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不変りんは零れた髪を耳にかけた。誰、これ。 歳はおそらく同じくらいだろう。 精悍な顔立ち、優しく笑うその男・・・ 「・・・嘘・・・」 りんは桶を取り落とした。 彼は、右目を布で隠していた。 「嘘なものか」 彼は笑うと、手に握り締めていたものを掲げた。 少し汚れてしまったそれは・・・ りんの目に涙が溢れた。 「切れてしまったのだ。縫ってくれ」 それは庄太の<お守り>。 庄太は笑顔で腕を広げた。 りんは庄太に抱きついた。 「馬鹿庄太ぁ・・・本当に・・死んだかと思ったんだから」 庄太はきつくりんを抱きしめる。懐かしい、りんの匂い。 「牛が・・・里がな、連れて行ってはくれなかったのだ・・・」 か細い呼吸を繰り返す庄太に、あの牛が近づいてきた。 刹那、牛は消え、目の前には哀しそうに笑う里がいた。 「ごめんな・・・里。俺、全部思い出した。連れて行ってくれ、里。お前の元へ・・・」 声にはならなかった。 里はゆるゆると首を振った。そして、ヒマワリのように笑った。 「ありがとう、結太。私、本当に幸せだったよ。結太といれてよかった。結太を好きになってよかった」 里はふいに哀しそうな顔になる。 「本当は、おじいちゃんおばあちゃんになるまで一緒にいたかったけど・・・でも、もういいの。私に囚われないで」 里の優しい声。 少しずつ、庄太の鼓動が力強くなっていく。 体中の痛みがはっきりしてくる。 「結太の中の怒りと憎しみは私が持っていくから。だから、ね。幸せになって」 里は泣いていた。 それでも、里は庄太に微笑みかける。 「誰よりも幸せになってね・・・」 里は優しく庄太の頭を撫でた。 「私が願うのは、それだけだから・・・」 胸に響く、温かい言葉。 そして庄太は生き返った。 「<鬼>はたしかに死んだがな」 そう言って笑う庄太。 りんはそんな庄太を眩しそうに見る。 「誰だか全然わかんなかったよ」 りんの正直な告白に、庄太は笑った。 「一目見て分かるだなんて、そんなよくできた話、あるわけねぇもんな」 桜色の風が流れた。 いつかの日のように。 「帰ろうか」 庄太は優しく笑うと、りんに手を差し出した。 りんにはその意味がすぐに分かった。 「うん・・・!」 りんは迷わず手を握り返した。 庄太の手が温かい。 りんの笑顔が温かい。 何より、通じた想いが温かい。 志乃は優しく笑い、天は庄太に「俺の言葉、忘れんなよ」と大人びた笑いを浮かべた。 庄太とりんは、深々と頭を下げた。 そして2人は歩き出した。 2人の家へ。 手を繋いで歩いて行こう。 共に白髪が生えるまで。 2人一緒に朽ち果てるまで。 其処にあるのは不変と永遠。 限りある命をあなたと2人。 手を繋いで歩いて行こう。 そして、新しい物語を紡いでいこう。 <END> 一言、感想をくださると嬉しいです→→→WEB拍手? こちらの作品は、「楽園」に登録しております。 もし投票なさったのなら・・・はち切れんばかりに喜びまっす♪ 「しゃあねぇ、投票してやろうか・・・」←投票画面に飛びます。 感想くれると嬉しいっす★→→→BBS 一言感想★→→→感想 どーぞお気軽に。 <鬼>TOPへ _______________________________ ★最後のあとがき★ ここまで読んでくださった方、ほんとにありがとうございました。 長かった・・・ 長かったよ・・・ 忠実に再現はできなかったけれど。 コギトはこれが、初・長編完結になります。 心残りなのは「らぶこめ」にならなかったことでしょうか。 でもでも、恋愛を書けないコギトなりにがんばったつもりです。 後、里のことも心残りだったりします。 個人的に里はお気に入りだったので。 ちょっと可哀相だったような気も・・・ ともあれ、拙い文章、雑な話の構成にお付き合いいただき、 ほんとにありがとうございました^^ |