カテゴリ:シェフの雑記帳
昨日のお昼に当日予約でいらした80代と思われるご老人。南仏の避暑地が似合いそうなダンディーないでたち、何かこうオーラを感じる方で、、一緒にいらした私と同年輩と思われる方もやはりただものではない雰囲気をお持ちでした。ご注文はごく普通のランチコースです。 前菜のテリーヌが出て少しすると、マダムが厨房に来て「あのお客様料理人みたいだよ。なんか“テリーヌを一口食べればその料理人の人生が分かるんだ。”なんて言ってるよ。」と、、。凄いことおっしゃる。そういえば辻静雄さんも“テリーヌというのはシンプルな料理だけに料理人の腕がもろに出てしまう。テリーヌが美味しければ他の料理も押して知るべしである。”というようなこと言ってましたっけ、、、。 マダムがテリーヌの皿を下げに行くと、「美味しかったよ」といってくださったそうです。二皿目はトマトのプロヴァンス風、次は冬瓜のスープ自家製ベーコン風味、メインは仔牛のタリアータ トマトヴィネガー風味。 まあ、こんな感じのメインでした。メインもきれいに召し上がって、デザートを持って私が出ると、「いやー美味しかった。ところであなたはどこで修業したの?」と、「ありがとうございます。私は独学なのでフランス料理の先輩はいません。エスコフィエを始めにたくさん本読んで勉強しました。」と、「あーそう、独学なの。よく頑張ってるねぇ。」などと言われました。 お帰り際に「しかし、この値段でこんなに出しちゃったら儲からないだろう?」と、「まあ、千葉ですから都内ほど家賃など高くないので頑張ってます。」と、「いや、場所がどことか関係なくこの値段でこの内容はたいしたもんだ。今日は楽しかった。良い冥土の土産ができた(笑)」と、「ありがとうございます。」と、「そうだ、記念に名刺やろうな。」と言っていただいた名刺を見ると、フランス農事功労章受賞者協会 名誉会長とあり、びっくりしました!元ロイヤルパークホテル総料理長の嶋村光夫氏、フランスから勲章 農事功労章オフィシエ、黄綬褒章、その他各国より勲章や名誉職や名誉市民など、日本のフランス料理業界の生けるレジェンドです。 旅のご老人におほめの言葉をいただいたと思ったら、黄門様だった!くらいのびっくりでした。 こんなすごい人に褒められると、素直に嬉しいです。特にテリーヌを誉められたのは嬉しかったですね!今更テリーヌなんて古いと言われがちですが、クラシックな料理として自分ではいつも大事に作ってきたものなので、それをクラシックの殿堂のような方に評価されればやはりうれしいです。野球少年が王さんや長嶋さんにほめられるようなもんですよ! いやー、びっくりしたけど嬉しい出来事でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Aug 31, 2014 09:18:55 AM
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