ブログを作る※無料・簡単アフィリ    ブログトップ | 楽天市場
077135 ランダム
不変 (趣味・ゲーム)楽天ブログ 【ケータイで見る】 【ログイン】
月の花

不変

りんは零れた髪を耳にかけた。


誰、これ。


歳はおそらく同じくらいだろう。
精悍な顔立ち、優しく笑うその男・・・
「・・・嘘・・・」
りんは桶を取り落とした。
彼は、右目を布で隠していた。
「嘘なものか」
彼は笑うと、手に握り締めていたものを掲げた。
少し汚れてしまったそれは・・・
りんの目に涙が溢れた。
「切れてしまったのだ。縫ってくれ」
それは庄太の<お守り>。
庄太は笑顔で腕を広げた。
りんは庄太に抱きついた。
「馬鹿庄太ぁ・・・本当に・・死んだかと思ったんだから」
庄太はきつくりんを抱きしめる。懐かしい、りんの匂い。
「牛が・・・里がな、連れて行ってはくれなかったのだ・・・」


か細い呼吸を繰り返す庄太に、あの牛が近づいてきた。
刹那、牛は消え、目の前には哀しそうに笑う里がいた。
「ごめんな・・・里。俺、全部思い出した。連れて行ってくれ、里。お前の元へ・・・」
声にはならなかった。
里はゆるゆると首を振った。そして、ヒマワリのように笑った。
「ありがとう、結太。私、本当に幸せだったよ。結太といれてよかった。結太を好きになってよかった」
里はふいに哀しそうな顔になる。
「本当は、おじいちゃんおばあちゃんになるまで一緒にいたかったけど・・・でも、もういいの。私に囚われないで」
里の優しい声。
少しずつ、庄太の鼓動が力強くなっていく。
体中の痛みがはっきりしてくる。
「結太の中の怒りと憎しみは私が持っていくから。だから、ね。幸せになって」
里は泣いていた。
それでも、里は庄太に微笑みかける。
「誰よりも幸せになってね・・・」
里は優しく庄太の頭を撫でた。
「私が願うのは、それだけだから・・・」


胸に響く、温かい言葉。
そして庄太は生き返った。
「<鬼>はたしかに死んだがな」
そう言って笑う庄太。
りんはそんな庄太を眩しそうに見る。
「誰だか全然わかんなかったよ」
りんの正直な告白に、庄太は笑った。
「一目見て分かるだなんて、そんなよくできた話、あるわけねぇもんな」
桜色の風が流れた。
いつかの日のように。
「帰ろうか」
庄太は優しく笑うと、りんに手を差し出した。
りんにはその意味がすぐに分かった。
「うん・・・!」
りんは迷わず手を握り返した。
庄太の手が温かい。
りんの笑顔が温かい。
何より、通じた想いが温かい。


志乃は優しく笑い、天は庄太に「俺の言葉、忘れんなよ」と大人びた笑いを浮かべた。
庄太とりんは、深々と頭を下げた。
そして2人は歩き出した。
2人の家へ。







手を繋いで歩いて行こう。


共に白髪が生えるまで。


2人一緒に朽ち果てるまで。


其処にあるのは不変と永遠。


限りある命をあなたと2人。


手を繋いで歩いて行こう。


そして、新しい物語を紡いでいこう。






                             <END>


一言、感想をくださると嬉しいです→→→WEB拍手?


こちらの作品は、「楽園」に登録しております。
もし投票なさったのなら・・・はち切れんばかりに喜びまっす♪

「しゃあねぇ、投票してやろうか・・・」←投票画面に飛びます。


感想くれると嬉しいっす★→→→BBS

一言感想★→→→感想

どーぞお気軽に。



<鬼>TOPへ


_______________________________

★最後のあとがき★

ここまで読んでくださった方、ほんとにありがとうございました。
長かった・・・
長かったよ・・・
忠実に再現はできなかったけれど。
コギトはこれが、初・長編完結になります。
心残りなのは「らぶこめ」にならなかったことでしょうか。
でもでも、恋愛を書けないコギトなりにがんばったつもりです。
後、里のことも心残りだったりします。
個人的に里はお気に入りだったので。
ちょっと可哀相だったような気も・・・

ともあれ、拙い文章、雑な話の構成にお付き合いいただき、
ほんとにありがとうございました^^


Powered By 楽天ブログは国内最大級の無料ブログサービスです。楽天・Infoseekと連動した豊富なコンテンツや簡単アフィリエイト機能、フォトアルバムも使えます。デザインも豊富・簡単カスタマイズが可能!

Copyright (c) 1997-2012 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.