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さくらもち市長だより [全1370件]
# 1198 ![]() 映画の余韻もすっかり冷め、ショッピングセンターから急いで帰ると すぐ公園へ向かい、 公園の入り口で 「くつした」 と小さく呼びながら、いつものように 「チッチッチッチッ」 と舌を鳴らしてくつしたを待ちました。 茂みの中にでもいたのか、くつしたはすぐに現れ小走りで寄ってきました。 「お待たせ。」 「くつした、一緒におうちに行こうか。」 もう私は躊躇なく くつしたのそばにしゃがんで、両脇からくつしたをそっと抱き上げました。 くつしたはいやがることもなく私の手に収まりじっとしていました。 手のひらにすっぽり入るほど小さくはないくつしたをなるべく隠すように、私はおなかの辺りにくつしたを抱え、アパートの住人に気付かれないように こっそりと部屋へ帰りました。 階段を上り、 廊下を歩き、 ドアの前に立つ。 その次々に現れる見慣れない景色に目を丸くしていたくつしたは、玄関ドアを開けて中に入ると 蛍光灯に照らされた明るい世界を見て、眩しそうに目を細めました。 「ちょっと待って。」 抱えていたくつしたをまるに託し、買ってきたばかりのペット用ボディタオルを出してきて、それでモミモミとくつしたの体を拭きました。もがもがと手足をバタつかせながらくつしたは抵抗しましたが 「部屋に入るときだけだからね」 と指の間まで拭いて もういいよ、と床に降ろすと ボサボサの毛を2、3度舐めただけで、くつしたは部屋の奥へのそのそと進みました。 「ここがくつしたの家だからね。」 私は台所でくつしたのために浅めのお皿を探し、キャットフードと水を準備し始めました。 まるは買ってきた洗い桶に猫砂を入れて部屋の隅に置きました。 ここでおしっこするんだよ、と説明するより早く くつしたは、のそのそと洗い桶に足を入れ、砂の匂いと感触を確かめるように顔を近付けながら くるくると回ったあと、砂の上にしゃがんで用を足しました。 「すごい。この子、教えてないのにトイレができる。」 まるは驚いて言いました。 うちへ来て手が掛からないように ちゃんと知ってるんだ、と分かるような分からないような 説明をしながらくつしたを褒めました。 キャットフードの入ったお皿をくつしたの前に置くと、ぐるぐると喉を鳴らしながらポリポリと食べました。公園にいるときよりも一所懸命に食べ、気が済むまでおなかに入れると、あらためて部屋の中を こわごわな様子で歩き回りました。 しかしここは安全な場所だともう分かっているかのように、歩きながらも ぐるぐると喉を鳴らし、何かに顔を近づけ 勝手にビックリして少し飛びのくとき以外は、ずっとそれを言い続けていました。 ゆっくりした 「ぐるぐる」 という響きよりは 「ぐーぐー」 あるいは 「ブーブー」 という表現が近いと思える、高速で細かく連続するような音でした。 私は思わず 「子猫ってモーターで動いてるの?」 と聞きました。 くつしたは寝るときまでモーターを回しっぱなしでした。 布団に上がって一緒に寝てもいいよと誘ってみましたが、くつしたは枕元の布団の外で、 敷布団の下に敷いたマットレスにもたれるようにうずくまり、「ここでいいの」 と言うように丸まって眠り始めました。 指で撫でると 「グー・・・」 とモーターの音は大きくなり、まだ熟睡はしていないようでしたが それでも顔を上げたりすることもなく気持ちよさそうに寝続けました。 私は何だかうれしくて、自分が寝付くまで何度もくつしたを指で撫でました。 小さく途切れかかっていたモーターの音がまた大きくなり、そのたびにくつしたの熟睡を妨げているのは分かっていましたが、それでもその可愛い寝顔や背中に触れてみずにはいられませんでした。 ![]() 翌朝、まるも私も仕事に出かけなければならなかったので、予定通り くつしたには私たちが帰るまで公園で過ごしてもらうことにしました。 時間帯によっては他の住人と顔を合わすことになるので、朝起きたらすぐ、顔も洗わないうちにとりあえず服に着替え、くつしたを抱えてアパートの階段を下りました。 公園の入り口あたりでくつしたをそっと地面に下ろし、 「夜まで待っててね。」 と、放しました。 元気なくつしたは、うれしそうに、すぐに走って桜の木の向こうに消えました。 くつしたの気がそれているうちに私はさっとアパートの部屋へ戻りました。カーテンを少し開けて窓から外を覗くと、ときどき茂みの間から飛び跳ねるくつしたの姿が見えました。