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cinq chefの日記 [全952件]

Feb 09, 2012楽天プロフィール Add to Google XML

  52歳になりました 

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 昨日午後3時過ぎに、誰か来たとなと思ったら、クリークの黒川氏が一家そろって花束とワインを持ってお祝いに来てくれました。びっくり!

 普段からあまり自分の記念日は、特に騒ぐほうではないので、誕生日に花束なんて貰ったのは初めてかもしれません。いやーー弟子、ありがとう!!

 実は、私の父は52歳で亡くなっているんです。私はまだ高校生でした。親父の死んだ歳に並んでしまいました。実際並んで見ると、随分若いうちに死んだんだな。という気がします。私は元気なので、まだまだ死にませんけどね(笑)




Last updated Feb 09, 2012 09:15:55 AM



Feb 07, 2012

  塩の話 

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 サンク・オ・ピエでは、いくつかの塩を使い分けてます。上の画像は、イタリアのエミリオ・ロマーニャ州チェルビアの塩田の塩。ローマ法王庁に献上されていたというもので、SALE DOLCEサレ・ドルチェの名の通り、甘みを感じる柔らかい塩です。塩田の海水が飽和状態になって塩が析出してきたものを手作業で集めたものです。荒い粒なので、料理の仕上げにパラリと振りかけたりするほか、塩挽きに入れて細かくして味付けに使います。

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 これは、フランスのローヌ川の河口近く地中海に面した古代ローマ時代から続く古い塩田カマルグの塩。SEL GROSセル・グロと言って、精製していない荒塩です。カマルグは、芦が生い茂る湿地帯で、地中海を超えて飛来するフラミンゴが暮らしていたり、野生の馬が生息するという大自然が残る場所で、国によってそれらの野生動物も保護されている。

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 ラベルにもこうして、空を飛ぶフラミンゴが描いてあります。カマルグの塩は、精製しなくてもほぼ真っ白で、とても綺麗なのが特徴。味わいも柔らかく、ナトリウム以外のミネラル分も豊富。自家製のハムを作るときにはこの塩を単体またはチェルビアの塩と合わせて使っています。

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 そしてこれが、カマルグのFleur de selフルール・ド・セル、塩の花ですね。最初のチェルビアの塩と同じように海水が飽和状態になって析出した塩を手作業ですくい集めたものです。これはちょっと値段がお高いので、本当に料理の仕上げ用に使います。最も丸い味わいの塩で、ほぼ味が決まっている料理に少し振りかけてもしょっぱくなりません。旨味を引き出し、最後の味の引き締めをしてくれるすぐれものです。

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 これは、フランスのもう一つの塩の名産地であるブルターニュ(英仏海峡に面する)のゲランドの海藻入りの塩。GROS SEL MARIN aux alguesグロ・セル・マリン・オ・ゾルグalguesオルグというのが海藻のこと。磯の香りがほんのりする美味しい塩です。家では冷やしトマトにはこれかけてますね!美味いです。お店では、魚介のカルパッチョなどに使います。

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 塩挽きに入れた塩2種類。左がゲランドの海藻入りの塩。右が、カマルグとチェルビアの塩のミックス。

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 これは10キロ袋入りのシチリアの塩。これはスモークサーモンの漬け込みなどにもたっぷり使います。

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 シチリアのトラパニの塩田というこれも有名な美味しい塩の採れる塩田の塩で、SALE FINOサレ・フィーノと言って、さらさらと細かい粒の塩です。これをオーブンで軽く焼いて、ふるいにかけて、料理の下味付け用の振り塩に使ってます。以前は伯方の焼き塩を使ってましたが、この塩を2年前くらいから使い始めたら、こちらのほうが美味しいので伯方の塩はやめました。

 塩を振る時は、親指人差し指中指の3本の指で塩をつまんで、高い位置から振りかけて肉や魚に下味をつけます。このとき一番大事なのが、よく見ること!塩がどの程度の密度と量で材料についているかをよく見なくちゃ駄目なんです。だから私は、「塩は眼で振れ」と言ってます。

 料理というのを極論すれば、塩と火を使いこなすことと言ってもいいでしょう。過不足なく上手に火を通した魚や肉に適度な塩が決まっていれば充分美味しい料理と言えます。それを実現するために振り塩でつける下味は非常に重要です。

 それぞれの食材に見合った塩分を使わねばなりません。基本的には、淡白なものには薄めの味付け、旨味が濃いものには強めです。例えば、平目、鶏肉、牛肉とあれば、平目に振る塩が一番少なめです。牛肉に比べたら鶏肉はやや少なめですが、鶏の場合は皮目に気持ち多めに振ります。

 鴨の皮目や豚や仔羊の背脂のところはかなり強めに振ります。焼くと脂が解けて流れて塩も大半落ちてしまうからです。フォアグラのソテーも同じで、脂が解けて塩が落ちるので、見ていてびっくりするほど塩を振ります。反対に肉類ではあってもリ・ド・ヴォーは味わいが繊細なので塩の振りすぎには十分注意します。これはちょっと少ないんじゃないの?くらいでちょうど良い。

 私の料理の基本的スタイルは、ソースがなくても、ほぼ味が決まっているくらいにしっかり下味をつけて調理します。だから塩は私の料理の生命線なんです。

 他人の店に行ってオープンキッチンなどで、料理人の塩の振り方を見るだけで、だいたいの腕がわかります。材料のほうを見て塩を振ってない奴は、ダメですね。そういう店の料理は、味が決まってなくてつまらないことが多いです。

