girlfight!後編「はい、フェイト。ジュース。」「ああ。ありがとう。マリア。」 「フェイト!材料調達してきたわ!」 「・・・・ありがとうマリア。」 薄暗い工房でフェイトは執筆をしていたわけだが・・・・・・やけに2人が親切すぎで流石に訝しさを感じていた。 「あ・・・あのさ・・・ソフィアにマリア・・・。」 『何!??!』 「・・・(な、何なんだ?)・・・とりあえず、執筆するの手伝ってくれない?」 『わかったわ!』 執筆を手伝ってくれれば少しは落ち着いてくれるかもしれ・・・ない・・・が? 「フェイト、そこ間違ってるよ?」 「フェイト。ここの表現はこうしたら・・・。」 だめ出しが始まった。まぁ「執筆を手伝う」とはこういう事かもしれない。 2人がこんなに自分にかまってくれるのは嬉しい・・・嬉しいのだが・・・ 小さな親切大きなお世話・・・まさにそんな感じ。 こんな状況では執筆なんて神経を集中するのは出来ない。 「僕、ちょっと外に出るよ。」 逃げるように立ち去るフェイト。しかし、 「私も行くよ!」 「あ、私も!」 (えぇ!?!?) 逃げ場無し・・・こりゃ逆らうのも無駄な抵抗だな・・・フェイトは半分諦めた。 「あ、移動しやがったぜ!」 「私達も行くよ!」 「・・・・・・おもしろくなってきたな・・・・・・。」 「ねぇフェイト、あそこのベンチで休む?」 「疲れたらいつでも言ってね?」 「い・・いや・・・僕はまだ歩きたいんだ・・・。」 「あら、そう!奇遇ね~。私もまだ歩きたかったとこなの!」 「わ、私も!」 ・・・この・・・変な状況は・・・一体どうしたものか・・・?やけにかまってくる2人を尻目にフェイトは思い悩んでいた。 何か変なモノでも食ったか・・・?そんな事まで考えが及んでしまう始末。 そんな時、 「うわぁ~!?モンスターだ~!」 町の方から悲鳴が聞こえてきた。 「しまった・・・!戦うぞ!」 「うん!」 「援護は任せて頂戴!」 心強い返事にフェイトは深く頷き、剣を抜いた。 フェイトの斬撃に合わすように、モンスターの動き弾丸で牽制するマリア。 「よし!ありがと、マリア!」 「いえいえ・・・。」 「・・・・!」 私も援護しなきゃ・・・・!ソフィアは詠唱を始める。 「エンゼルフェザー!」 フェイトの頭上から天使の羽が舞い降りる。 「うん!動きがよくなった!ありがと、ソフィア!」 「どうもw」 しかし、相手もとても強かった。フェイトの剣撃もあんまり歯が立たなかった。 「くそ・・・・・!!うわぁああ!!?」 青年の肩に鋭い爪が突き刺さっていた。 『フェイト?!?!』 「真似しないでよ!」 「そっちこそ!」 早く回復してあげないと・・・!と、その時、 「・・・ったく、手間がかかるぜ・・・。」 「もう少し強い奴はいないのか・・・つまらん・・・。」 「フェイト、大丈夫かい?」 「ああ・・・痛いけど・・・それより、どうして皆?」 「そ・・・それは・・・・。」言えない。動向が気になって尾行していたことなんて・・・。 「と、とにかく、フェイト。立てるかい?」 「あ、はい・・・・。」 モンスターは瞬時にアルベルの刀一振りで倒し、彼女達も彼もなんとか大丈夫だった。 「・・・フェイト。ごめんなさい。私がもっと役立ってたら・・・!」と、ソフィア 「・・・私のほうこそ・・・もう少し力があれば、こんな事には・・・。」と、マリア。 「いや・・・もうネルがヒーリングしてくれたけど・・・これはどういう事?」 そろそろしびれを切らしてきたフェイトが問う。 こうなったら白状するしかなく、2人は呟いた。 彼女達がどれだけフェイトに役立ってるか・・・その判断基準は・・・ フェイトの・・・「ありがとう」・・・。 「・・・はあ・・・そういう事だったのか。」 その目に怒りの色は無かった。 「その気持ちは・・・とても嬉しいけど・・・でもその所為でケンカしないでくれないか?仲間なんだから・・・ソフィアも・・・マリアも・・・役に立つとか立たないとか、そういう基準で皆集まってる?違うだろ。マリアにはマリアの。ソフィアにはソフィアのいいところがあるんじゃないか。」 「・・・フェイト。ごめん・・・私!」ソフィアが泣きじゃくる。 「私の方こそ・・・大人気無かったわね・・・ごめんなさい。」珍しくしおらしくなるマリア。 「いや、いいんだ。わかってくれれば・・・。」 「いい話だなぁ・・・泣けるぜ・・・。」 「いい年こいて何言ってんだか・・・。」 「うるせぇ、年なんか関係ねぇよ。」 少し離れた所で青年達を見守る大人達。 「・・・・・おい・・・・。」 ん?とクリフが振り向いた。どこか勝ち誇った表情でこちらを見ている刀剣士、アルベル・ノックス。 「何だ?お前も感銘を受けたとか?やめてくれ。そんなガラでもねぇ・・・!」 「違うよ阿呆。浮かれてるようで忘れているようだが・・・俺の勝ちだ・・・。」 『・・・・・?????』 2人は一瞬何の事だかわからなかったが・・・? そうだ!!賭けてたんじゃないか!!!!! 「うぉおおぉおおぉ~!冗談じゃないぜ!?!こんないい話の後にこいつの1人勝ちだなんて・・・!」 「・・・よく考えてみな・・・ソフィアの方が微妙に役立ってなかったかい?」 「何言いやがるネル!マリアのほうこそポイントが高いぜ!絶対!」 「・・・往生際の悪い奴らだな・・・行くぞ・・・。」 「待てよ!ちゃんとした判定をフェイトに・・・!」 「あんたにタダ酒なんて冗談は顔だけにしときなっ・・・!」 納得いかない二人を引きつれて彼らは消えていった・・・。 END ジャンル別一覧
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