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バラク・オバマ米大統領は海兵隊をオーストラリアへ移動させるようだ。現在、太平洋地域における海兵隊の3分の2は沖縄とグアムに集中、中国のミサイルが高性能化する中、分散させる必要があると判断したと見られている。要するに、アメリカ政府は沖縄の米軍基地に執着していない。むしろ、沖縄に基地が集中している現状を懸念している。
アメリカとオーストラリアは軍事同盟を結んでいる。オーストラリア、ニュージーランド、そしてアメリカのアングロサクソン系の3カ国で1951年9月、日米安全保障条約が結ばれる1週間前に結んだANZUS条約に基づく。ただ、ニュージーランドは反核政策を理由に、防衛上の義務を1986年に打ち切っている。 オーストラリア、ニュージーランド、アメリカは、カナダやイギリスとUKUSA(ユクザ)と呼ばれる電子情報機関の連合体にも参加している。その中心は名前でも明らかなようにUK(イギリス)とUSA(アメリカ)、つまりGCHQとNSAだ。1947年、あるいは48年にUKUSA協定が結ばれた当初はイギリスとアメリカの2国間協定だった。 1972年9月11日にアメリカ政府は軍事クーデターでチリのサルバドール・アジェンデ政権を倒しているが、その際にオーストラリアの対外情報機関ASISも協力したと言われている。この年の12月に行われた総選挙で労働党が大勝している。 首相に就任したゴウ・ウイットラムはASISに対してCIAとの協力関係を断つように命令、翌年の3月には同国の対内情報機関ASIOのオフィスを捜索、UKUSAが使っていたパイン・ギャップ基地の使用期限を延長しないのではないかという懸念が生じた。 そして1975年11月、イギリス女王エリザベス2世の総督、ジョン・カー卿はウイットラム首相を解任してしまう。オーストラリアはイギリスの支配下にあったのだ。ちなみに、カーは第2次世界大戦の最中、1944年にオーストラリア政府の命令でアメリカへ派遣され、CIAの前身であるOSSと一緒に仕事をしている。 ニュージーランドの電子情報機関はGCSBだが、この機関は自国の政府でなく、NSAやGCHQの指揮下にある。組織の中心では、両機関から派遣されてきた人間が活動しているのだ。 1984年から90年にかけての労働党政権の時代、政府はGCSBの活動内容を把握していなかった。つまり、GCSBは国家内国家として機能していた。UKUSAに参加するとは、そういうことだ。アングロサクソン系の5カ国とは違うが、日本もこのUKUSAに加わっていることの意味は重い。 ただ、沖縄の基地問題では、アメリカ政府でなく日本側の思惑が反映されている。これは海兵隊の再編でも明らかだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.11.11 12:36:13
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