 そいう訳で、塩にはこだわってます。今使っているのは全部塩田の塩です。ドイツの岩塩やモンゴルの岩塩なども試しましたが、どうも岩塩系は味わいがシャープすぎて使いづらい気がします。ちょっと過酷な味なんです。まあ、私の好みを言っているだけですけどね。それから、純度99.99%みたいな旧専売公社系今は塩事業センターですか、、、イオン交換膜で作る塩。あれは、私に言わせれば化学薬品であって、調味料としては全く使えません。塩化ナトリウム以外に海や血液などのイオンバランスに似た配合でミネラル分が含まれていなければ塩としては使えません。

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 これは、帆立貝柱に塩をして冷燻にかけたもの。

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 フェンネルシードを一粒か二粒のせて、フルール・ド・セルを少しかけてある。こんな感じに仕上げの塩を使います。

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 これは、ある日の賄い飯。菜の花とアンチョビのパスタ。パスタをゆでるときにも、塩をたっぷり使います。お湯1リットルに対して、8~10gの塩が適量。これ、量ってみると結構な量なんですよ。普通パスタをゆでるときには、お湯を3リットル沸かせば3人前か4人前くらいは茹でられます。そこに塩は24~30g。これは軽くひとつかみ分あります。つまり。茹で湯でしっかり下味をつけてしまうんです。このパスタのようにアンチョビを使う場合などは、塩はやや控えめですが、ペペロンチーノなど、オイル系パスタの場合はめいっぱい塩を入れます。オイルにからめたら出来上がりという塩加減です。

 塩分の取り過ぎは体によくありません。これは、本当に正しいです。この場合特に純度が高い塩化ナトリウムだけの塩が一番体に悪いです。ナトリウム以外のカリウムやマグネシウムなど含んだ天然塩なら、塩自体にナトリウムを体外に排出する作用が少しあるんだそうです。

 それから、出来合いの総菜など、もちろん安い塩を使っていることが多いでしょうし、甘味料や旨味調味料などで味がごまかされ、強い塩分がわからないことが多くなっています。特に和風の味付けは砂糖やみりんなど甘味を使う事が多いので、知らずに過剰に塩分を取ってしまう事が多いです。それから旨味調味料の代表格グルタミン酸ナトリウムは、しょっぱくなくても塩分(ナトリウム)ですから、たくさん使うとかなりヤバいです。

 クラシックなフランス料理も脂肪分が多く塩分も多いソースがたっぷりですから、あまりヘルシーとは言えません。私のやり方は、下味重視ですから食べるとしっかり塩がきいてますが、ソースなどに強い味をつけないので意外に摂取塩分は少ないんです。




Last updated Feb 08, 2012 09:21:20 AM

Feb 06, 2012

  先週土曜のワイン会 

 先週土曜のワイン会の話です。

 主催者はいつものK氏。さかもとこーひーの坂本さんも参加するワイン会です。

 ワインは、
NV Champagne Cuvee de Reserve Brut Blanc de Blancs (Andre Robert)
'98 Macon-Pierreclos "le Chavigne" (Guffens Heynen)
'08 Pouilly-Fuisse "Clos des Petits Croux" (Guffens Heynen)
'09 Etna Rosso "Santo Spirito" (le Vigne di Eli)
'01 Gevrey-Chambertin V.V. (Bernard Dugat-Py)

まずシャンパーニュのアンドレ・ロベールは、残念ながら引退してしまった偉大な生産者アラン・ロベールの親戚筋で同じメニルの生産者ですが、こちらは樽発酵ではなく、ステンレスタンク発酵です。メニルのシャルドネのシャープな魅力を見せてくれると思います。
白は2本とも白ワインの名生産者ヴェルジェのドメーヌ部門である、ギュファン・エナンです。
まずは熟成した1本、98年のマコン・ピエルクロ。シャヴィーニュの畑は勾配40%に迫ろうかという急斜面!そのため、ほぼ機械を入れることが不可能な畑です。
もう1本はドメーヌ自慢の畑である、クロ・デ・プティ・クルーです。
ドメーヌの所有する、プイィ・フュイッセのレ・クルーの畑の中にある石垣に囲まれた特別な区画で、樹齢50年、本当にブドウの出来が良かった年のみ造られる逸品です。
続いて赤の1本目は昨年私が驚き、感銘を受けた、シチリア、エトナ山のワインです。
ブドウは土着のネレッロ・マスカレーゼ98%、ネレッロ・カプッチョ2%、畑はあの今も活発に噴火を繰り返していますエトナ山の、標高700~780mにあります。日本の棚田のようになったテラス式の畑はトラクターが入れず、完全手作業による耕作です。まるでブルゴーニュのピノのような素晴らしい香りを持った、官能的なワインです。
もぅ1本の赤はブルゴーニュ人気ドメーヌのデュガ・ピィです。
農薬はもちろん使わず、樹齢の若いブドウは全て格下げしてしまう、完全主義者による1本。2001年は早めに飲めるヴィンテージですので、美味しくなっていると思います。

