|
カテゴリ:ミュージカル、観劇
三谷幸喜のオリジナル作品が、香取慎吾主演で、オフ・ブロードウェイの凱旋公演。
この作品には、そんな話題性以上に様々な想いがこめられているのを感じました。 物語の主人公は、会話が全て歌になる、言葉をメロディに乗せないとしゃべれない日本人の青年ターロウ(香取慎吾)。 社会に適応できない彼を見て、なんとかしようとドクター・ダイソン(川平慈英)が名乗りをあげました。 あの手この手で、ドクター・ニモイ(堀内敬子)と手を尽くしますが、やがて彼女はそのやり方に疑問を抱くのでした・・・。 ところで、私は一度だけニューヨークを訪れたことがあります。 オフかオフオフだったか定かではありませんが、観客を巻き込んで劇場が一体になった作品を体験しました。 そういうノリがこの作品にはあります。 しかも脚本は独創的で唯一無二、キャストは歌もダンスも芝居も、プラス曲芸(!)もできる強者揃いでターロウの生い立ちから係わる人物全てを演じ、歌い踊ります。 ニューヨーク公演を意識しただけあり、日英の言葉もコメディの演出に一役買っているのがニクいところ。 日本にいる私たちには、まるで作品を輸入したかのようなアメリカナイズされた表現に洒落っ気を感じました。 真っ向から純日本で乗り込まないところが三谷作品らしいというか、それっぽく見せていることを観客が承知の上でのコメディセンスが笑いを誘います。 さらに、役者の身体が言葉以上のコミュニケーションを担っています。 ターロウを取り巻く人々を一人で演じる新納慎也、彼の抜群の身体能力による表現は、まるでコミックのように一目で状況を言い当てることができます。 そして、温かく透明な歌声以上にコメディエンヌぶりが頼もしい堀内敬子。 自在に操れるのは日英の言語だけでないことをアピールした川平慈英。 彼らの存在が黒を基調にした舞台からくっきりと浮かび上がっていました。 これを個性、キャラクターと言うのでしょうか。 もしかしたら作者は、日本にこんなにユニーク(他にはないという意味で)で素敵な俳優が存在することをアメリカで知らしめたかったのでしょうか? 英語も流暢に聴こえるし、彼らがオフ・ブロードウェイの舞台に立ったなんて誇らしい気がします。 最後になりましたが、ターロウくん、香取慎吾は持ち前の演技力で、心と頭と体が一つにならないもどかしさを寂しげに、でも幸せそうに彼自身として存在する意味を見せてくれました。 心を語る彼の声が、歌声が、また魅力的です。 作・演出・三谷幸喜、作曲・音楽監督・小西康陽、 振付・原田薫、美術・堀尾幸男、照明・服部基、音響・井上正弘、衣裳・黒須はな子、 歌唱指導・山口正義、英語翻訳・山本伸、英語指導・クリスチャン・ストームズ (赤坂ACTシアターにて) ※公演詳細は赤坂ACTシアターのサイトで。 公式サイトもあります。 左上の写真、オフ・ブロードウェイの劇場には、こんな風に看板がかかっていたのでしょうか。 そんなことを思わせる写真が、赤坂駅からサカスへ行くまでの階段の壁に見られます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.02.24 12:48:39
[ミュージカル、観劇] カテゴリの最新記事
|