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ときどき思いつき日記

ときどき思いつき日記

《夏休み》

突然ストーリィを思いついたので書いてます。
主人公はビョンホン シ起用でイメージしてます(*^_^*)
ちょっと”パパ”とか”僕と彼女と彼女の生きる道”とか
どこかで見たことのあるストーリーっぽいかもしれませんが・・・・





リビングの大きな窓から朝の光がレースのカーテン越しに差し込んでいる。
コーヒーメーカーには淹れたてのコーヒーが沸いている。
テーブルの上にはこんがりとやけたトーストにバターが輝きを添えている。
黄金色の半熟のオムレツの脇にはこんがりとやけたベーコン。
フレッシュな野菜サラダ。もちろんドレッシングも作りたて。
そして色とりどりのたっぷりのフルーツ。

女は窓際で大きく伸びをした。
「起きた?」男が声をかけ、マグカップのコーヒーを手渡す。
「これ・・・大きかったみたい」女は身にまとった男物のワイシャツを見てくすりと笑う。
「早く食べよう」
男の声にテーブルを振り返る。
「すごーい。朝からこんなに食べられないわ」
「だめだめ。朝食はきちんと摂らなきゃね。」
男がいたずらっぽく笑う。
「こ~んなに家庭的なあなたがどうして・・・・」
不意に男は女を抱きしめ、自分の唇で女の唇をふさいだ。
女は声にならない声を出しながら、応える。
ふと男が顔を離し、
「それ以上は言わせない」
と言うとまた唇をもとの位置に戻した。
男は片手で女のワイシャツのボタンを一つはずし、
手を胸元に滑り込ませる。
女が男の背中にまわした手に力が入る。

ピンポーン

インターホンが来客を告げる音をたてた。
男は手を休めない。

ピンポーン

もう一度鳴った。
「お・・・きゃくさん・・・じゃない・・・の?」
女に促され、男はインターホンの側に歩み寄った。
女も抱きしめられたままだ。
「あっちからは見えない」
男はウィンクするとインターホンを取り、画面を見ながらも手は休めなかった。
インターホンの小さな画面には小学校低学年ぐらいの子供が二人映っていた。
”いたずらか?”
とインターホンを切った。
が、すぐに

ピンホーン

インターホンが鳴った。
男は女から離れ、玄関へと行った。
「何か間違ってませんか?」
「あの~ パパ・・・ですよね・・・・」
リュックを背負った女の子が言った。
「パパじゃない。いたずらはやめておうちに帰りなさい。」
女の子が黙って手紙を差し出した。
差出人は 春山陽子。
「ママから、これ」
「ママって春山陽子か?だとしても子供はいない!え・・・・?」
「あ、ママから電話」
女の子は慣れた手つきで首からさげた携帯電話を操作した。
「うん。ママ。はい。パパに代わるね。はい、パパ。」
女の子は携帯電話を男に差し出した。
「お久しぶり。悪いけど、夏休みの間、子供たちをお願いします。あとで手紙を書くわ。」
それだけ言うと電話は切れた。
”何だ?新種の振り込め詐欺か?”
男は何が起こったのかよくわからなかった。

「ごめんんさい、私、帰るわ。なんだか大変そうだから、また私から連絡するまで連絡しなくていいから。じゃあね」
女はすっかり身支度をして玄関から出て行った。

マンションの廊下を住人たちが何事かというように男の家の様子を伺いながら通る。

「いいから とりあえず家の中に入りなさい。」
男は子供たちを家の中に入れた。

「はい。お邪魔します。」「お邪魔します。」
子供たちはぺこりと頭を下げ、リュックやおおきなカバンなどの荷物とともに家の中に入っていった。



男の名前は成田隆哉。
37歳独身。正確にはバツイチ。
春山陽子はもと妻の名前だ。
ということはこの子たちは裕哉の子供たちらしい。
が、裕哉は一人しか覚えがない。



子供たちはリビングの入り口で立っている。
隆哉は子供たちに聞いた。
「朝ごはんは食べた?」
「はい。」子供たちがうなずく。
「僕はまだだから食べるから、そこに座って」
ダイニングテーブルを指差すと
子供たちがテーブルについた。
「コーヒー、飲む?」
「いえ・・・子供はだめ、ってママに言われてます。」
女の子がはきはきと答えた。
「じゃ、ジュースでいい?」
「はい。ありがとうございます。」
隆哉がデュラレックスのグラスにオレンジジュースを注ぎ、
ガラストップのダイニングテーブルの上に置くと
子供たちが飲み始めた。
隆哉もテーブルにつき、さめたコーヒーを一口飲むと子供たちに聞いた。
「で・・・名前は?」
「春山美貴です。こっちは弟の優貴です。」
 みき。
 確かに隆哉の子供の名前だった。
「お母さんはどうしてここに来るように言ったの?」
「出張なの。」
「今までも出張はあったでしょう?なのにどうして今回は・・・」
「いつもおばあちゃんが来てくれたの。だけど、おばあちゃんが入院しちゃったから。」

そのとき、また美貴の携帯がなった。
「ママからだ! はい。はい。わかりました。・・・・・パパに代わってだって。」
 隆哉が代わると「ごめんなさい。いまゲートの前なの。もうすぐボーディング。夏休みの間、子供たちをお願いします。無理なお願いだとは思ったんだけど、誰にも頼めなくて。」
 それだけ言うと電話が切れた。

隆哉は途方にくれた。
右手を腰にあて、左手を額にあて、上を向いた。
どうしたらいいんだ。
今日は休みだが、自分にだって仕事があり、出勤しなければならない。
食事の面倒だって見なければならない。
しかし。
それを陽子は一人でやってきたのだ。
慰謝料と養育費は渡している。だがお金の問題ではない。
「夏休みぐらい面倒を見て」
そういうことなのか。

ふと見ると、優貴の様子がおかしい。
「ゆ・・・優貴・・・くん、どうかした?」
「優貴、トイレじゃないの? すみません、トイレお借りします。」
 美貴が優貴をトイレに連れて行った。
「ふぅ。」
 トイレ・・・か。
「あの~~ 優貴が・・・・」
美貴に呼ばれてトイレに行った。
「じぶんじゃ ふけない・・・・」
やれやれ。そんなことまでなぜ俺が。

リビングに戻ると子どもたちはそれぞれクリアファイルを出した。
クリアファイルには一日の予定表が入っていた。
「ママがこれをパパに見せなさいって。」
「ママが書いたのか?」
「うん。私たち、いつもこの通りにしているの。・・・あ、でもお友達と遊んでいるときとかはちょっと変えちゃうけど。」





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