 という豪華な出品。合わせた料理は、シャンパーニュに鳥羽産の生牡蠣のシャンパーニュヴィネガー風味と冷燻にかけた帆立のタルタル。白の1本には、自家製のエゾ鹿もも肉と対馬のイノシシのモモ肉のスモークハムと猪鹿リエットのサラダ添え。白もう一本には、リ・ド・ヴォーのローストと広島産の牡蠣のソテーにカルバドス風味のシャントレル茸のクリームソース添え。赤2本には、イノシシのヒレ肉と壱岐の網取りカルガモのロースト、トリュフ風味。まあ、ここまでは、料理とワインのマリアージュもバッチリで、みなさんご機嫌でした。私もワインをそれぞれテイスティング。特にシシリアのエトナ山のワインが面白かった!ほこりっぽさを感じるほどの強いミネラル感があるのに繊細な果実味があって、ブルゴーニュ的なニュアンスも感じました。焼くと香ばしいナッツのような香りがするイノシシの肉にはよく合うと思いました。もちろん他のワインも美味しかった!

 デザートは、ショコラ尽くし!ヴァローナのグランクリュ、マンジャリで作った生チョコトリュフ、同じくグランクリュのカライブで作ったテリーヌ・ド・ショコラ、ベルギーのカレボー社のビターチョコで作ったフランボワーズ風味の生チョコ、パヴェにフィナンシェとイチヂクの赤ワインコンポートを添えたもの。普通ならこんなに強烈なショコラ尽くしのデザートだと、ポルトやマデラやヴァニュルスやリヴザルトなどのショコラによく合うデザートワインがほしいところ。もしコーヒーを合わせるなら、普通はエスプレッソ系だろう。ショコラの濃さに合わせて、かなり濃くて苦味の強いコーヒーというのがまあ相場でしょう。ところが、、、

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 前日に連絡してお願いしておいた、さかもとこーひーのヴァローナ・マンジャリ専用ブレンド!

 これはびっくりでした!まず、さかもとこーひーの標準的なチョコレート用ブレンド“ハート・ヴァレンタイン”と合わせてみると、さすがにヴァローナのパワーには勝てず、こーひーが力不足なのが分かります。そこで、このマンジャリ専用ブレンド。期待を込めてこーひーだけを飲んでみると、「あれ、なんか別にパッとしないかな?」と思わせておいて、マンジャリの生チョコを食べた後に飲んでみると、これが合う!!苦味とコクでショコラと張り合うのではなく、やんわり受け流して、あとの余韻の綺麗なことと言ったら、、、。みなさんも気がつけば、デザートをぺろりと平らげていました。そこで私が、「このこーひーがなかったら、普通はこんなに強烈なショコラの盛り合わせは途中で飽きてしまいますよ。飽きずに食べられたのは、このこーひーのおかげですよ。」と言うとみなさん納得してました。

 坂本さん、またいい仕事見せてもらいました!

 




Last updated Feb 06, 2012 3:39:16 PM

Feb 04, 2012

  牛ヒレ肉のタリアータ仕立て 

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 焼きあげて、少し休ませた牛ヒレ肉を切って盛り付けます。下に敷いてある黒いソースはトリュフエッセンス入りのバルサミコソース。これはイタリア製の既製品なのだが、ほんのりトリュフの香りがして使い勝手が良い。

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 カマルグ産のフルール・ド・セル(塩の花)をパラリと振って、黒胡椒を挽く。ガーリック風味のオリーヴオイルとサルディニア島産のオーガニックの極上オリーヴオイルを少しずつかける。パルミジャーノをピーラーで薄く削って散らす。1/2に煮詰めてあるバルサミコを少し垂らす。

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 付け合わせの温野菜を盛り付けて完成!これが、サンク・オ・ピエ流のタリアータです。フレンチレストランのイタリア料理?ですね。

 タリアータtagliataもしくはタリアートtagliatoは、切ったものという意味。要するに肉を焼いて切ったわけですね。そのまんまの料理です。イタリアンでは、サラダ系を一緒に盛ることが多いんですが、これはメインディッシュとして出すので、うちの場合は温野菜を盛ります。

 さっぱりした味付けですが、パルミジャーノが散らしてあるので旨味もあって結構美味しいものです。

 牛ヒレ肉というのは、、、

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 こんな形の肉で、1本が3キロ前後です。形が良いステーキ肉が採れるのは、シャトーブリアンとトゥルヌードの部分だけで、タルタルは文字通りタルタルステーキ向け。フィレミニョンは、だいぶ細くなるので、サイコロステーキや薄切りのソテーなどに向く。

 このタルタルやミニョンの部分を無駄なく使うためにタリアータをやっているのだが、お勧めメニューにのせると、人気があって、結局トゥルヌードもシャトーブリアンもタリアータになってしまう事が多い。(笑)まあ、売れてくれればいいんですけどね、、、。




Last updated Feb 04, 2012 08:43:58 AM

Feb 02, 2012

  さかもとこーひーのプロバット焙煎機を見に行ってきました。

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 今朝は、仕込みがたいしてなかったので、朝早めに店に来て、エアコンのスイッチだけ入れて、電車に乗ってさかもとこーひーへ行ってきました。もちろん新規導入のプロバット焙煎機が気になっていたから見に行ったというわけです。

