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カテゴリ:コンサート、舞踏、オペラ
2月に雪の降る中、新国立劇場のオペラパレスで観た作品です。
R.シュトラウス作曲の『サロメ』。 原作はオスカー・ワイルドの戯曲です。 写真にあるように、手にした人の頭をただただ見つめている絵は、戯曲「サロメ」に掲載されたオーブリー・ビアズリーの挿絵です。 このオペラ『サロメ』は、まさにそれがクライマックスの非情なストーリーでした。 紀元三十年頃のエルサレム、ヘロデ王の宮殿が舞台。 母親の再婚相手であるヘロデ王に気に入られているサロメが、庭の古井戸に囚われている預言者ヨハナーンに関心を持ちます。 彼を連れ出させ、そこでサロメは自分にキスすることを迫りますが、ヨハナーンはそれを拒むだけでなく蔑みの言葉を投げかけました。 その態度に腹を立てたサロメは、「絶対にその唇に口づけしてみせる」と異常なでの執着心を抱きました。 そしてヘロデ王の前で<七つのベールの踊り>を披露したサロメは、王からなんでも願いをかなえてやるという褒美を言い渡され、彼女はすかさずヨハナーンの首を要求するのでした。 躊躇しながらも王はその願いを聞き入れ、そしてついにサロメにヨハナーンの首が差し出されたその時・・・彼女は嬉しそうにその唇にキスしました。 その姿を見た王は危機感を持ち、サロメを処刑することに決めたのです。 (音楽のタイトル等の表記は公演チラシより) 毅然とした態度で臨むヨハナーン(ジョン・ヴェーグナー)、そして一心不乱に妖艶に歌い踊るサロメ(ナターリア・ウシャコワ)の<七つのベールの踊り>。 中央に設えられたヨハナーンが幽閉されている大きな古井戸、テントの揺れるカーテンの向こうにある王の寝室とのコントラストが、ヨハナーンとサロメ、この二人の人物を象徴しているようでした。 全1幕。休憩なしで一気に上演されるので、威厳に満ちたヘロデ王がサロメに脅威を感じるまでのスピーディーな展開が、この作品の醍醐味だと思います。 一言では言い尽くせない感情がうごめいているのを感じましたが、それは作者オスカー・ワイルドと挿絵のビアズリーとの後世に伝え聞く因果関係にも言えそうです。 さて、オスカー・ワイルドにちなんで言うと、ワイルドと、ビアズリーの姉のメイベル・ビアズリーも登場する『ワイルド・ビューティー』(3/12-23)というミュージカル作品が、銀座の博品館劇場で上演されています。 作曲・R.シュトラウス、 指揮・トーマス・レスナー、演出・アウグスト・エファーディング、美術・衣裳・ヨルク・ツィンマーマン、再演演出・三浦安浩、舞台監督・大澤裕 (新国立劇場 オペラパレスにて) ※公演詳細は新国立劇場のサイトで。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.03.19 12:29:56
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