楽しそうにしているのを見て少しホッとし、私は自分の仕度を始めました。 仕事中も くつしたはどうしているかな と気になり、と同時に迎えに行くのが楽しみで、とにかく早く帰れるよう 私は必死で仕事をこなしました。 まるも同じだったようで、アパートに帰り着いたのは ほぼ同じぐらいの時間でした。 公園の入り口あたりを見渡しましたが くつしたの姿は見えませんでした。 「チッチッチッチ・・・」 と いつものように舌を鳴らしてみましたが なかなかくつしたは現れません。 「くつした、くつした。」 近所に聞こえないぐらいの大きさの声で呼んでみました。 何度か呼ぶうちに、ふとどこかで小さな猫の鳴き声が聞こえたような気がして、「しっ!」 と 耳を済ませてから もう一度 「くつした」 と小さく呼んでみました。 「ニー・・・」 と 微かな声がたしかに聞こえました。 どこから声がするのか分からず、何度も呼びながらその小さな声をたどりました。 頭の上から聞こえたような気がして見上げると、公園の入り口に立つ桜の木の枝にくつしたは小さくうずくまり 不安そうな顔でこちらを見下ろしていました。 「くつした、降りておいで、ほら。」 と手を伸ばしましたが くつしたのいる枝までは届かず、くつしたも困ったようにじっとしたままです。 「飛び降りておいで。」 と、さらに手を伸ばしましたが、「ニー」 と か細く答えるばかりで、自分では降りられないのだと言うように動こうとしませんでした。 「まる、あれ取って。」 私はわざと木の実でも採るような言い方でまるに頼みました。 まるはワシワシと木に登り、腕を伸ばして枝に“なっている”くつしたをつかみました。 くつしたはそうされるのを待っていたかのように素直に捕らえられ、まるは そのまま木の 中腹から下にいる私へくつしたを手渡しました。 くつしたを両手で受け取ると やわらかさと生温かさが手に伝わり、私はくつしたを両手でそっと包みました。 「今日は遅いなーと思って、木の上で待ってたのか。」 木から下りてきたまるが くつしたの頭をなでながら言いました。 くつしたは何とも答えず、ただ私の手の中でじっとしていました。 「またおうちに帰ろうか。」 昨日と同じように くつしたを隠すようにしてアパートに帰りました。 玄関でまた もがく くつしたの体を拭き、はい終わり、と床に降ろすと、二日目は少し慣れた様子で部屋の中を嗅ぎ回り、迷うことなくトイレで用を足し、落ち着いた様子でお皿のキャットフードを食べ、布団の横で安心したように眠りました。 くつしたがいるだけでアパートの狭い部屋は一気に明るくなりました。 くつしたの行動のひとつひとつが目新しく 可愛らしく おもしろく、 「ごはん食べてる」 「寝転んでる」 「棚の上に飛び乗った」 「また隙間に入った」 と、いちいち声に出して、まると私はくつしたの話ばかりしました。 くつしたは部屋の中を荒らすこともなく、壁や柱で爪を研ぐこともなく、トイレの失敗もなさそうで、私は少し心配しすぎていた自分を可笑しく思ったりしました。 「この生活、大丈夫そうだね。」 部屋の中でもくつしたはおりこうさんだし、朝 公園に行くのも楽しそうだし、夜はちゃんと待っててくれたし、何の問題もなく 明日からも過ごせて行けそうな気がしました。 しかし、そんな安直な考えによる生活は たった二日で破綻してしまうことになるのでした。 次回に続く >> << No.1197 ![]()
# 1197 【 前回のおはなし 】 他の2匹がいなくなり、公園でひとりぼっちになったくつしたを家に連れてくるかどうか 決断の猶予がなくなりました。しかし私はすぐには覚悟できず・・・ ![]() 翌日、2004年9月12日、日曜日。 かねてから予定していた映画を まると見に行きました。 くつしたをどうするか、夜の数時間では結論が出せるわけもなく 気持ちを急かさないよう自分を落ち着かせながら、なるべく日常の雑事の中でくつしたのことを判断したいと思いました。 昼近くに起きて、車で出かけました。 ショッピングセンターの中にある点心の店で遅めの昼食をとり、そのままショッピングセンターと繋がる建物へ入り、キャラメルポップコーンの甘い匂い漂うシネマコンプレックスの映画館で手に汗握るようなハラハラドキドキの映画を見ました。 映画を見ている最中は 完全にその世界に浸り、氷の溶けかけたコーラをときどき静かに吸うこと以外は 現実の何もかもが自分の中から消えているようでした。。 物語が結末を迎え、エンドロールが終わりかけたとき 頭に浮かんだのは、くつしたのことでした。 