 まず大きいのに驚きました!私は身長168位、坂本さんは170以上あるでしょう。それでこの迫力。まるでミニSLみたいです。坂本さんに「かなり前に火を止めたけど、まだ熱いでしょ?」と言われて機械に触れてみるとなるほどすごい余熱でした。

 本当はもっと早く見に来たかったんですが、新しい機械を使いこなすのは、いくらベテランの坂本さんでも、なかなか大変だろうし、しばらくはナーバスな状態になるかもしれないので、坂本さんのブログやツイッターをこまめにチェックしていたんです。やはり導入初日からしばらくは、書き込みも少なかったし、最初にちょっとトラブルもあったりで1週目はかなり大変だったみたいです。導入3週目の昨日のブログを見たら、2週間使ってほぼ焙煎機の使い勝手を手中に収めたという風に書いてあったので、そろそろお邪魔しに行こうと思ってたんです。

 坂本さんも私もこーひーと料理と立場は違いますが、同じ火を使う職人同士なんで、この大きな焙煎機の蓄熱量や焼きの安定感の話など聞くと、実感としてよくわかります。今までの機械の倍以上の大きさですから、とくに細かい豆の焼きのむらの無さとかの精度が全然違うと言ってました。これでさらにさかもとこーひーのクオリティも上がっていくんだろうと思います。それに生産効率も、、、。

 ただ、この焙煎機、これだけのパワーになると半端な力の職人じゃどうにも使いこなせなそうです。坂本さんのようなベテランでかつ論理派の職人じゃないとダメでしょうね!うちの店のガス台のプラックもそうですけど、本当のプロ向けの機材というのは、使いこなせる技量がないといくら良い機材をそろえてもよい仕事ができるわけじゃないです。

 コンベクションオーブンというのがあって、マイコン付きで温度管理も1℃単位で正確にコントロールできて、40度くらいの超低温から300度くらいの高温まで自在にコントロールできるオーブンで、熱風を循環させて温めるので焼きのムラもないんです。フォアグラのテリーヌなんか、一度に10本くらい出来ちゃう。で、失敗はまずないわけです。と聞くといいことずくめなんですが、、、。私は、コンベクションオーブンは大嫌い!!まず、熱風を使うから食材の水分が飛ばされて乾くのが嫌です。では、スチームコンベクションといって、蒸気も併用するやつならいいだろうというと、それもだめ。タルトみたいな焼き菓子をやればすぐわかるんですが、普通のコンベクションじゃ乾きすぎるし、スチームコンベクションじゃ、本当の焼き菓子の香ばしさが出ないんですよ。だいたい、熱風を使うという発想が嫌です。あまりにデリカシーに欠ける!品がない!オーブンといのは、静かに温まっている空気の中に食材を置いて、庫内の鉄板から発する遠赤外線を静かに受けている状態が良いんです。熱いお風呂に入るでしょ?静かに入って、最初は熱いけど少しすると慣れてきますね。あれは、じっとしていれば、皮膚のすぐそばのお湯の温度が下がるからなんです。もちろん浸かっていればだんだん温度はど同化していきますけどね。そのお風呂のお湯がグルグルかき回されたらどうでしょう?熱くて入っていられませんよね!要するにコンベクションオーブンって、そういうことなんです。必要ないのに引っ掻きまわしてるだけなんですよ。だから嫌いです。下品な火づかいは下品な料理のもとです。

 多分、コーヒー焙煎機でもそういうコンベクション的なプログラムつきみたいな機械もあるでしょう。もちろん、大手のコーヒー会社は、そういうそれこそ生産ラインで作っているんでしょうけどね、、、。

 私も坂本さんもアナログの極みみたいな器具を使っているんです。頼りは自分の感性と経験というやつですね。五感のすべてを使ってする仕事です。もちろん温度計やタイマーなどを使いますが、最後の仕上げの微妙な判断は感覚です。それが職人仕事ってもんですよね!

 ハートヴァレンタインカフェを買って、お土産にエルサルバドルをいただきました。エルサルバドルは好きな豆のひとつです。プロバット焙煎機に切り替えたさかもとこーひー、これからますます楽しみです。




Last updated Feb 02, 2012 10:28:36 PM

Jan 30, 2012

  平目のポワレ、バルサミコ風味 

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 平目は、卸す時に細かいうろこを庖丁ですき落とす事が多いが、市場の人が金タワシで楽々とうろこ落としをするのを見て、私も真似てみたらこれが楽!(笑)以来、ヒラメやコチやホウボウや鱈などのうろこが細かくて普通のうろこ引きの道具では落とせない魚は金タワシを使う事にしています。

 前のブログで見せた平目がこんな風に魚料理になりました。ソースは1/2に煮詰めたバルサミコに軽く塩をしたものと、サルディニア島産の極上オーガニックオリーヴオイル、それにカマルグ産のフルール・ド・セルをパラリと振ってある。

 魚が良いので、焼き加減も皮はカリッと身はやっと火が通ったくらいに仕上げてある。

 バルサミコは高級品ほど濃度がある。というのは、アチェタイヤという熟成室が必ず屋根裏部屋にあって、夏は暑く冬は寒いというワインセラーとは真逆の環境で熟成させるんですが、大きな樽から、少しずつ小さなサイズの樽に毎年移し替えてゆく。その樽の材料の木材が何種類か決まっていて、それぞれの木材から年ごとに違った木のフレーバーを吸収しながら熟成してゆきます。

