若松孝ニの最新作である。やはり刺激的だ。
母親を殺して、自転車に乗って北へ向かって一人走る少年。
その姿と彼が見る、彼を取り巻く風景。
この映画が映像として描くのはこれだけである。
最後にある解決策や解答が提示されるわけではない。
そのような安易さを拒否しているような映画である。
見ていると、この少年は観客一人一人であるのではないかと
思いはじめた。
映画の主役ともいうべき「風景」は、私たちの周辺のことでは
ないか。いわゆる環境とでもいうべきか。意識しようとしまい
と眼に飛び込んできるもの。
そうした中で生きている私たち。
ラストで少年は自転車を断崖から放り投げるが、これが意味する
ものとは何か?
生きていく上で、我々が捨てるべきものとは?
その答には正解はないし、1人の観客にとっても年代や置かれた
立場で変わってくるだろう。