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テーマ:お勧めの本(7214)
カテゴリ:その他ヒーロー
今日は新潮文庫「ぬしさまへ」の3番目の話"空のビードロ"の感想等などを書きたいと思います。
この話は一太郎の腹違いのお兄さん、松之助が主役のお話です。 「しゃばけ」と同時期の松之助の当時の生活を主軸にしております。奉公先でとある事件が起こり、一端はその事件の犯人に疑われた松之助。けれども奉公先の娘に助けられ、温かい気持ちになった松之助の心にショックな出来事が起きる。 奉公している店に暇を取り、新しい生活をしようとした矢先、付喪神になりそこねた墨壺の企み(「しゃばけ」参照)により大火事に見舞われ帰る家全てを失ってしまった。 途方にくれた松之助は父がいるという大店"長崎屋"へと訪れ、腹違いの弟と初めて対面する事となった。 奉公している時に偶然拾った美しい青い玉"ビードロ"が腹違いの弟、自分を兄と呼んでくれた一太郎の持ち物と知り涙する松之助。このビードロのお蔭で人の道を踏み外す事なく、自分の事を思ってくれていた弟と出会う事が出来たのだ・・・・・。 大店ではない、小さいお店の奉公人のぎりぎりの生活を今回生々しく感じさせた本話。年老いていく奉公人が自分の将来に不安を持つ姿。ほんのりとともった温かい気持ちが無残にも踏みにじられ、絶望のどん底へと突き落とされる松之助。 哀しい末路を迎える人々のなか、松之助はビードロに導かれるように一太郎の元へと辿り着く最後には私は涙を流しました。 一太郎の兄を思う温かさ。それが身に沁みていく松之助。 腹違いという事で運命がまるっきり違うものになっている兄弟がやっと出会えたこの話。今後、どうなっていくのか・・・是非知りたいなと思います。 これからの話が今後あるのかなあ~??? 現実世界もこの話で書かれているような、身につまされる・共感してしまう辛い事が多々あります。けれども皆、自分の置かれた状況の中で必死に、楽しく生きようとしています。 これは願い事かもしれないけれど・・・世の中、悪い人ばかりじゃない。心の温かい人もいる。自分の事を思ってくれる人もいるのだ・・・松之助と一太郎の姿を読んで私はそう思いたいです。 この話は本当に泣けます お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.12.03 22:42:59
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