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《櫻井ジャーナル》

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2009.07.16
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 今度はCFR(外交問題評議会)でヒラリー・クリントン米国務長官はイラン攻撃の強い意志を表明した。「友人や利権、アメリカ国民」を守るためなら軍事力の使用を躊躇しないというわけだが、イスラエルとアメリカの親イスラエル派がイランへの先制攻撃を画策している現状を考えると、イランの反撃は許さないという宣言に等しい。イスラエルから攻撃を受けた場合には反撃すると明言しているイラン政府への恫喝ともとれる。

 マイク・ミューレン米統合参謀本部議長はイランが核兵器の開発を進めていると考えているのだが、軍事攻撃を最後の手段だとしている。イランを攻撃すれば、中東が今以上に不安定化してしまうと警告しているのだ。

 こうした意見に反発するかのように、イスラエルはこのところ、軍事的な示威行動を繰り返している。イランへの脅しというだけでなく、ガザ地区の戦争犯罪を国連が調査している事実、その調査にイスラエル政府が協力していない事実を隠す効果もあるだろう。入植問題ではアメリカ政府とも対立、イスラエルは追い詰められている。

 過去にもイスラエルがピンチになったことがある。1973年の第4次中東戦争ではアラブ諸国にお株を奪われ、奇襲攻撃で敗北は必至という状況になったのだが、このときに使った切り札が核攻撃だった。核戦争を始めるとアメリカ政府を脅し、支援を取り付けたと言われている。

 つまり、イスラエルは「核兵器」の威力を熟知している。今回もイスラエルはピンチを脱するために何をするかわからない。レーザー誘導爆弾でトンネルを作り、小型核爆弾を撃ち込む計画だとも報道されているが、有りえない話ではない。

 六月には、イスラエルの潜水艦がエジプトの艦船にエスコートされて地中海から紅海へ入った。核ミサイルを発射できるドイツ製のドルフィン級潜水艦だが、さらに2隻の軍艦が紅海へ派遣されている。そのうちハニトは6月に運河を通過済みで、14日に通過したのはエイラット。従来、イスラエルは情報面の理由からスエズ運河を使わなかったのだが、今回はイランへの示威行動ということで、あえて姿を見せたわけだ。

 7月上旬には、サウジアラビア政府がイスラエルのイラン攻撃を容認したと報道されたが、これは直ぐに否定された。実際はどうだったか不明だが、少なくともこうした話をサウジアラビア国民が容認することは考えにくい。実際にイラン攻撃に協力したとなれば、サウジアラビアの王制が倒れる可能性が高くなる。

 エジプトの場合、ガザ地区に対するイスラエルの兵糧攻めに参加していたわけで、イラン攻撃に賛成しても不思議ではない。パレスチナ人国家の建設が交換条件になっているとする話もあるが、イスラエルが入植地を放棄し、パレスチナ人国家を認めるとは到底、思えない。せいぜい認めるのは、アメリカの先住民保留地のような存在だろう。

 実際にイスラエル、あるいはアメリカがイランを攻撃したならば、エジプトで内乱が始まる可能性もある。イスラエルやアメリカの親イスラエル派の中には、核兵器で都市を破壊してしまえば、反撃する気力をなくすだろうと思っている人もいるようだが、これは「希望的観測」にすぎない。

 バラク・オバマ米大統領がカイロでイスラム世界との対話を宣言したとき、クリントンはアメリカのネットワーク局ABCでイランへの先制攻撃にも言及していた。イスラエルを孤立させないための演技なのか、本当にイラン攻撃を望んでいるのかは不明だが、アメリカがイランを攻撃したならば、その影響はイラクの比ではないと見られている。イラン攻撃が実行されれば、『アメリカ帝国はイランで墓穴を掘る』(洋泉社、2007年)ということになる。





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最終更新日  2009.07.17 04:28:37



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