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《櫻井ジャーナル》

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2012.10.06
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 予想されていたことだが、中国での日本車販売台数が激減している。9月の販売台数を前年同月と比較すると、トヨタは約40%減、マツダと日産は約35%減、三菱自動車や富士重工は60%以上の減少になるようだ。自動車の販売台数は明確な数字で出てくるが、日本経済への影響は販売面だけに留まらない。企業の存続に関わる部分がダメージを受ける可能性がある。

 現在、世界の経済はBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)をはじめとする国々を中心に動いている。政治や経済で欧米から自立しようとしていたアフリカではBRICSとの関係を深めてきた。その中心的な存在がリビアだった。

 アメリカ、イギリス、フランスといった国々は湾岸産油国と手を組み、リビアのムアンマル・アル・カダフィ体制を武力で倒すことには成功したが、アフガニスタンやイラクではBRICSの影響力が増している。

 BRICSの一角、中国が日本との関係を深めることはアメリカの支配層にとって好ましいことではなく、この姿勢はリチャード・ニクソン政権から変化していない。中国と友好関係を築いた田中角栄の失脚を偶然だと考えるのはナイーブすぎる。

 現在、中国はアメリカにとっても重要な存在になっている。債券を買ってくれるというだけでなく、中国なしに生産活動は難しくなっているのだ。例えばアメリカのコンピュータ会社アップルは、ハードの生産を台湾/中国の会社に委託している。

 そうした体制を採用した最大の理由は技術力の問題。熟練した労働者やエンジニアの存在、生産の柔軟性といった面でアメリカは中国に太刀打ちできないのだという。

 日本の大企業も優秀な労働者、技術者、研究者を確保することが難しくなっている。いや、そうした労働者、技術者、研究者を育成、確保してこなかったツケが回ってきたと言うべきだろう。目前のカネ儲けに現を抜かし、日本社会を破壊してきた経営者。今度は自分たちが経営する企業の存続を危うくさせているのである。

 現場の声を聞くと、昔から日本の経営者は革新的な技術の開発には消極的で、既存の技術を改良、低価格で売るという方針を崩そうとしていない。2周先を回っているアメリカを追いかけていた1960年代までなら1周先の技術を教えてもらうことができたのだが、技術水準の近づいた今では無理。その結果、日本を追いかけてきた国々の会社と価格競争を強いられ、負けることになる。

 しかも、最近では既存の技術を改良する力も衰えてきた。1990年代から日本では優秀な中小企業を潰し、非正規社員を増やしたことで生産現場の技術力がなくなっているのである。そうした状況へ日本を導いた主因は銀行の救済と円高。

 相場操縦と時価ファイナンス(増資や転換社債など)で低コストの資金を調達する仕組みを1970年代の後半から日本は築いていたが、アメリカの反撃が1980年代の半ばに本格化する。日本にとって大きな転換点になったのが1985年9月のプラザ合意だろう。その直前は1ドル240円程度だったレートが1年後には1ドル150円台へ、そして今では80円を切る水準になっている。

 1988年になると、BIS(国際決済銀行)から逆風が吹いてくる。銀行の保有する信用リスクが問題になり、8%相当の自己資本を保有することが定められたのである。日本の場合は1992年から本格的に適用されるのだが、追い打ちをかけたのが1990年に始まった株式相場の暴落。銀行は資金の回収に走り、優良な中小企業は「貸しはがし」の対象になって倒産していく。

 日本を攻撃しているアメリカだが、この国の衰退も著しい。その象徴的な現象が公教育の破壊。富の集中にともなって貧富の差が拡大、貧困層が住む地域では教育が崩壊、少しでもまともな教育を子どもに受けさせるためには高級住宅街に住む必要があり、その経済的な負担に耐えられず自己破産する人も少なくない。有名私立などへ通わせることができるのは富裕層に限られる。

 そのアメリカを追いかけている日本でも公教育は崩壊しつつある。1996年に第1回目の会合が開かれたCSISの「日米21世紀委員会」は98年に報告書を発表、その中で小さく権力が集中しない政府(巨大資本に権力が集中する国)、均一タイプの税金導入(累進課税を否定、消費税の依存度を高めることになる)、そして教育の全面的な規制緩和と自由化(公教育の破壊)を謳っていた。

 2000年に設置された教育改革国民会議で議長を務めていた江崎玲於奈に言わせると、「いずれは就学時に遺伝子検査を行い、それぞれの子供の遺伝情報に見合った教育をしていく形になって」いくのだそうだ。また、教育課程審議会の会長を務めた作家の三浦朱門は「限りなくできない非才、無才には、せめて実直な精神だけを養っておいてもらえばいいんです。」と語っている。(斎藤貴男著『機会不平等』)いずれもナチスの優生思想を連想させる。

 もっとも、ナチスが優生思想を考えついたわけではない。例えば、古代ギリシャの哲学者、プラトンもそうした考え方をしていたひとりと考えられている。彼は『国家』の中で、「最もすぐれた男たちは最もすぐれた女たちと、できるだけしばしば交わらなければならないし、最も劣った男たちと最も劣った女たちは、その逆でなければならない。」としている。

 プラトンは15世紀、ルネサンスの時代に復活し、その哲学はゾロアスター教と結びつけて理解された。ちなみに、19世紀に活躍したドイツの哲学者フリードリッヒ・ニーチェは『ツァラツストラはかく語りき』を書いているが、ゾロアスターのドイツ語風の読み方がツァラツストラである。

 1970年代、ジェラルド・フォード政権の時代に台頭した新保守(ネオコン、親イスラエル派)の思想的な支柱、レオ・ストラウスはプラトンを研究していた学者。その思想は一種の「エリート独裁主義」で、カルガリ大学のジャディア・ドゥルーリー教授に言わせると、彼は「ユダヤ系ナチ」だ。

 ともかく、日本では「ゆとり教育」という名目でエリート教育を始めた。共通一次やセンター試験の悪影響も指摘されているが、「ゆとり教育」も悪い結果をもたらした。その結果、大手製造会社の研究者やエンジニアは異口同音に「最近の新入社員は使えない」と言う。入試では最難関に分類されている大学でも優秀な卒業生は一握りで、中国やインドでの採用を増やすという声もよく聞く。

 ところが、前原某と石原親子が尖閣諸島の領土問題に火をつけ、中国との関係を極度に悪化させた。その影響は小さくない。工場を東南アジアへ移せば良いという問題ではないのだ。前原某と石原親子はどのように始末をつけるつもりなのだろうか?





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最終更新日  2012.10.07 12:27:45



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