 まず、トッレビアーノという白ワイン用の品種のブドウの汁を煮詰めて、モストコットという液体にします。屋根裏に運び、一番大きな仕込み用の樽(去年の液も少し入っています)に入れます。樽には半分くらいまでしか入れません。そうして、液面が空気によく触れるようにします。(これもワインと逆ですね。ワインの場合は樽をほぼ満杯にします)樽付きの酵母と酢酸菌が働いて、モストコットはアルコール発酵と酢酸発酵が同時にあるいは交互に進んで甘酸っぱい酢になっていきます。

 10年物のバルサミコなら10番目の樽から出荷します。全部は抜きません。半分くらいです。そして減った分は、9年樽から補填します。9年樽には8年樽から、、、と繰り返してゆくわけです。夏はかなり気温が上がり、バルサミコは蒸発して濃くなります。この補填も、となりの一つ若い樽から行われます。その樽が、違う材質の木で作られているので色々な木の風味がつくわけ。

 そういう訳で、長期熟成の高級バルサミコほど濃度があって、甘みもあるんです。そんな高級バルサミコの雰囲気を出すために普通の安いバルサミコを2倍か3倍くらいに煮詰めると熱で酸味も柔らかくなるし、甘みも増して良い感じになるんです。

 私の場合は、1/2に煮詰めたバルサミコを少量常備してあります。たまにお勧めで出している、牛ヒレ肉のタリアータ。牛ヒレのステーキになりにくい細い部分を有効利用するつもりでやるのだが、人気があるので結局太くて良い部分までつかってしまう事が多いのだが、、、。タリアータはイタリア語で切るという意味ですが、肉を焼きあげて薄く切って皿に並べます。カマルグの塩、黒胡椒を挽き、ガーリック風味のオリーヴオイルとサルディニア島産の極上オーガニックオリーヴオイルをかけ、煮詰めたバルサミコを垂らし、パルミジャーノチーズをピーラーで薄く削って散らします。イタリアンのクラシックな料理ですね。普通は牛もも肉でやるんですが、ヒレならなお柔らかいという訳です。鹿肉でやっても美味そうですね。

 




Last updated Jan 31, 2012 07:26:41 AM

Jan 28, 2012

  3種肉のテリーヌと天然釣り物の平目 

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 大きなボールに荒挽き肉を3種類。右手前が、エゾ鹿、左が富士幻豚、そしてシャラン産窒息鴨のモモ肉を各1キロずつに塩と黒胡椒とナツメグにカソナード(フランス産のブラウンシュガー)

 私の場合、卵や粉などのつなぎは一切使わない、肉自体の結着力だけで固めるので、練り込むときに肉の温度が2~3℃なのが理想。これを体重をかけて手で練り込むと、冷たさで手がしびれて痛くなるほどなのだが、その温度で肉を捏ねないと滑らかにつながらないのだ。これは、ハンバーグや肉団子や餃子やシュウマイなどのを作る時も同じで、「挽肉は冷たくして練る」というのが、大事なポイント!

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 真ん中に少しフォアグラを入れて、テリーヌに仕立てる。程よい火の通し加減だとこのように美味しそうな赤身の色に仕上がる。火を通し過ぎると、くすんだ色になるし、食感もぼそぼそして美味しくない。何もつなぎを入れないテリーヌの火の通し加減ほど難しいものはないといってもいいくらいで、実に微妙な焼き加減なんです。

 湯煎にかけてオーブンで蒸し焼きにするのだが、オーブンは160~170℃くらいの低温。さらに湯煎の温度が上がりすぎないように途中で何度か氷を入れたりするんです。冷やしてんだか焼いてんだか、、、という微妙な火の通し方なんです。

 エゾ鹿、シャラン鴨、富士幻豚にフォアグラですから、このテリーヌ、美味い!!スープを作る時も、四足系と鶏系を混ぜると良い出汁が出ますが、強烈な赤身の美味さを持つ鹿、長期飼育で旨味が濃い富士幻豚、鴨の最高級品のシャランにフォアグラの風味と旨味ですからね、、、不味いわけがないですけどね、、。

 本日のテリーヌで、黒板メニューにのってます。

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 天然の釣り物活け〆の平目。これは腹側。

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 背側は、黒いです。平目は、市場で陳列している時は必ず腹側の白いほうを上にして置いてあります。なぜかというと、天然の平目の腹側は必ず真っ白なんです。つまり、普段は砂に潜って、背中の保護色を利用して待ち伏せ型の狩りをする魚ですから、いつも砂に触れている腹側は陽に当たらないので、白いんですね。養殖平目は、生け簀で泳いで暮らしてますから、腹側も陽に当たるので、一部黒くなってしまいます。だから、市場では、真っ白な腹側を見せて並べて、「これは天然ものですよ」という意味を込めて置いてあるんです。これはプロの常識。

 釣りあげたら、首の付け根と尾の付け根の背骨に包丁を入れて血抜きをして活け〆にします。こうすると、白身魚は身が締まって綺麗で鮮度良く肉が保てます。その活け〆にした庖丁の切れ込みを見せるためにも、腹側を見せて陳列するんですね。

 釣り物の天然活け〆の平目は最高級魚のひとつです。刺身、混布〆、蒸し物、椀だね、焼き物、揚げ物(平目の天婦羅は美味いですよ!)、煮物などなんにしても美味しい魚です。

 結構歩留まりの良い魚で、例えば鯛やスズキみたいな魚は、卸して正身(刺身で出せる部分)だけにすると、1キロの鯛なら300g取れればよいほうなんですが、平目1キロからは正身で500g以上取れます。だから、同じキロ単価、例えばキロ¥3000で平目と真鯛が並んでいたら、正身にすると真鯛はキロ¥9000近く、平目はキロ¥6000弱という事で、平目のほうがお得なんです。

 まあ、それにしても高いのでめったに使えませんが、市場にお任せで頼んでおくと、たまに安くし出してくれることがあって、こうして使えるときもあるわけです。しかしこれを焼いて魚料理にしてしまうんですから、サンク・オ・ピエの魚料理、美味いわけですよね!