まるも多分そうだったのですが、お互いそのことには触れず おもしろかったと映画の感想を言いました。館内が明るくなり、ざわざわと人が出口へ向かうのに付いて廊下へ出ました。 非日常の世界から一歩一歩現実へと近付き、正面の大きな窓を見ると外はもう日が暮れて真っ暗でした。 ![]() くつした、待ってるな・・・。 ふとそう思い、急に気持ちが焦りました。 でもまだ慌てるなと自分に言い聞かせ、「このあとどうする?」と話しながら自然と足はショッピングセンターに戻る通路へ向かいました。 ショッピングセンターで何を見るともなしにうろうろしながら私は頭の中で必死に決断する答えを探しました。すでに思案の幅は くつしたを迎えるかどうかではなく、迎えるに当たってその覚悟が出来るか、というものになっていました。 部屋の中をぐちゃぐちゃにされたらどうする? ま・・・、それぐらいのこと。 トイレじゃないところでおしっこされたら? まぁ・・・掃除すればいいだけのこと・・・かな。 ネコがいることバレたらどうしよう。 バレないように・・・頑張ろう。 あんな小さな猫だけど、本性は凶暴な獣だったりして 夜中に豹変して襲ってきたら? ・・・そんなことあるわけないか。 思いつく限りの状況や出来事を、くつしたとの生活で想像してみました。 自信が持てることは あまりありませんでした。でも覚悟しようと思えば できることばかりでした。 私はふと、いい案を思いつきました。 私にも、そしてくつしたにも負担の少ない生活の方法だと思えるものを。 私は急に気持ちが軽くなり、歩きながら 「うん・・・!」 と決断の合図を口に出してみました。 「何が?」 とまるが聞きましたが、もう一度 「うん」 と自分に確かめるように頷いて、自分なりのプランを話しました。 + + +平日の朝から晩まで、仕事に出かけるまると私は家を空ける。 その間くつしたには、これまで通り公園で過ごしてもらえばいいんじゃないか。 今まで自由に外を走り回っていたくつしたも、急に狭い誰もいない部屋に閉じ込められたらストレスになるだろうし、留守中に大きな声で鳴かれたとしても対処のしようがない。それで近所に気付かれでもしたら、たちまちその生活が破綻してしまいそう。それはなるべく避けなければ。 とりあえず朝 出かける前にくつしたを公園へ連れて行き、そして夜 帰ってきたらくつしたを迎えに行く。夜だけゆっくり安心して食事と睡眠をとってもらう。 + + + そういう半分半分な生活をとりあえず始めてみようと提案しました。 それがうまく行くかどうか分かりませんでしたが、とりあえずそうしてみるのが最良だと そのときは思えました。 まるは それでいいと納得してくれました。 きっと、もっと思うことはあったのかも知れませんが、最初からきっちりと決めてしまっては 私が長続きしないと思って私の意見を優先してくれました。 とりあえず、そうと決まったら、 「何が必要かな。」 と、くつしたを迎え入れるための物を買いに行きました。 台所用品のコーナーで手ごろな大きさの洗い桶を選び、それをくつしたのトイレとすることにしました。トイレ用の砂は、片付けの手間やゴミが出ないということで木くずを固めた水に流せるタイプを選びました。これまでずっと外にいたくつしたをそのまま部屋に上げるのは少し抵抗があったので、ペット用のボディタオルという 濡れティッシュの大判タイプみたいなものも買いました。 必要最低限のものだけ買うと、今さらながら 「急いで帰ろう、くつしたが待ってる!」 と車に乗り込みました。 No.1198 >>謝HOME * この話の登場人物 * ![]() くつした 公園にいた3匹の 子猫兄弟のうちの1匹 * ![]() グレーの尾長「しっぽ」 真っ黒「クロちゃん」 足先だけ白「くつした」 ![]() 大人その1 人間のオス ○○さん 仮に「まる」とする ![]() 大人その2 人間のメス 私(me) 仮に「みー」とする すんごい今さらになったけど やっと、つづき書きました。 「次のはー?」と、ときどき リクエストしてくれた人、 大変おまたせしました。
# 1196 ![]() 台風が、蒸し暑いのを どっか持って行ってくれた。 台風の影響で 昨日は一時、横殴りの雨と雷がだーっと来て どうなるかと心配したけど、 それも少しの間だけで 雨が止んだあとは曇り、 そして夕方には晴れてきて なんかあっさりしたもんだった。 ![]() でも台風が夏を持ち帰ってくれたおかげで 一気に涼しい空気がやってきて 昨日の晩は ひっさしぶりにエアコン切って 窓からの風で寝られた。 