テーマ:シェフのスペシャリテ(240)
カテゴリ:シェフの雑記帳
サンク・オ・ピエでは、2009年の12月からさかもとこーひーを使わせてもらっています。特に季節のコースやクリスマスディナーなど、特別メニューのときにはそのデザートに合わせた特別なブレンドを仕込んでもらっています。 レストランでさかもとこーひーのようなスペシャルティーコーヒーを使っている店はかなりの高級店でもきいたことがありません。まして、デザートとこーひーのコラボレーションなんていう事をやっているのも、おそらく世界的に見ても稀有なことだと思います。 今やっている“ジビエ尽くしのコース2012”にも、専用ブレンドがあります。そのブレンドの仕込みのプロセスが、坂本さんのブログに書いてありました。 さかもとこーひーとサンク・オ・ピエのコラボもいよいよ玄妙の域に達してきた感があります。今回のブレンドも、実にすばらしくマッチして、、、実に上品な味わいで、ワインでいえばフィネスという言葉がぴったりです。それも、デザートだけに合わせたわけではなく、食事全体の流れや、一緒に飲むワインの後味なども考慮したうえで、最後にデザートにたどり着いた時にあるべきこーひーという、実にこだわったつくりなんですね。 プロのこだわりなんていうと、素人にはわからない難しい世界?なんて思うかもしれませんが、これは坂本さんと私の間では楽しい遊びなんです。遊びというのは、真剣にやるほど楽しいわけで、、特に職人仕事は、遊び心や楽しむ姿勢がないとだめですね。 美味しいこーひーを作るこーひー屋さんはたくさんいるでしょうし、美味しい料理やスイーツを作る職人もたくさんいます。でも、自分のこーひーがどんな場面で何を食べながら飲まれるか、考えて作る人はあまりいないでしょう。料理人やパティシェも自分の料理やお菓子にどんな飲み物(こーひー紅茶やワインや酒)が合うか、考えて作っている人は少ないです。 魚だから白ワイン、肉には赤ワインなんていう、大雑把な話ではなくて、赤ワインなら、ピノなのかカベルネなのかそれともメルローとかシラーなのか?樽の香りが利いているか?いないか?熟成した古酒かフレッシュな新酒か?果実味、ミネラル感、タンニンの強さ、、、、etc あらゆる要素を考慮してワインを選びます。 坂本さんも私も長年飲み物と食べ物のペアリング(マリアージュ)を研究してきたので、今では実際に実物がなくても、頭の中で料理やコーヒーが出来てしまいます。ですから、コースに合わせたブレンドをお願いするときにも、メールで簡単に料理の説明をするだけなんです。坂本さんは私の仕事を熟知してますから、これだけで充分なんですね。ジャズミュージシャンが簡単なコード譜だけで演奏できるのと同じ感覚です。 先日のカナール・デ・マレを焼いたところ。シャラン産の鴨よりも気持ち発色が良い感じです。柔らかいし、風味も高いです。美味いですよ! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jan 15, 2012 10:15:10 AM
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