 あまり濃い味付けにはしたくないので、バルサミコと極上のオリーヴオイルのソースで召し上がっていただきます。今日からオンメニューですが、今日は昼夜とも予約でいっぱいです。このブログ見て、食べたい!と思った方は来週どうぞ。ここまで鮮度が良いと、上手に管理すれば、1週間は刺身で使えるくらいですからね。それに2~3日寝かせたほうが味が乗って美味しくなります。寒の平目は脂が乗っていて美味いですよ!




Last updated Jan 29, 2012 08:44:26 AM

Jan 27, 2012

  尾長鯛のポワレ、アンチョビとレモンのバター乳化ソース 

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 尾長鯛は、鯛とはいっても赤ムツなどに近いフエダイ科の仲間、赤くてきれいな色のやや深海性の魚で、味は淡白ながら旨味はしっかりある白身魚。このようにポワレや塩焼き蒸しものや椀だねはもちろん、刺身でも美味しいし、混布で締めれば、さらにうまみが増して美味くなる。これが入ってくると、中落ちや尻尾のほうは、大抵私の夜のつまみになるという訳。

 皮目をしっかりカリッと焼き上げ、身のほうは余熱を計算して、ギリギリやっと火が通ったくらいにしっとりと仕上げる。ソースは、アンチョビソースにレモン汁を加えて、バターで乳化させたもの。

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 小鍋にアンチョビソースとレモン汁とバターの冷たいキューブを入れてプラックの一番強火にかける。

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 あっという間にぶくぶくと沸いてきます。この沸騰する勢いが、泡立器の代わりになってソースが乳化する。

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 出来上がりはこんな感じ。しゃぶしゃぶ用のゴマだれに近いくらいの濃度があればうまくいったという事。

 実はこのバターの乳化ソースの作り方は、とても非常識なやり方でフランス料理のソースがきちんと作れるプロの料理人に話すと、いつもびっくりされる。作り方があまりに非常識という事と、たった1人前ずつしか作らないという異常さ!しかも、作っておいた乳化ソースを温め直したり、煮詰めたりと、、、おそらくどんな料理の本にも書いてないような、目茶苦茶?なやり方だからだ。

 興味のある方は、ここを見てください。代表的な乳化ソースである、ブール・ブラン(白バターソース)の非常にまっとうな作り方が書いてあります。注目していただきたいのが、絶対に沸騰させないこととか、弱火でゆっくりとか、作り置きはきかないとか、私がやっているのとは正反対のことばかり書いてあると思います。

 以前、うちに研修に来たクリークの黒川シェフの目の前で作って見せたら、彼は眼が点になってました。(笑)「今何したんスか?」って言ってましたね。ソースが沸いてきたところで、軽く鍋を回すのがコツなんですが、とにかく火が強くてソースの量がせいぜい2~3人前くらいの少ない量じゃないとだめなんです。普通のやり方の真逆ですね。(笑)

 話を整理しますと、普通のバターの乳化ソースは、弱火もしくは火から下ろした状態で、余熱を利用しながら、ゆっくりと注意深く泡立器を使ってバターが分離しないよう何度にも分けてバターを加えながら作る物です。沸騰は厳禁!しかもある程度の分量がないと作りにくいです。最低5人前以上、10人前くらいを作るのが一番やりやすい。出来たソースは、ぬるめの湯煎にかけて時々掻きたてながら、短時間なら置いておけるが、基本的に作り置きはできないし、冷めたものを温め直すことは、通常は出来ない。

 私のやるバターの乳化ソースは、プラックど真ん中の強火でつくり、わざと沸騰させながらしかも材料は一気に全部入れてしまい、泡立器などろくに使わず、作る量は少ないほどやりやすい。3~4人前くらいが限度という、すべて正反対なわけです。しかも、温め直しはするは、作るときにガンガン煮詰めるはで、もう目茶苦茶なんですよ(大笑い)

 昔テレビで見た限りでは、三国シェフはやってますね。このやり方。そのほかフランス人シェフでも結構やる人多いと思います。ただしレシピに堂々と書いてる人はいないかな?私の知る限り、、、。

 で、一体どうしてこんなことができるのかというと、まずバター自体は冷たい塊の状態であれば、乳脂肪と水分と少しのたんぱく質などが乳化した状態で固まっているわけです。それをサイコロほどのキューブ状に切っておいて、激しく沸騰した水分と合わせると熱で融けるそばから、水蒸気が激しく水分とバターを撹拌してくれるのでバターが分離する間もないまま乳化が解けない状態で液化していくという訳。その時に激しく煮詰めてゆくと、どんどんソースの濃度が濃くなってゆく。もちろん煮詰めすぎれば分離しちゃいますけどね。

