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COCOに幸あり PART2

COCOに幸あり PART2

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2006.11.16
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  ジョン・トラボルタは、1977年に「サタディー・ナイト・フィーバー」のディスコ大好きオニーサン役で、文字通りフィーバー(死語か)。
 さらに、翌年の「グリース」も、かなりヒットしたと記憶している。
 
 しかし、私はまるで彼に興味が持てなかった。
 トラボルタが、歌って踊れるスターをめざしているとは思えなかった。
 たまたま与えられた役をまずまずの演技でこなしただけではないかと考えたからである。
 有体に言えば、それほどの才能があるとは感じなかった。
 
 ダンスのことは全然わからないが、彼の身のこなしが、とてもぶきっちょに見えたのだ。
 猛練習をしたということは、よくわかったけれど。
 
 当時、黒人の若者たちが、あんなものは大したことがないというような話をしている映像を見た。
 実際、黒人に限らずホンモノが演じれば、もっともっと凄いものになったのかも知れない。
 ただ、映画のねらい所は、なるほどと合点がいった。
 確か、黒人版の同様な映画もつくられたはずなのだが、これは、あんまりホンモノ過ぎて、一般ウケしなかったのである。
 つまり、トラボルタのダンス映画は、街に溢れるごく普通のオニーサン、オネーサンたちをターゲットにしたものだったのだろう。
 彼等にすれば、トラボルタの踊りくらいは、すぐに手が届きそうであり、それが映画をヒットさせた大きな要因であったに違いないのだ。
 
 あの映画は、音楽をビー・ジーズが担当したということも話題になった。
 「マサチューセッツ」や「傷心の日々」のあのビージーズが、ディスコ・ミュージックをやるなどとは想像だにしなかったからである。
 ただ、その音楽にしても、どこか軽く、嘘っぽかった。
 つまり、あの音楽もまた、黒人ミュージシャンがすでにやっていたものだったのである。
 踊りも、音楽も、黒人たちがすでにごく普通にやっていたものをちょっとだけ…、そう、ちょっとだけ、素人向けに味付けしたものが、あの「サタディー・ナイト・フィーバー」だったわけである。
 
 それは見事に成功した。
 日本でも、あれをきっかけにディスコ・ブームとなったはずだ。
 
 
 
 そんなことも忘れかけたころ…。
 
 ある夜、たまたまテレビで見たのが「ミッドナイトクロス」だった。
 さして興味の持てなかったトラボルタが主演だが、サスペンスものというので、それでは見てみようという気になったのである。
 あのトラボルタがどんな演技をするのか…。
 
 
 
 深夜である。
 
 三流映画の効果音を担当している男、ジャック(トラボルタ)が、夜の雰囲気を表現する音を録っている。
 あたりは静寂に満ちているが、集音マイクを使えば、さまざまな「夜の音」を記録することができるのだ。
 
 フクロウの鳴き声…。
 
 大きく鋭いその瞳が、あたりを睥睨している。
 ジャックは、神経を張りつめて、音に集中している。
 
 その時。
 
 どこからか車のタイヤがきしむ音。
 エンジン音。
 それが、一気に激しくなり…。
 
 彼は偶然、交通事故を目撃したのである。
 
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 一部始終を「聴いて」いた彼は、何かが気になる。
 帰宅し、録音テープを調べてみると事故の音に、銃声が含まれていることに気づくのだ。
 
 集音マイクで、いち早く異変を感じていた彼は、ある予感から、音のする方向にカメラを向けていた。
 何枚かの写真が事故を記録している。
 専門技術を駆使して、録音テープをもとに、写真と時間を重ね合わせてみる。
 それを1本にまとめると、貴重な証拠のテープとなった。
 
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 事故が大きく報道される。
 なぜなら、“交通事故”に遭い死んだのは次期大統領候補だったからである。
 
 その車に同乗していて生き残ったのがナンシー・アレン扮する街の女、サリーである。

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 ナンシー・アレンは「ロボコップ」等にレギュラー出演していて顔なじみの女優だが、この「ミッドナイトクロス」の前年には、同じブライアン・デ・パルマ監督の「殺しのドレス」に出演している。役柄もほとんど同様のものであった。
 デ・パルマ監督は彼女の「ちょっといかれているが性格は悪くない」というような街の女の演技が気に入ったのだろう。
 
 
 ストーリーの子細は省くが、「秘密」を知ったジャックは、命を狙われるようになる。
 サリーの協力で真実を明らかにしようとするのだが、ジョン・リスゴー(「ペリカン文書」にも出ていた)扮する見るからに典型的な「殺し屋」が不気味に付け狙うようになる……。

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 あの「キャリー」 (1976/米)、の最後の最後で我々を飛び上がらせたブライアン・デ・パルマ監督は、この映画でもなかなかに魅せてくれる。
 緊張感の持続が素晴らしい。
 
 「殺しのドレス」の前半部分では、アンジィー・ディキンソンが演じた性的妄想癖のある中年女性(彼女は「リオブラボー」1959年作にも出ているんだけど…いったいいくつなんだ)が、延々と撮られていた。
 
 まったく言葉はない。
 事件が起きるまでのカメラワークは、妖しいまでに美しかった…。
 
 
 
 さて、この「ミッドナイトクロス」の結末は、意外なものである。
 あっと驚くというようなものでもない。
 
 ただ、ネットのレビューでは、人によりさまざまな評価があった。
 え?これで終わっちゃうの?と感じる人も多いのではないだろうか。
 
 
 
 「殺しのドレス」もこの作品も、デ・パルマ監督が脚本を書いている。
 「殺しのドレス」では、最後に真相が明らかにされ、結論がつくのであるが、作品としては、前半部分に負うところが大きく、むしろ後半はやや冗漫にさえ思えた。
 
 そして、この「ミッドナイトクロス」は、起承転結の「結」がないままに終えられたような印象さえある。
 
 デ・パルマ監督は「殺しのドレス」の終わり方に不満が残ったのではなかろうか。
 そしてつくられたのが「ミッドナイトクロス」と考えれば、合点がいく。
 
 起承転結の「結」で、可能な限り説明を省いた。
 
 ただ、トラボルタ扮するジッャクのかなしみがある。
 それが見ている者に、じわじわと迫ってくるのである。

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 この映画は、デ・パルマ監督の腕を堪能できる。
 一般的には、知られていない作品かと思うが、個人的には、記憶に残る作品のひとつとなっている。
 
 
 
    ミッドナイトクロス/BLOW OUT
    1981年アメリカ ヘラルド
    監督・脚本 ブライアン・デ・パルマ
    撮影 ビルモス・ジグモント
    音楽 ピノ・ドナジオ
    出演 ジョン・トラボルタ ジョン・リスゴー ナンシー・アレン






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最終更新日  2006.11.16 23:41:21
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