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車田のつぶやき

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2010.09.10
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先週、9月3日(金)の「車田のつぶやき」では、「低下一途の流動性が回復に向くよう、主務省が既存の発想を離れて相当思い切った方策を講じなければならない状況になっている。」と最後に書きました。
商品取引会社の業界団体である日本商品先物振興協会(振興協会)における、同業他社との意見交換と振興協会が実施した会員アンケートの結果から、流動性回復に向けた方策についての答えが浮かび上がっています。

現在の流動性低下には複数の要因がありますが、最大の要因は、事前的でありかつ過剰な勧誘規制がなされ、日本の商品市場の流動性の中核となっていた対面取引(営業マンを介しての取引)を行う個人投資家からの取引が減少したことにあります。
2000年代後半に勧誘規制強化を行うに至った背景には、対面取引が顧客との間でトラブルを生じていたことがあります。その限りでは、その時々規制強化をした行政は正しいことをしたと考えていると思います。しかし、もっと長い期間で状況を見ますと、別の構図が浮かび上がります。

さかのぼりますと、1998年の法改正で、「絶対儲かります」と言って顧客に取引を勧めるような問題行為については、これをなくすべく規制を徹底するが、1、勧誘自体と2、勧誘を受けての顧客の主体的意志に基づく取引、については事前的な規制を行わないとして、事後規制が基本的な考えになりました。
トラブル減少のため、問題行為があった場合に「黒(違反あり)でなくても白(違反なし)でなければ制裁」として、自主規制団体である日本商品先物取引協会が会員に制裁するとの、強力な自主規制を行うことになりました。「白でないことをどう証明するんだ」との業界に対して、「顧客とのやり取りを全部テープに録音して、『絶対に儲かる』とは言っていないことを示してください」と行政は説明し、業界も「わかった。やろうじゃないですか」となりました。

このように法改正の際に行うことが決定した自主規制ですが、その後、行政がなぜか消極的になり実現しませんでした。また、問題行為を多発していた会社に対して、改善命令、受託業務停止処分、さらにはそれでも改善がない場合には許可更新拒否(廃業の決定)といった、法律が行政に求めていた処分権限を十分に行使できなかったようです。
この結果、2000年代前半にトラブル減少が達せられず、2000年代後半に事後規制から再び事前規制に転じて勧誘行為を規制するようになりました。

事前的な勧誘規制は、主体的な意思で取引しようとする顧客を制約することにもなります。十分な金融資産があり、商品取引のリスクも理解したうえで取引しようとする高齢者が、「年金受給者、年収500万円未満、75歳以上の高齢者は、原則として勧誘が不適当」とされ、対面取引の会社での口座開設が拒まれる事態も生じました。
一度設定した投資可能資金額(商品取引に投入し得る、損失が生じても支障のない金額)を引き上げるためには、その裏づけとなる預金通帳の写しを顧客に求める、という通常の商慣行と乖離した規制もなされました。これらの画一的な規制が取引の減少につながりました。
また、1998年の法改正の際に夜討ち朝駆け的な過当な勧誘はやめさせようという趣旨で導入された再勧誘禁止が、いつの間にか一度断られたら未来永劫勧誘禁止とされました。
許可を受けた業者がビジネスを行う商品取引であるにもかかわらず、許可を受けない業者が取引を行う訪問販売については、一度断られても1年以上経過すれば再勧誘ができるとされ大きな格差があります。

2011年1月の商品先物取引法(商先法)施行によって、不招請勧誘(勧誘を要請していない顧客への電話、訪問)の禁止が導入されます。これだけの強力な事前の規制を勧誘について行いますので、既に減少しているトラブルがさらに限りなくゼロに向かって減少することが確実です。
振興協会における同業他社との議論の中で、不招請勧誘禁止がなされることに伴って、これまでなされた過剰な画一的な事前の勧誘規制は廃止するよう見直すことが合理的であり、かつ流動性減少を食い止めるために必要との見解に達しました。

また、協会が8月に行った「平成22年度経営状況アンケート調査報告書」によりますと、商先法と金商法の一体化について7割という多数の会員が推進を望んでいます。推進を望む会員がその理由としてあげる最大のものが「市場流動性の回復には証券・金融業界から新たなプレーヤーが商品市場に参入してくることが不可欠であり、そのためには、法を一体化し規制の二重構造をなくす必要があるから」です。

証券会社が商品を新たに取り扱うためには、システム対応のコストのほかに、商先法に対応するために人を新たに雇うというコンプライアンスのコストがかかります。現状の低下した流動性のもとでは、参入した場合に証券会社の既存の顧客が商品取引を行って会社にもたらす手数料収入が限られていると見込まれます。コストをかけるだけの収益が見込めるビジネスにならなければ参入しません。そこで、規制の二重構造をなくして証券会社やFX会社の参入を容易にし、その顧客がもたらす流動性によって市場再生を図るとの考えです。
劇薬ではありますが、これが究極の流動性回復策でしょう。







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最終更新日  2010.09.10 20:56:35


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