。