2016ゲーム年度 私的ボードゲーム十選
前年のシュピール直後から今年のシュピール直前までの「ゲーム年度」で印象に残ったゲームから10タイトルを選んだ。今年度は長時間かかるゲームを複数回プレイすることが多く(主にパンレガとタイムストーリーズのせい)、独自色を出そうとすると10タイトル選ぶのが困難だったので、有名どころだろうがかまわず選んだ。今年度私が初めてプレイしたゲームから選んでいるので新作とは限らないし、プレイした順に挙げているだけで順位付けなどはしていない。 過去の十選はこちら。2012ゲーム年度 私的ボードゲームベスト10 その1 その22013ゲーム年度 私的ボードゲーム十選2014ゲーム年度 私的ボードゲーム十選2015ゲーム年度 私的ボードゲーム十選●パンデミック:レガシー シーズン1 今年これを挙げないで何を挙げるの枠。これの翻訳を担当できてよかった。レガシーシステムを使ったゲームの現状での完成形。「ドミニオン」がボドゲ業界に大きな影響を与えたとすれば、「パンデミック」は無印とこれで2回影響を与えた。「ボドゲ会で『パンデミック:レガシー』をプレイする」のではない。「『パンデミック:レガシー』をプレイするためにボドゲ会がある」のだ。マストプレイ、マストバイ。これに並び、これを超えなければならないシーズン2の開発は大変だろうが、大いに期待したい。●フードチェーンマグネイト 重篤ゲーム枠。ユーザーにおもねることなく、作りたいものを作ってるだけのスプロッターが、偶然にも(重篤な)ユーザーに広く受けるものを作ってしまった。この奇跡に立ち会えたことに感謝の気持ちを込めて。●タイムストーリーズ ストーリーゲーム枠。同じメンバーでは1プレイしかできず、1拡張ごとに1シナリオしか入っていないという圧倒的コストパフォーマンスの悪さ。その上でなお(シナリオごとに多少の出来不出来はあるものの)面白い、プレイしたいと思わせる完成度の高さは素晴らしい。遅れている日本語版にも期待したい。●ナショナルエコノミー 大当たり同人ゲー枠。同人ゲームはもう全然数をこなしてないが、その少ない中でこんな当たりに出会えたのはひとえに同卓してくれてるメンバーのおかげであり、その選球眼を称えるしかない。少なめのコンポーネント、決して長くはないプレイ時間でずっしり重量級ゲームをプレイした満足感を得られる。素晴らしい。●大いなる文明の曙 大人数枠。まあゲームとしての適正人数は7人くらいだと思うけど、そりゃこれやるならフル人数で全マップ使いたいよねw 値段、物理重量、プレイスペース、プレイ時間、メンバー集めと障害の多いゲームだが、ひとたびボードゲームの道を歩むと志した者ならば、一度はこれを10人以上でプレイして欲しい。●ゾンビサイド:邪悪な疫病 イケてるフィギュアゲー枠。現代ゾンビものにはまったく興味ないんだけど、ファンタジーものとなったら話は別だぜ! その上、クソゲーであることがステータスみたいなところがあるゾンビゲーが氾濫する中、面白いゾンビゲーとなったらもう推すしかない。問題は、デザイナーも気づいてしまったことだな……「ファンタジー世界を舞台にするならゾンビにこだわる必要なくね?」ということにw このひらめきによって生まれた「マッシブ・ダークネス」も当然プッシュしていきたいが、それまでにあと何回かはプレイして元を取った気になりたいねw●ウェルカム・トゥ・ザ・ダンジョン 数年前に「ダンジョン・オブ・マンダム」プレイ済みなので、厳密には初プレイではないが、細けぇことはいいんだよ! 傑作に最小限の手を加えてさらに傑作になった傑作。さすがに来年の十選には選んでられないだろうからここで言及しておくと、拡張の「ウェルカム・バック・トゥ・ザ・ダンジョン」も約束された傑作だよ。●アニュビスの仮面 新時代ボードゲーム枠。VRに限らず、この先スマホなどの要電源デバイスを使ったボドゲは増えるだろう。去年の「工房の錬金術師(仮)」では「あった方がいいがなくてもできる」だったが、これは「ないとプレイできない」なので、さらに一歩踏み込んでる。今は過渡期なので、いくつかは「それはアナログオンリーの方がよくね?」というのが出るし、いくつかは「そこまでやるならデジタルゲームでいいだろ……」というのが出るだろう。その中から、ちょうどいいあんばいの融合を果たしたゲームが出るといいね。きっとこれはその第一作目だ。●パースート・オブ・ハピネス イケてる人生ゲーム枠。どこかで「人生ゲーム」の話になったとき、「あーあれ最高っスよねー。え? 『パースート・オブ・ハピネス』の話じゃないんスか? ふつー人生ゲームっつったらアレっすよー!」と言ってドヤ顔したい。波乱に富んだ生涯を送れる、マジでおすすめの人生ゲーム。●グリズルド 協力ゲー枠からもう一つ。情報共有を制限されてる協力ゲームは、システムに縛られてる感が強くてあまり好きじゃないんだけど、それがテーマの再現に役立ってるなら話は別だ。サポートに関するルールも、同様にテーマに合っててとてもいい。基本ルールだけだとさすがにシンプルすぎるので、ぜひ拡張を入れてプレイして欲しい。 「グロッグ・アイランド」「インハビット・ジ・アース」「エキスポ1906」「クライ・ハボック」「アバブ・アンド・ビロウ」などがその他のノミネート作。いずれも十選ゲーに勝るとも劣らぬ面白さだった。 もちろん、例年通りいかんともしがたいのもあった。以下はそんなボードゲームゴールデンラズベリー賞。もっとがんばりましょう。ベースボール・ハイライト:2045サンダーバード レスキューゲームスペキュレーションダオタイニー・エピック・ウェスタン 今年も大勢の方に遊んでもらいました。あいも変わらず定例会に参加してくれているメンバーに感謝を。去年の反省をまったく生かさず、持ち込みゲーをクソゲー呼ばわりしているのに辛抱強く誘ってくださる一味さん、いたるさん、たむらさんに感謝を。全員のお名前を挙げることはできませんが、オンにオフにとボドゲ関係でお相手していただいたすべての皆さんに感謝を。 拙い和訳を多数採用していただいたホビージャパン様とテンデイズゲームズ様に感謝を。今年は「オーディンの祝祭」が大変でしたが、幸い好評なようで、自分のことのように嬉しく思います。 今後はストーリー型のボードゲームもますます増え、それに伴って翻訳の重要性もますます高まっていくかと思います。日々精進していきますので、またいくつかビッグタイトルを担当させてもらえれば幸いです。パンレガ2とかそろそろじゃないですかね(チラッ 今年のエッセン新作の目玉もいくつか残ってますしね(チラッチラッ 来年もまた面白いボードゲームをたくさんプレイできますように。