 それで、温め直しができるわけは、手作りのマヨネーズと市販のマヨネーズの違いとでも言えましょうか、、。乳化が、しっかりできていると少々手荒に扱っても大丈夫なんです。もちろん、かなり熟練が必要ですけどね。

 それで、このやり方の最大のメリットは、一人前ずつ作るので、ロスがないこと。20~30秒もあれば出来るので、盛り付け直前に仕上げられるので、熱々が出せるということか。バターは最近値上がりしているので、無駄を出さないというのはとても大切なことです。

 このソースはプラックがないと厳しいですね。あと8センチとか10センチくらいの口径の小鍋が必要ですね。慣れないうちは、生クリームを少し垂らしておくとやりやすいです。これは、クラシックなブールブランの時も同じです。初心者は、はじめにバターを入れた瞬間に分離させてしまって、すべてパーにしてしまう事故をよく起こすからです。まあ、私の場合、どんなに失敗した場合でも修復可能な対処法をいくつも知っていますから、大丈夫なんですけどね。完全に分離してしまっても、元に戻せますから、、、。

 フランス料理は、ソースが命なんてよく言いますけど、、、このバター乳化系のソースは一番難易度が高いんです。物理的に科学的に何が起こっているかをちゃんと把握しつつ理にかなった作業をしないとすぐに失敗します。私は日常的に長年やってますから、なんという事もないんですが、実はそう簡単にできることではないんです。(高笑)?

 まあ、普通は基本の乳化ソースの作り方をみっちり覚えてからの大裏必殺技ですね。良い子はマネしないでね!(爆) 




Last updated Jan 27, 2012 10:56:14 AM

Jan 26, 2012

  Couteau クトー

003.jpg

 銃刀法違反の押収物ではありません。(笑)私の愛用の庖丁です。この他にも10丁くらいあります。庖丁は、フランス語でクトーと言います。

 上の2本は、全く同じもので一番上が新品の物。それを15年くらい使うとだいぶ細くなりますね。この2本は、スライス用ナイフで、スモークサーモンや刺身、骨付きの生ハムなどを切るのに特化したものです。かなり薄刃で、弾力があってしなります。先日弟子のブログに出ていたやつと同じです。彼のは、スペイン製ですが、これは、ドイツのゾーリンゲンのギーザーという会社のもです。フランス人も結構ドイツナイフの愛好者が多いようです。ギーザーはめったに売っていないので、ちびて使えなくなったときのために、同じものをもう一本買っておいたのでした。スライスナイフは、はじめから細身なんで、砥ぐとすぐ痩せてしまいますからね。

 上から3番目は、フィレナイフとかソールナイフと言われるもので、これも薄刃でよくしなります。舌平目や平目を卸すのに適していますが、他の魚にも使えます。出刃庖丁のように一気にスパッと卸すのではなくて、骨から身をはがすような、刃の弾力を利用して、骨にそって剥がしていく感じですね。これも15年物です。

 一番大きいのが、牛刀。文字通り肉切り包丁です。これは受注生産品で、特別サイズ。尺二寸ですから約40cm弱でした。もう20年以上使っているので、今は37cmくらいに減っていますが、、、カッパ橋の老舗の庖丁屋の鍔屋さんのものです。今作ってもらうと、5~6万はするようです。たしか当時は、¥45000くらいだったかと思います。鍔屋さんは、通常の業務で、庖丁が大きく刃こぼれしたり、折れた場合はいつでも新品に取り換えてくれるという、プライドが高いお店ですが、あいにく通常業務では、折れたりしません。(笑)これだけの刃渡りがあると、和牛のサーロインなど、かなり大きな肉の塊でも、すっぱり綺麗に切れて助かります。それから特大の西瓜もいくらでもかかってきなさいという感じ。スパスパ切れます。玉ねぎのみじん切りなら、1個30秒もかかりません。ただとにかくでかいですから、家庭用はもちろん、初心者にはむきませんけどね、、。

 一番下のが、洋出刃です。これはほぼ魚卸し専用ですね。これも20年物です。よく砥ぐので、最初の大きさの3/4くらいになってしまいました。出刃の場合は、洋包丁でも片刃に刃付けしてあります。魚を一気にスッパリ卸すのにむいてます。

 庖丁の手入れは、当然砥ぐわけですが、どうも、多くの人が砥ぎすぎるんですね。要は切れ味が復活すればいいわけですから、プロ用のきちんと刃の付いたナイフなら刃先のほんの百分の数ミリ程度砥げば、切れるようになるはずなんです。そこを通り越して、刃がまくれるほど砥いで、いったん切れなくなるほど砥ぎこんで、刃をつけ直すような砥ぎ方をする人が多いんですね。そんな砥ぎ方をしていたら、庖丁がすぐに痩せて使えなくなってしまいます。大事な道具なのにもったいないですよね。私の場合は、理にかなった砥ぎ方をしているので、20年以上も使えるんです。砥ぎすぎる人は、早いと3年くらいでダメにしちゃいます。そういう人は、休憩時間などに包丁一本を1時間くらいかけて砥ぎまくってますね。(笑)私は一番大きい牛刀でも2~3分しか砥ぎません。

 料理するのにいろんなものを切りますが、庖丁の一番の強敵が実はパン、特にバゲットなんです。意外かもしれませんが、バゲットの皮のところ、クラストと言いますが、、、あれがすぐに包丁の刃をつぶしてしまいます。特に薄刃のぺティナイフなんかで、バゲットを切ってしまうと、もう完熟トマトの皮なんかとても切れません。砥ぎ直しです。だから私はパン専用に小さめの牛刀を一本あてがっていて、他のナイフでは絶対にパンを切りません。そのほうが衛生面でも安心ですからね!

