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《櫻井ジャーナル》

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2011.10.25
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 イラクに駐留する4万1000名のアメリカ軍を年末までに「完全撤退」させ、イラク戦争を終結させるとバラク・オバマ米大統領は10月21に記者会見で発表した。来年の選挙を睨み、公約を実現したことをアピールしたいのだろう。

 この発表に対し、ネオコン(親イスラエル派)の議員たち、例えばジョン・マケイン上院議員やジョー・リーバーマン上院議員はオバマ政権の計画を批判している。ネオコンにコントロールされている共和党の有力な大統領候補、つまりミット・ロムニーやリック・ペリーも同じ姿勢だ。

 しかし、オバマ大統領の発言には少なくともふたつの大きな問題がある。イラク周辺を見ればアメリカ軍が存在しているのであり、イラク国内では傭兵(私営特殊部隊)が増派されることになっているのだ。国務省だけでも5500名を雇うとしている。しかもアメリカ政府は「訓練」のために3000名から5000名を残す意向であり、「警備」のための派兵も視野に入れている。

 国務省が契約した傭兵会社は8社。ダインコープ、トリプル・キャナピー、EODテクノロジー、SOC、イージス・ディフェンス・サービシーズ、グローバル・ストラテジーズ・グループ、トレス・インターナショナル・サービシーズ、そしてIDS(インターナショナル・デベロップメント・ソリューションズ)だ。

 IDSはケイスマンと米国トレーニング・センターのジョイント・ベンチャー。米国トレーニング・センターは昨年までブラックウォーター・ロッジ・アンド・トレーニング・センターと呼ばれていた。つまりブラックウォーター(Xe)の関連会社も国務省との契約に成功しているのだが、このブラックウォーターは2007年に17名のイラク市民を殺害して問題になった会社。こんな会社をイラクで仕事をさせるアメリカ政府の腐敗ぶりがわかる。

 この殺人事件に関し、当初、アメリカ大使館やブラックウォーターは武装グループからの攻撃に反撃しただけだと主張していたが、市民側に挑発的な行為が一切なかったことを示すビデオの存在が後に判明している。傭兵がいきなり市民に向かい、無差別に銃撃していたのだ。

 ちなみに、ブラックウォーターを創設したエリック・プリンスはSEALs(米海軍の特殊部隊)の出身で、熱心なキリスト教原理主義者(キリスト教系カルト)としても知られている。プリンスだけでなく同社の少なからぬ重役もキリスト教原理主義の熱心な信者で、何人かは「マルタ騎士団」のメンバーだと吹聴している。

 調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュによると、イラクやアフガニスタンでの掃討作戦を指揮していたJSOC(統合特殊作戦司令部)にも「マルタ騎士団」のメンバーや支持者が多い。例えば、JSOCの司令官を務めたスタンリー・マクリスタル(2003年から08年まで)やウィリアム・マクレイブン(2008年から11年まで)もこの騎士団のメンバーだと言われている。

 この撤退計画に関し、ヒラリー・クリントン米国務長官は訓練を目的としたアメリカ軍の駐留は続き、トルコなどの友好国にもアメリカ軍が存在していると強調、イランに「警告」している。こうした発言もあり、アメリカ政府はイランを本格的に揺さぶるつもりではないかという見方も出ている。

 アメリカの好戦派やサウジアラビアはイランを中心として広がるシーア派のつながりを恐れている。サダム・フセインを排除したことでイラクもシーア派の発言力が強まっているのだが、それだけでなくレバノンやシリアが連携して動くのではないか、ということである。

 そうしたこともあり、アメリカ、イスラエル、そして恐らくサウジアラビアもイラン攻撃のチャンスを狙っている。実際、ジョージ・W・ブッシュ政権の時代からアメリカではイラン攻撃を念頭においた動きも見られる。その一例がイスラエルに対するGBU-28(バンカー・バスター)の提供だ。

 この爆弾をイスラエルが求めたのは2005年。このときはイスラエルと中国との関係を理由にしてブッシュ・ジュニア政権は拒否したのだが、2007年になって09年か10年に引き渡すとイスラエル側に伝えている。そしてオバマ大統領は2009年、問題の爆弾55発を提供したわけだ。

 アメリカの支配体制に変化がない限り、経済的な苦境から脱するためには他国を侵略して略奪するしかない。石油にしろ、資産にしろ、略奪に失敗すれば、戦費負担で体制が潰れてしまう。イラクから軍隊を引き揚げても、それが表面的なものにすぎないのは当然のことだ。考えてみると、支配の経費を被支配者が支払い、自国の資産を自ら進んでアメリカに提供しようとしている日本ほどありがたい存在はない。





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最終更新日  2011.10.26 01:06:09



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