27219989 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

《櫻井ジャーナル》

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

バックナンバー

2012.02.25
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
 昨年の春から続くシリアの内乱は泥沼化しつつある。イギリスを拠点とするプロパガンダ部門とトルコなどを拠点とする軍事部門の両輪でバシャール・アル・アサド体制の転覆を目指しているわけだが、ロシアや中国の抵抗もあり、思惑通りには進んでいないようである。そして、反アサド派がチュニジアで「シリアの友人」なる会議を開いた。

 チュニジアと言えば、「アラブの春」がスタートした国である。2010年12月から11年1月にかけて展開された反政府行動でチュニジアのジン・アル・アビディン・ベン・アリ体制は崩壊した。経済状況が悪化する中、ベン・アリの家族が私腹を肥やしていることがウィキリークスの公表した文書で明るみ出て、この情報が切っ掛けになって反政府行動が始まったと言われている。

 ベン・アリは1987年、「無血クーデター」で実権を握った人物。その際、イタリアの情報機関SISMIの協力を得たという。SISMIがCIAの影響下にあることを考えると、少なくとも当初はアメリカとも友好的な関係にあったと言えるだろう。そのベン・アリ政権もアメリカに見捨てられたわけである。

 体制転覆後の混乱に乗じて主導権を握ったのが組織力のあるサラフィー派/ワッハーブ派など「イスラム原理主義」とも呼ばれる勢力。チュニジアでは教育や女性に対する宗教的な規制/弾圧が厳しくなっている。そのチュニジアに反アサド派が集結したわけだ。

 ワッハーブ派の教義に基づいて国を運営しているのがサウジアラビア。前にも書いたことだが、ワッハーブ派はムスリム同胞団にも大きな影響を及ぼしている。そのムスリム同胞団が1928年に創設された際、スエズ運河会社から資金を提供されているという。その当時、この会社はイギリスの会社になっていた。

 そのイギリスがムスリム同胞団の創設に協力した目的は、帝政ロシアに対抗することにあったようだ。そうした歴史的な背景もあり、ムスリム同胞団は今でもイギリスの情報機関の影響を受けているとされている。つまり、現在、シリアでも反政府運動に参加しているムスリム同胞団はイギリスとサウジアラビアを背景にもっている。

 ウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官によると、2001年9月11日にドナルド・ラムズフェルド国防長官はイラク攻撃のプランを考えろと命令、その数週間後、アメリカ政府はイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランが攻撃予定リストに名を連ねていたという。リビアもシリアも「予定通り」に攻撃されている。つまり、このリストはジョージ・W・ブッシュ政権からバラク・オバマ政権に引き継がれた。

 イギリスとアメリカのアングロサクソン連合、サウジアラビアやカタールの湾岸独裁産油国、そしてフランスはシリアの反政府軍に対する武器供与や軍隊の派遣を主張している。NATO軍が空爆できない現在、別の手段で反政府軍を支援しなければならないわけである。

 シリアの場合、反政府軍に対する支援活動は「平和的抗議活動」とほぼ同時に始まっている。トルコの米空軍インシルリク基地で「SFA(シリア自由軍)」の軍事訓練を始めたのだ。教官はアメリカのCIAや特殊部隊、イギリスやフランスの特殊部隊員だという。

 リビアでムアンマル・アル・カダフィ体制が倒された後、アル・カイダ系の武装集団がシリアへ移動していて、最近ではドイツのシュピーゲル誌もイスラム武装勢力がシリア政府軍と戦っていると報道、上院の軍事委員会でDNI(国家情報長官)のジェームズ・クラッパーは、イラクからアル・カイダの兵士がシリアへ入っていると証言している。すでにシリアの内戦は国際的になり、アメリカは無人偵察機をシリア領空に飛ばしイギリスやカタールは特殊部隊をシリア領内に潜入させているとも報道されている。

 そうした中、サウジアラビアのサウド・アル・ファイサル外相はFSAに武器供与することに賛意を示し、カタールのシェイク・ハマド・ビン・ジャッシム外相はアラブ軍の編成を主張したという。が、そうしたことは秘密裏に行ってきた。より大規模な支援が必要だということなのだろう。こうした強硬策をサウジアラビアは国内でも採用、政府に楯突くと見なされた人びとは徹底的に弾圧されているのだが、「人権」に敏感なはずの欧米諸国の動きは鈍い。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2012.02.26 00:30:00



© Rakuten Group, Inc.