041888 ランダム
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クライムアンドペナルティ

クライムアンドペナルティ

girlfight!後編

「はい、フェイト。ジュース。」
「ああ。ありがとう。マリア。」
「フェイト!材料調達してきたわ!」
「・・・・ありがとうマリア。」
薄暗い工房でフェイトは執筆をしていたわけだが・・・・・・やけに2人が親切すぎで流石に訝しさを感じていた。
「あ・・・あのさ・・・ソフィアにマリア・・・。」
『何!??!』
「・・・(な、何なんだ?)・・・とりあえず、執筆するの手伝ってくれない?」
『わかったわ!』
執筆を手伝ってくれれば少しは落ち着いてくれるかもしれ・・・ない・・・が?
「フェイト、そこ間違ってるよ?」
「フェイト。ここの表現はこうしたら・・・。」
だめ出しが始まった。まぁ「執筆を手伝う」とはこういう事かもしれない。
2人がこんなに自分にかまってくれるのは嬉しい・・・嬉しいのだが・・・
小さな親切大きなお世話・・・まさにそんな感じ。
こんな状況では執筆なんて神経を集中するのは出来ない。
「僕、ちょっと外に出るよ。」
逃げるように立ち去るフェイト。しかし、
「私も行くよ!」
「あ、私も!」
(えぇ!?!?)
逃げ場無し・・・こりゃ逆らうのも無駄な抵抗だな・・・フェイトは半分諦めた。



「あ、移動しやがったぜ!」
「私達も行くよ!」
「・・・・・・おもしろくなってきたな・・・・・・。」




「ねぇフェイト、あそこのベンチで休む?」
「疲れたらいつでも言ってね?」
「い・・いや・・・僕はまだ歩きたいんだ・・・。」
「あら、そう!奇遇ね~。私もまだ歩きたかったとこなの!」
「わ、私も!」
・・・この・・・変な状況は・・・一体どうしたものか・・・?やけにかまってくる2人を尻目にフェイトは思い悩んでいた。
何か変なモノでも食ったか・・・?そんな事まで考えが及んでしまう始末。
そんな時、
「うわぁ~!?モンスターだ~!」
町の方から悲鳴が聞こえてきた。
「しまった・・・!戦うぞ!」
「うん!」
「援護は任せて頂戴!」
心強い返事にフェイトは深く頷き、剣を抜いた。
フェイトの斬撃に合わすように、モンスターの動き弾丸で牽制するマリア。
「よし!ありがと、マリア!」
「いえいえ・・・。」
「・・・・!」
私も援護しなきゃ・・・・!ソフィアは詠唱を始める。
「エンゼルフェザー!」
フェイトの頭上から天使の羽が舞い降りる。
「うん!動きがよくなった!ありがと、ソフィア!」
「どうもw」
しかし、相手もとても強かった。フェイトの剣撃もあんまり歯が立たなかった。
「くそ・・・・・!!うわぁああ!!?」
青年の肩に鋭い爪が突き刺さっていた。
『フェイト?!?!』
「真似しないでよ!」
「そっちこそ!」
早く回復してあげないと・・・!と、その時、
「・・・ったく、手間がかかるぜ・・・。」
「もう少し強い奴はいないのか・・・つまらん・・・。」
「フェイト、大丈夫かい?」
「ああ・・・痛いけど・・・それより、どうして皆?」
「そ・・・それは・・・・。」言えない。動向が気になって尾行していたことなんて・・・。
「と、とにかく、フェイト。立てるかい?」
「あ、はい・・・・。」
モンスターは瞬時にアルベルの刀一振りで倒し、彼女達も彼もなんとか大丈夫だった。
「・・・フェイト。ごめんなさい。私がもっと役立ってたら・・・!」と、ソフィア
「・・・私のほうこそ・・・もう少し力があれば、こんな事には・・・。」と、マリア。
「いや・・・もうネルがヒーリングしてくれたけど・・・これはどういう事?」
そろそろしびれを切らしてきたフェイトが問う。


こうなったら白状するしかなく、2人は呟いた。
彼女達がどれだけフェイトに役立ってるか・・・その判断基準は・・・
フェイトの・・・「ありがとう」・・・。

「・・・はあ・・・そういう事だったのか。」
その目に怒りの色は無かった。
「その気持ちは・・・とても嬉しいけど・・・でもその所為でケンカしないでくれないか?仲間なんだから・・・ソフィアも・・・マリアも・・・役に立つとか立たないとか、そういう基準で皆集まってる?違うだろ。マリアにはマリアの。ソフィアにはソフィアのいいところがあるんじゃないか。」
「・・・フェイト。ごめん・・・私!」ソフィアが泣きじゃくる。
「私の方こそ・・・大人気無かったわね・・・ごめんなさい。」珍しくしおらしくなるマリア。
「いや、いいんだ。わかってくれれば・・・。」




「いい話だなぁ・・・泣けるぜ・・・。」
「いい年こいて何言ってんだか・・・。」
「うるせぇ、年なんか関係ねぇよ。」
少し離れた所で青年達を見守る大人達。
「・・・・・おい・・・・。」
ん?とクリフが振り向いた。どこか勝ち誇った表情でこちらを見ている刀剣士、アルベル・ノックス。
「何だ?お前も感銘を受けたとか?やめてくれ。そんなガラでもねぇ・・・!」
「違うよ阿呆。浮かれてるようで忘れているようだが・・・俺の勝ちだ・・・。」
『・・・・・?????』
2人は一瞬何の事だかわからなかったが・・・?
そうだ!!賭けてたんじゃないか!!!!!
「うぉおおぉおおぉ~!冗談じゃないぜ!?!こんないい話の後にこいつの1人勝ちだなんて・・・!」
「・・・よく考えてみな・・・ソフィアの方が微妙に役立ってなかったかい?」
「何言いやがるネル!マリアのほうこそポイントが高いぜ!絶対!」
「・・・往生際の悪い奴らだな・・・行くぞ・・・。」
「待てよ!ちゃんとした判定をフェイトに・・・!」
「あんたにタダ酒なんて冗談は顔だけにしときなっ・・・!」
納得いかない二人を引きつれて彼らは消えていった・・・。





        

             END


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