いよいよ秋かな。 ![]() ついでに、電気料金のお知らせも やって来たのだけれど、 その金額に驚いた。 8月はもう、エアコンを毎日毎日 ほぼ24時間のフル稼働で酷使し、 電気代がかさむのは覚悟していた。 しかし! 思っていたより全然少なかったのだ。 あれ? + + + 引っ越しを機に新調した今年モデルのエアコン。 「省エネNo.1」が売り文句のやつなんだけど、 たしかに省エネ率は高いみたい。 去年までは、6畳タイプの小さめエアコンを なるべくなるべく小まめに消すように ケチケチ使い、 それでも 「きゃーーー!」 っと 叫びたくなるような電気代を拝んでいたのに 今は14畳タイプと、出力は倍ぐらいなのに 1ヶ月の金額で言うと2000~3000円は 安くなった感じ。 すごいなー、最近のエアコン。 ![]() そして、 気候が変わると同時に いち早く、次の季節に飛び乗ったのは くつした。 夏の間も 特に夏バテすることもなく ごはんもしっかり食べ ・・・と思っていたけど、 どうやらその食欲は 本調子ではない「省エネ夏モード」だったみたい。 昨日から 食欲がすごい。 さっそく、食欲の秋。 さっき食べたのに、もうおかわり!? ってな調子で 何か、四六時中ごはんねだられてる感じ。 ま、「太らせ作戦」進行中だったので ちょうどいいんだけどさ。 ※各写真の上にマウスポインタを置いて 2秒ほど待つと、 くつしたのもうひとつの声をお楽しみ頂けます。 << No.1195 No.1197 >>謝HOME ● はじめましての方 ● ![]() くつした プロフィール 名前:くつした 性別:メス 誕生日:(推定) 2004年6月20日 (公園生まれ) 体重:平均3kg弱 特技:おすわり まて 趣味:旅行 * ちょっとした読み物 * 「 くつしたの生い立ち 」 現在12話まで進行中 今回の写真は これで 撮影しています。 OLYMPUS E-420 ![]() 携帯電話用 光学8倍ズームレンズ 2,940 円 ゴツくて本格的。 9/9 00807
# 1195 ![]() ![]() 【 甘エビ唐揚げとマグロの血合い焼き・オクラかいわれごはん 】 手作りごはん材料 ・ 甘えび (唐揚げ) ・ マグロの血合い (オーブン焼き) ・ かいわれ大根 (生) ・ オクラ (ゆで) ・ あっさりめの作り置きごはん (発芽玄米、鶏ムネ肉、イワシ、かぼちゃ、 プチトマト、にんじん、ビタミンE) 大人ごはんメニューは、 ![]() 冷やっこ。オクラ・かいわれ添え。 豆腐もいろいろ買ってみたけど スーパーで買えるものとしては、 やっぱり のがおいしいんだわ。今年の新製品らしい ケンちゃんは、 男前のにしては、ちょっとあっさりかな。 甘えびの唐揚げは 買ってきたやつ。 ![]() 冷し中華。オクラ・かいわれ乗せ。 乗ってるもん、冷やっこと同じだけど。 冷し中華のたれは、ごまだれ。 オクラを乗せてねばねばさせてみたけど、 これは普通に醤油だれの方が 合ったかも。 ![]() 肉じゃが。土鍋で。 こないだテレビで 「“肉”と言えば、牛か豚か。」 みたいな話題が出てて、 関西では牛、関東では豚、が一般的らしい。 まさにそう。 うちでは 関西の私と関東のまるで 肉じゃがやカレーに入れる肉と言えば・・・ ってやつが違って「えぇ!?うそー」ってことが いろいろあった。 今回は関東風の豚の肉じゃが。 ま、どっちで作ってもおいしいんだけど。 ![]() くつしたの作り置きごはん(← こないだ作ったやつ)が もうひと味 足りない様子だったので トッピングとおやつを兼ねて マグロの血合いをオーブンで焼いた。 オリーブオイルを少しかけて。 (写真は、皿の上が大惨事みたいになってるけど。) ![]() これを混ぜると くつしたもごきげん。 ![]() んがんがんが。 + + + ◎ ◎ おまけ ◎ ◎ ある日の早朝。 ![]() 日が昇る前、 夜中ついていた電飾や街灯も消えて 街がいちばん静かに見える時間。 ![]() もう少しして日が昇ってくると 名古屋駅のタワービル群に朝日が反射して オレンジ色になる。 ![]() ※各写真の上にマウスポインタを置いて 2秒ほど待つと、 くつしたのもうひとつの声をお楽しみ頂けます。 << No.1194 No.1196 >>謝HOME |一覧|│<< 前のページへ(最初の4件ダブります。) │一覧 │白黒猫・旅猫くつしたの旅日記
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