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7月からイランの原油を輸入しないとEUの外相理事会は決めたという。アメリカ政府の命令にすぐ従った日本とは違い、EUはこれまで「検討」してきたのだが、とりあえずアメリカ側の要求に屈した形だ。
ただ、アメリカ政府がイラン攻撃に突進しているわけではない。バラク・オバマ政権もイスラエル/シオニストに秋波を送っているが、特に最近、イランをめぐる軍事的な緊張を緩和する動きを見せていることも事実。例えば、オバマ大統領やレオン・パレッタ国防長官は好戦的な言動を続けるイスラエルを牽制、マーティン・デンプシー統合参謀本部議長をイスラエルへ派遣している。4月に予定されたイスラエルとアメリカの合同軍事演習「オースティア・チャレンジ12」は夏まで延期された。また、スンニ派の武装勢力「ジュンダラー(アラーの兵士)」を操っているのはCIAを装ったモサドだとフォーリン・ポリシー誌が伝えたのも偶然ではないだろう。EUへの配慮があるかもしれない。 もっとも、イランに対する強硬姿勢を完全に転換したとまでは言えない。ホルムズ海峡を封鎖するというイラン側の脅しに対し、アメリカは部隊をイラン周辺で増強、アラビア海に複数の空母を派遣している。つまりカール・ビンソン、ジョン・ステンニス(現在はアラビア海から離れている模様)、そしてエイブラハム・リンカーンだ。海峡を封鎖すれば戦争の引き金になるという警告なのだろう。 EUが石油禁輸を決めたからといって、イランが追い詰められたとも言えない。BRICSや非同盟諸国などの中にはイランとの関係を強めている国もある。インドは「金」でイランから石油を購入するもようで、中国も追随しそうだ。追い詰められているのは、アメリカの要求を呑むことになったEUや日本だろう。オバマ政権も苦しい立場だ。 ジョージ・W・ブッシュ政権が始めた戦争だとはいえ、アメリカはアフガニスタンやイラクの泥沼から抜け出せないでいる。しかも、リビアでは新体制に移行した後、ムアンマル・アル・カダフィ派の攻撃が伝えられるようになってきた。バニ・ワリドは「親カダフィ派」に制圧されたともいう。「反カダフィ派」も一枚岩ではない。 世界がリビアの反カダフィ派を見る目が変化してきたことも大きい。彼らが「民主化勢力」ではないことに気づいてきたのだ。NATO軍(英仏米軍)が手を組んだ相手はアル・カイダにつながっていた。しかも英仏米は確信犯だ。 リビアの内乱ではNATOやアル・カイダのほか、カタールも重要な役割を演じた。自国のメディア、アル・ジャジーラを使ってプロパガンダを展開しただけでなく、反カダフィ軍を支援するために数百人規模の部隊を送り込み、武器も提供していたのだ。 カタールの首長はアラブ諸国はシリアに軍隊を派遣するべきだと発言しているが、1月22日にはサウジアラビアのサウド・アル・ファイサル外相も軍隊をシリアへ送り込むように求めている。カタールもサウジアラビアも湾岸の独裁産油国であり、今でも市民を日常的に弾圧している。サウジアラビアの独裁体制を維持するため、アメリカの協力で創設したのが治安機関のSANGだ。こんな国が真の意味で「民主化」や「人権」を求めているはずはない。 カダフィ体制が崩壊した後、アル・カイダ系武装集団のLIFG(リビア・イスラム戦闘団)がリビアで大きな影響力を持つようになり、シリアへも部隊を派遣しているとする情報が伝わっている。
最終更新日
2012.01.24 21:17:21
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