 ちなみに刃物で物が切れるという事。実は科学的には完全に解明されていないそうです。つまり分子原子のレベルで、切るという事のメカニズムがまったく分かってないらしいのです。究明したら、ノーベル賞ものなんだそうです。不思議なもんですね、、、。




Last updated Jan 26, 2012 08:38:52 AM

Jan 23, 2012

  検見川の欧風レストラン・クリーク

 昨日は、久しぶりにクリークに行ってきました。遅めのランチです。

 シェフの黒川氏は、私の弟子のひとり。今日は、前菜にイタリアの超希少豚「チンタセネーゼ」の生ハムと自家製スモークサーモン、メインは目鯛のポワレでした。スモークサーモンは、なかなか上手にできていたし、チンタセネーゼのハムもとても上手に切れてました。目鯛のポワレも以前に比べると、だいぶ上手に焼けてましたね。だいぶ私に近づいてきたかな、、。素材への塩加減もまずまずで、以前に比べると進歩が感じられました。

 ただ、総合力から考えるともう少しソースにインパクト持たせると料理に力が出るかもな?という感じですかね。私も若いころそうだったんですが、ソースにもう少し頼るタイプの料理のほうが商売的にはうけが良いんです。

 焼き鳥や焼き肉のたれ、刺身の醤油にしても、日本人の好むたれ(ある意味ソースに含まれる)は、決して薄味ではありませんよね!

 ごまかすという意味ではないんですが、忙しい時もそうでないときも、安定感がある料理という事になると、ある程度しっかりした味わいのソースがあると、助かるんです。サンク・オ・ピエの牛ヒレのステーキのバターソースは開店以来変えてません。魚料理のソースでも、アンチョビとレモンのソースやシェリーヴィネガーと焦がしバターのソースなど、私の中の定番がいくつかあって、自分でも安心して使えるし、お客様にもまずはずさないというものです。

 素材への正しい塩加減と適切な火の通し加減だけで勝負するというのは、潔いのですが、リスキーです。本当に決まれば最高なんですが、少しでも精度が落ちると厳しいです。ソースという付け味は、上手に使えば料理の安定感をとても高めてくれます。そのソースの中に、非日常性の要素があれば良いんです。それが一つの付加価値になりますからね。

 料理というのは、いちばん基礎的には、そのままでは食べられないものを食べられるようにするところから始まります。例えば、魚を卸したり、野菜の皮を剥いたりとかの下処理から始まって、生では食べられないものを焼いたりゆでたりすることですね。その段階で、まあ、食えるわけですが、私どもプロの料理人は、そこにさらに付加価値をつけねばなりません。簡単にいえば、金をとれる仕事をしなければならないという事です。

 魚や肉を焼いて、何らかのソースを添える。これ自体は誰にでも出来ます。サンマ焼いて、卸しポン酢でもいいわけですよ。旬のサンマなら絶対美味しいわけです。それにご飯とみそ汁と香の物でも添えて、、、リーズナブルな定食屋さんなら、それで商売成り立つでしょう。ただレストランの場合は、もう少し気の利いたもの、あるいは非日常的なもの、さらにいえば、素人にはとても作れないというレベルの物を常々提供していないと、人気のお店にはなれないでしょう。

 もっと厳しくいえば、お客様がお会計の時に、思ったより高いなぁと思うのか?普通だな。と思うか?これなら安いなぁ!と思うか?お客様が、「美味しかった。楽しかった。あんな美味しいのどうやって作るんだろうね?」と思ってくれたら、最高ですね。

 有名なミシュランのレストランガイドのもともとの基本的評価は、一つ星は、美味しい店。二つ星は、少し回り道をしても寄ったほうが良い店。三ツ星は、その店に行くためだけに旅行する価値がある店ということだったんです。

 実際にミシュランの星を取るかどうかなんて話は、まあ置いておいて、、、「わざわざ予約して遠くから足を運ぶ価値がある店」と言われれば、本来の意味での三ツ星なんです。そこを目指して頑張らないといけません。

 黒川氏と同業同士のお客様にはきかせられない話(と言っても、悪だくみの話じゃないですよ!業界裏話というやつです。もし、寅さんがきいていたら「おめぇーさん、それを言っちゃぁおしまいよ」と言いそうなくだらない話です)で盛り上がりました。




Last updated Jan 24, 2012 07:50:59 AM

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○ cinq chefRe:おめでとう!(02/08)akikoさん ----- ありがとう。 M先生...
○ あすか@おめでとうございます^o^これからも、素敵なお料理とデザートと...
○ akiko@おめでとう!お誕生日おめでとうございます。 私も...
○ せいがん1443美味しそう思わず、読み込んでしまいました。 美...
○ madame-H@キッシュに入れてます。相かわらず、手間のかかるスープを楽し...

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