この映画、「意外な結末」ということが宣伝ポイントになって
おり、騙される快感を期待しそうであるが、この映画をそのよ
うな期待を持って見てはいけない。この映画の宣伝方法は、間
違えていると思う。この映画はそんな楽しい内容ではない。
マーティン・スコセッシとレオナルド・ディカプリオとの最初
のコンビ作「ギャング・オブ・ニューヨーク」はアメリカ史を
描いたものであったが、今回の「シャッター・アイランド」も
またアメリカ史がテーマである。アメリカ史の中でも50年代で
ある。
第二次大戦の勝者である、アメリカは本土が戦場になることも
なくまさに戦勝気分の黄金時代を迎えたわけであるが、そのよ
うな50年代においては、アメリカは冷戦と赤狩りに重ねて、第
二次大戦の中での戦争体験のトラウマに苦悩した時代であった
ことが、この作品を支配している。シャッター・アイランドと
いう閉鎖社会の中での苦悩の日々である。
戦争というものは戦時中より戦後の方がはるかに苦しいことが
この作品のもうひとつのテーマともいうべきであろう。
この作品の最大のテーマは贖罪であろう。スコセッシとしては
「沈黙」(遠藤周作・原作)への橋渡し的作品と位置づけたい
ようだ。