COOK!5-ROUND(前編)創造主の魔の手から宇宙を救うべく、フェイト・ラインゴッドは聖都シランドで休息を取っていた。「ブルーベリィにセージに・・・ふぅ。こんなもんかな。」 アイテムの買出しをしているフェイト・ラインゴッド。一応、立場上ではリーダー・・・であるのだが、 「フェイト。」 凛とした声が背中から聞こえる。パーティ内でも屈指の実力者、マリア・トレイターである。 「ちょっと・・・いいかしら・・・。」 少し上目遣い気味且つ少し頬を赤らめて呟いた。 ぎく、とフェイトは少し引いた。 こういう時のマリアの行動は大抵フェイトその他大勢(例・料理の味見をさせる等)に迷惑をかけるパターンが多いのである。 「え・・・うん・・・?(逆らわないほうがいいよな・・・。)」 言われるがままに連れて行かれた先は・・・ 「・・・工房・・・だよね?」 「ええ。そうよ。入ってw」 ・・・工房の外から匂ってくる悪臭、いいようのない殺気、背後からのマリア女史の熱い視線。 ・・・僕の野性の勘が告げている。『関わるな』と。 「あ、あ・・・え、え~と、僕まだちょっとショップで買出しに・・・。」 その言葉を聞いた瞬間マリアはうな垂れてしまった。 「・・・そう・・・やっぱり・・・私じゃ・・・ダメなのね・・・。」 「は?(な、何言ってんの?)」 「ゴメンなさい・・・いいの・・・無理しないで・・・私はいいから・・・!ゴメンね・・・・っ!」 突然泣きじゃくれるマリア。 「!?え、えぇ・・・え、えっと・・・!(げっ・・・ど、どうしよう)はっ!」 よく見ると野次馬達がフェイト達を囲んでいた。 「(小声で)ねぇちょっとあれ何~?あの男の子ったら・・・。」 「(小声で)女の子を泣かすなんて最低だなぁ~・・・。」 「(小声で)あ~ゆうのは女の子を引っかえ取っかえしてるのよ・・・。」 小声ではあるものの街の住人達の声はしっかりフェイトの耳に聞こえていた。 「・・・!わ、わかった!わかった!行くから・・・!だから泣かないでくれよ~。」 マリアを必死になだめるフェイト。このままでは自分の悪い噂が流行してしまう・・・! 「・・・ほんとに?・・・ヒクッ。」 「(もしかして、マジ泣き・・・?)あ・・・ごめ・・・!・・行こっか。」 「・・・グスッ・・・うん。」 工房に入った彼の目に飛び込んできた光景ははっきりいって常人なら裸足で逃げ出す勢いであった。 なぜならそこらじゅうに充満する悪臭に、紫色やらピンク色やらゴテゴテした華々しい異常な液体が飛び散っており、そしてなにやら拘束されているフェイトの仲間がいくらか・・・! ここまでくれば、シリーズを読んでいる方はわかるだろう。 「・・・図られた・・・か。」 「俺の命もここまでか。」 「・・・フェイトォ~;」 「嬲るのは嫌いだが・・・嬲られるのはもっと嫌いなんだよ。」 皆三者三様の台詞を吐く。 「ささ、座って座って。今日はご馳走よw」 毒物てんこ盛りの間違いじゃなくて?―・・・と思ったが誰もツッコミを入れない。入れられない。怖くて。そこに、 「何やってんだい?あんたたち・・・?」 赤髪の女剣士、ネル・ゼルファーの登場である。 「ネルさん!」 「ネル助けてくれ~!」 「ネルさん料理作って下さいよ~!」 皆がネルにすがった。その時、 「ちょ、ちょっとちょっと!何?私の料理よりネルの料理のほうがいいわけ!?」 怒りにうち震えるマリア。 皆が思わずうん、と頷いてしまったため、これまた事を荒立ててしまった。 「・・・そう・・・!よし!ネル!!あんたと料理勝負するわ!!」 「え・・・?」 皆が呟いた言葉である。 「マリア、ほ、本気?」 「ええ。私は本気よ。いい?ネル?」 「・・・余り気は乗らないけど・・・ケンカ売るってんなら・・・買うよ?」 意外と乗り気じゃん・・・;と皆が心の中でツッコんだ。 「ええ。それじゃ決まりね。明日の午後、シランドの中央街に集合ね!」 「ああ。いいよ。」 ―・・・なんだか、とんでもない事になっちゃったな・・・。 フェイトの心痛はまだ続く・・・。 「続かないでよ・・・。」 前編終了。後編へ移行。 ジャンル別一覧
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