a Feeling lagこの騒動は、とある少女の発言がきっかけだった。「アスランさんってやっぱカッコイイな~。」 それを聞いた二人の少女の目がカッと開いた。 そんな様子に気付く様子もなく彼女はこう続ける。 「ちょっぴり優柔不断だけど、優しいし・・・彼氏にするならあんなタイプがいいな~。」 彼女、ミリアリア・ハウがラクス・クラインとカガリ・ユラ・アスハと食堂にて雑談していた時の事である。 だが、彼女は知らなかった・・・。 普段は仲の良い2人が、水面下では激しい争奪戦を繰り広げていたことなど・・・! 「あら、ミリィ。狙ってるの?」 極めてにこやかに、彼女に微笑みかけるカガリ。 「え?やですね~。狙ってなんかないですよ。ちょっといいなって思っただけ。」 「そう?」 また、ニッコリと微笑むカガリ。怖いくらいに。ラクスは違和感を覚える。 やけにカガリがおとなしいが・・・何か企んでいるのか・・・? 「でもね、ミリィ。アスランだけはやめておいたほうがいいわ。」 「え?どうして?」 「別に軽蔑してる訳じゃないんだけど、結構彼、優しそうに見えて腹の底はドス黒いし、カッコイイけどヘタレだし、爽やかそうだけど、MS撃って爆発させて楽しがってる危ない人だぞ。」 この時ラクスは・・・それ・・・あなたの事じゃないの?とか考えていたとかいなかったとか。 「そうね・・・代りにディアッカ辺りでどう?」 「んー・・・ディアッカかぁ~・・・結構面白いわよね・・・・・・・・・・・・考えとこっかな~~~。」 「ラクスも・・・応援するよ!私!」 「え・・・?」 「キラとの仲を♪」 「・・・・・・・・・・・・はい???」 「照れるなって~!」 「ラクスさん、キラの事好きなんですか~~!?意外~~~;」 ああ、そうですか・・・要するにそんなこと言って私とアスランを遠ざけようって・・・そういう魂胆ですのね・・・。ラクスは思った。 「・・・・・カガリさん・・・。」かなり低音で呟いた。「・・・私にも選ぶ権利があるんで・・・。」 「・・・キラに失礼な発言だぞ・・・。」 「私はむしろ貴女の方がお似合いだと思うんですが・・・。」 一瞬、静かな火花が散った。 「あのねぇ・・・いい?私とキラは血を分けた兄妹なの・・・。そういう関係じゃないわ。」 「キラの方はどうでしょうか・・・?」 「もし恋愛感情なんて抱いてたら速攻で縁切るわよ。私は。」 会話を聞きながらミリィは、キラって嫌われてるんだな~・・・と、少し気の毒に思えた。 「・・・やっぱり理想ばっかり追い求めてないで、近くを見ようよ。」 カガリが呟いた。 『・・・・・・・・・・・。』 2人はお互いの顔を見て頷いた。 「だったら私は、幼馴染のアスランが一番ですね。」 「アスランさんかな~~~?一番マトモだし。」 「えっ」 「カガリさんこそ、近くを見たらどうですか?では、ミリィさん。行きましょう。」 「うん。またね~、カガリ~!」 「ちょ・・・!ま、待てぇ~~~!」 「アスランさ~ん!こっち来て下さい!楽しいですよ~!」 「アスラン、ハロの調整、手伝ってくれませんか?」 「私の作った特製ケーキ!召し上がれアスラン!!」 「ちょっと~!割り込まないで下さい!」 「私は前から約束してたんです~~~!」 「どきなさいよ~~~!!」 少女達が普段よりも騒ぎ立てており、その中心で困り果てている少年が1人。 そしてそれを傍観している2人の男が、 「・・・なんだあれ?」 「・・・さあ?」 「キラ!!ディアッカ!!!見てないで・・・誰か助けてくれぇぇ~・・・・!」 哀れアスラン・ザラは暫くの間、少女達に囲まれて幸せなんだか不幸せなんだかわからない生活を送ることになる。 END |