COOK!3-ROUND「はぁ・・・いつ見ても綺麗だなぁ・・・リーダー・・・w」反連邦組織「クォーク」の宇宙船、「ディプロ」で廊下を歩いているマリアを物陰からひっそりと見ている青年が1人・・・。 彼の名はリーベル。 いつの間にか、マリアに心惹かれてしまっている人物である。 もっとも、当の彼女は全然気付いてないのが哀れなところだが。 「またかよ・・・。」 ばっと振りかえるリーベル。 彼の後ろには眼鏡をかけた青年。彼、スティングはリーベルの双子の兄にあたる。 「別にいいじゃないかよ・・・はぁ・・・マリア・・・w」 「・・・はたから見たら、ストーカーだぞ、お前。」 「五月蝿いな!!」 あわてて視線をマリアに戻すリーベル。そんな様子に兄は頭を抱える。 「・・・あそこって・・・厨房だよな・・・?」 「ああ・・・。」 2人共首をかしげる。 それはというもの、2人はマリアが厨房に入った事なんて見た事がないからだ。 それに、ここ最近、ミラージュやクリフが厨房に入らせないようにしているとの噂が流れている。あくまで噂だが。 それが何故かは2人は知らない。 だがこの後その意味を死ぬほど痛感する事を2人はまだ知らない・・・。 「う~ん・・・飯はまだのようだなぁ・・・?」 クリフが顔を出した。 「今日は遅いみたいですね・・・?」 その相方、ミラージュの姿もあった。 と、その時、 「皆お待たせ!遅れてごめんなさい。」 と、マリアが鍋をてーぶるの中央にドサっと置いた。 夕食なのだが、どこか不思議な匂いがただよう・・・。 「マリア・・・お前・・・。」 「たまにはみんなに私の手料理でもいいかなっと思って。」 「マリアの手料理!??!?!」過敏に反応したのはリーベル。 「・・・なんてこった・・・。」頭を抱えるクリフ。 「・・・いつの間にいなくなったのかしら・・・?」呟くミラージュ。 「さあ、召し上がれw」 鍋の蓋を取ってみると中からはボコボコと紫色の液体が沸騰しており、肉らしきものが紫色の液体に浸透して見るからに毒々しい物だった。 「・・・えっと、マリア。わ、私まだメカのメンテナンスが作業途中なんです。代りにクリフ、どうぞ。」 「な・・・!おい・・・!!ミラージュてめぇ・・・!」 ミラージュはクリフのツッコミもスルーし、さっさと食堂から姿を消した。 (ミラージュさん・・・。) (逃げたな・・・。) (上手い・・・。) (リーダー可哀相・・・。) それぞれの思いが交錯する中、呆然と座り込む一同。 しかしミラージュの分まで貰ってしまったクリフは既に放心状態だ。 (・・・ったく冗談じゃねぇぞ。・・・だいたい、紫色の食材なんてムラサキキャベツくらいのものかと思っていたが・・・?・・・!まずい!マリアがこっちを見ている!さあさあ、どうするクリフ・フィッターさんよぉ。ここは腹をくくって食すか・・・?いやいや・・・俺だって自分は可愛い。命が惜しいのは当たり前だ。かといってこのまま逃げればマリアからの恐るべき制裁が下るのは火を見るより明らかだ・・・) 中々手が出さない(出せない)クリフに少し涙ぐんだ表情を見せるマリア。 そんな表情に触発された人物が1人。そう。彼しかいない。 「マリア!君の愛がこもった手料理!頂かせてもらうぜ!!」 「リーベルw」手を組んで喜びをあらわにするマリア。 しかし、皆の反応は・・・ 「リーベル、早まるな!死ぬのは早い!」 「そうだぜ!死んだらもう2度とマリアをおがめないぞ!」 「落ち着いて考えて?ねっ?」 クォークの仲間達が止める始末だ。 まぁ確かにそんな殺人的な料理(?)を目の当たりにすれば、誰だって止めに入るのが普通だろうが。 「まぁまぁ。こう見えて、実はすっごく美味しかったりするだろ!」 んなわけねぇだろ。と心の中でツッコむ一同。 「リーベル。」マリエッタが心配そうに、 「私・・・今までリーベルの事リーダーリーダーリーダーってうるさくて、とてもウザかったけど・・・いざ・・・いなくなると思うと・・・私・・・私・・・!」 「マリエッタ・・・それ何気に酷い・・・。しかし・・・確かに・・・これは・・・」 リーベルが少し揺らいだ。流石にいざ食べようとなると少しためらった。 だが、 「だが俺は食べる!誰がなんと言おうと食べる!(そして、マリアをゲット!)」 動機は不純だが、それだけで彼を掻き立てる理由になるのだろう。 スプーンですくって見ると、スプーンがみるみるうちに溶けていった(!) 「(!??!?・・・しかし・・・これを食べれば・・・マリアをゲット・・・!)」 彼は勇者だった。 皿を両手で持ち、ややヤケクソ気味に全部口にその料理(?)を押し込んだ。 「おおおぉおぉぉぉおおおお~~~~!!!!!」 周りに歓声が挙がる。 「すごいぞ!リーベル!!」 「お前は勇者だ!」 「見直したぞ!!」 「リーベル・・・?大丈夫・・・?」 彼は無表情のまま、その場に固まって座っていた。そして、 「大丈夫☆」 そう言い残して床に伏した・・・。 『リーベル~~~~!!!』 皆がリーベルにかけよった。皆心配している模様。しかし当のマリアは 「まぁw気絶するほど美味しかったのね♪また作るわw」 と、勘違いしている始末。頭を抱えるクリフ。 リーベルがあの料理(?)を食べる動機としていた、『マリアをゲット』作戦はあまり効力が無かったようだ。 なお、危篤状態だった彼はマリアへの愛の力のせいか、なんとか一命はとりとめたという。 フィッター氏は語る。 マリアの手料理を自らすすんで食ったのは・・・彼だけだった・・・と。 END ジャンル別一覧
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