カテゴリ:シェフの雑記帳
大好評の富士幻豚(ふじげんとん)のコースの詳細です。富士幻豚は、富士山麓で桑原さんという世界的にも有名な畜産家が手掛ける中ヨークシャー種という希少種の豚です。その希少さは、国産豚のなんとわずか0.2~0.3%の流通量だそうで、まあなかなか手に入れることすら難しいわけです。 戦前までは美味しい豚ということで、世界的にもたくさん飼われていたのですが、戦後の食糧難のこともあり、世界的に生産性のよい豚の品種改良が進んで、美味しさは二の次にされるという事態が進んだ結果、成長が遅く子供もたくさん産まない中ヨークシャー種は、ほとんど廃れて本国イギリスにはもう一頭もいないそうです。 21世紀も近くなったころから、世界各地の生産性は悪いが美味しいという豚が見直され始めて、フランスのビゴール豚やバスク豚、スペインのイベリコ豚のべジョータ、ハンガリーのマンガリッツァ豚などが次々と復活したり注目を集めてきました。日本の豚はそれに少し遅れて、21世紀に入ってからこのところ格段に良くなってきました。特に九州の黒豚が有名ですが、この富士幻豚は希少性と食味の良さから黒豚を超えるものと言っていいと思います。 一皿目は、Salade de lard fume de FUJIGENTON et Jambon fume de FUJIGENTON とろける!富士幻豚の自家製パンチェッタと赤身が美味しい富士幻豚もも肉の自家製スモークハムのサラダ仕立て。パンチェッタは奥のほうですね。自家製のドライトマトも添えてこれがまた美味いです!モモハムは赤身の美味さ、パンチェッタは、脂の美味さと口解けの良さを味わっていただきたいです。一般的に豚の脂の融点は、38度前後ですが、富士幻豚の脂は32.8度で融けるという事です。だからパンチェッタの口解けが見事です!ちょっとないですよ!!本当に美味いですから、、、。定番のワインの組み合わせは、シェリーのマンサリーニャ・パサダかほんのり甘いカリホルニアのジンファンデルロゼが良いですね! 2皿目は、Petit cassoulet de FUJIGENTON et foie gras chaud 富士幻豚と白インゲンの小さなカスレ仕立て、フォアグラ添え。 これはカスレを仕込んでいる様子。カスレというのは、西南フランス地方の郷土料理なんですが、フランス全土で親しまれているフランス人が大好きな料理です。本場西南地方では、地域ごとまたは家庭ごとにいろいろ作り方があるんです。この料理の主役は白いんげん豆!これはまず間違いありません。 まず、ガチョウか鴨の脂で玉ねぎニンニクエシャロットなどを炒めます。私の場合、ガチョウや鴨の脂の代わりにフォアグラのくずを炒めて脂を出して使います。そこに富士幻豚のハムやパンチェッタの落とし肉とロース肉の端肉などを加えて炒め、水で戻して柔らかくした白いんげん豆を加えて、少しのトマトソースとトマトペーストに薄めのブイヨンを入れて煮込んでいきます。豆が半ば崩れてグタグタになるくらいがよい感じ。 実はカスレという料理、本物はは脂ギトギトなんです。仔羊を入れたり、鴨やガチョウのコンフィを入れたり、もちろん豚肉(ソーセージなども含めて)肉類の脂っこいやつが大量に入ります。それを土鍋に入れて、パン粉を振ってグラタンのように焦げ目をつけて出してくるのですが、、オレンジ色の脂が2センチくらい浮いているような脂っこい食べ物なんです。西南フランス産の濃ーーい赤ワインがよく合いますが、はっきりいって日本人にはちょいと重すぎるので、私の場合は脂肪分はかなり控えめです。それでも十分濃厚ですけどね、、、。 このように盛り付けて、パン粉を振って上火で焼き色を付けてから、、、 フォアグラのソテーをのせます。白いんげんとフォアグラの脂が絶妙にマッチして、フォアグラ料理なのに赤ワインがよく合います。 さて、続くメインは、Cote de cochon de FUJIGENTON roti 富士幻豚の背肉の低温長時間ロースト どうです!このしっとりとした焼き上がり。250度のオーブンに2~3分入れては暖かいところで5~6分休ませるということを繰り返して、肉の温度を少しずつ上げていきますから、肉にストレスがかからずに柔らかく仕上がるわけです。低温長時間ローストというと低い温度のオーブンに入れると思うでしょうが、そうではなく肉自体の温度を低温に保ちながら焼いていくということなんです。最低でも1時間半くらいはかかります。ですから予約のみということになるんですね。 カマルグ産のフルール・ド・セルをぱらりと振りかけ、黒胡椒を挽き、ポルト酒と赤ワインに赤ワインヴィネガーと蜂蜜も少し入れて仕上げたソースです。 さて、デザートがまたゴージャス!Ganache de Manjari grand cru de Valrhona, それに合わせるはもちろんさかもとこーひー!このデザート専用のブレンドです。 ヴァローナのグランクリュ、マンジャリのショコラはとても印象的な味わいです。上質なコニャックや木イチゴのリキュールでも入っているかのような芳醇な風味でちょっとびっくりします。もちろんそういうアルコール類が入っているのではなく、ショコラその物の風味がそこまで芳醇なんです。マダガスカル産の最高級カカオ豆を使った逸品です。もちろん値段も最高級です。 モンブランは、まず栗入りのフィナンシェを焼き、その上にフランス産の栗100%のマロンペーストを使った軽いマロンクリームを絞って、イタリア産の栗をラム酒風味のシロップで煮たものをトッピングしてあります。ケーキ屋さんのモンブランと違ってクリームが軽くて上品な感じです。 アイスクリームは、卵を使わないで作りました。ちょっとハーゲンダッツ的なイメージの味わいに仕上げてあります。最近取れた自家菜園のブルーベリーのコンポートをたっぷり混ぜ込んで、きれいな紫色で目に良いというアントシアニンがたっぷりです。 またこのデザートに専用ブレンドを合わせると、、、これがまた美味いです!特にヴァローナのグランクリュ・マンジャリの生チョコは、ちょっと言葉が出ません。素晴らしいマリアージュです。もちろん、モンブランとは当たり前のように合うし、ブルーベリーアイスクリームと合うのはおそらく、マンジャリのベリー系果実味に合わせたこーひーだからでしょうね、、、。今回もさかもとさん良い仕事してくれました。ありがとうございます。 というわけで、超希少種富士幻豚を楽しむコースは、ご予約限定メニューです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Sep 6, 2011 03:39:26 PM
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