歌手・赤坂小梅は1906年、筑豊に生まれ幼少の頃より芸事が
好きで花街の三味線の音色や歌の中で育ち、自らの意思で芸者
となった。
その後、歌手として一世を風靡して戦後にはスタートしたばかり
の紅白歌合戦にも4回出場した。
赤坂小梅をジャンルでわけるなら、どの歌手というべきであろうか?
芸者歌手という言い方もあろうが、むしろ民謡歌手という方が適して
いると思う。
映画「小梅姐さん」は赤坂小梅生誕100年を記念して、出身地の福岡県
で制作されたドキュメンタリー映画である。
赤坂小梅の生涯を描いたこの映画は彼女の生涯と同時に彼女が生きた
日本の歴史をも描く。
我々は日本人として生活と歴史と風土に根ざした音楽を持っているで
あろうかと思うが、各地に赴きその土地の古老などに口伝で教わり、
彼女自身によって親しめるようにアレンジして民謡を広めていくという
歌手としての活動は、まさに我々の生活に根ざした音楽の創造では
なかったろうか。
それが断絶し、裾野が広がらなかったのは、戦後という時代の一側面
かも知れない。
はっきり言って、現在では、赤坂小梅という歌手の存在があらゆる世代
に知られているわけではない。
それが何故かを考えることは「戦後とは何であったか」を考えるひとつの
入口だと思う。その部分は、この映画が描いていないが、そこをこそ読み
取るべきではないかと思う。