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カテゴリ:演劇、観劇
キャラメルボックスの時代物の芝居は、『TRUTH』の初演を見て以来、何年ぶりのことでしょうか。
人気絶頂の上川隆也の出演、音楽をガンガン背景に流しての立ち回り、そしてお決まりのようにコントが劇中の随所に見られて、演じる側が客席とのキャッチボールのような状況に、アドリブなのか台本どおりだったのか、とにかく勢いと熱気があったことが思い出されます。 さて、今回の作品は、リメイクなのだそうです。 再演ですが、キャラメルボックスには珍しく、演出を外部のマキノノゾミ(劇団M.O.P.主宰)が担当し、メインキャストに浅野雅博(文学座)、大塚仁志(青年座)、武田浩二(アクションクラブ)が配されて、それだけでもこの劇団の通常の公演とはかなり趣が違ったものを感じます。 その物語は、幕末の京都が舞台。新選組に追われる坂本竜馬と中岡慎太郎を、商家の者が匿ったことから始まります。実は二人とも単なる人違いなのですが、当の本人たちも新選組から逃げ出したのですから、匿ってもらうに越したことはありません。 聞き耳を立てて尻尾を掴んでお金で口止めを迫る者あり、ある目論みからそうだと裏付けに協力する者あり、純粋に彼らを坂本、中岡と信じて慕う者あり・・・ コメディの要素たっぷりですが、人間関係、時代背景に登場人物が翻弄されていく面白さがあります。間違えられる二人が、浅野雅弘と、細見大輔という、人が良さそうで二枚目半をばっちり演じられる俳優であるところも、なかなかのキャスティングです。 しばらく観ない間に、劇団の層も厚くなったようです。 嫌みのないおばさんキャラを堂々と演じる坂口理恵をはじめ、その登場で場が引き締まる西川浩幸、凜とした明るい口調で元気の良い利発な藩主の娘・美咲を演じる實川貴美子、美咲に見下されながらも実直に彼女を愛する幼なじみの清之助の左東広之、おとぼけの口調が下働きの娘の逞しさとして感じられる渡邊安理、この物語の重要なカギを握るかえでに京言葉も艶やかな温井摩耶・・・など、劇団の人気もさることながら、それ以上に力を持った俳優が揃っているという印象を受けました。 こういう人物の内面に重点が置かれた作品で、もっと彼らの活躍を観てみたいと思います。 「幕府を倒すことだけが、日本を救うことではない。」 黒船来航から13年目の日本。鎖国が長かっただけあり、異国に対しての恐怖も並大抵ではなかったことでしょう。そのためには異国のことを理解すること、という若い登場人物のものの見方、学習意欲が爽やかに感じられました。 ハラハラ、ワクワクが自然に体験できる作品に、2時間があっという間。人物が丁寧に描かれているのが魅力です。 脚本・成井 豊+真柴あずき、演出・マキノノゾミ、美術・松井るみ、殺陣・佐藤雅樹 (サンシャイン劇場にて) 公演の詳細はこちら。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006.06.24 02:43:34
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