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《櫻井ジャーナル》

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2012.11.09
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 アメリカでは遺伝子組み換え食品が蔓延している。勿論、こうした状況を懸念する人は多く、カリフォルニア州では遺伝子組み換え食品の表示を義務づけるべきかどうかを問う住民投票が実施されたのだが、賛成44.8%、反対55.2%で否決されてしまった。

 実は、10月の初めまで、表示義務に賛成する人は全体の7割近かった。ところが、10月に入ってモンサントをはじめとするバイオ企業は猛烈なキャンペーンを展開、逆転したようである。バイオ企業がキャンペーンに投入した資金は4600万ドルだという。ちなみに、表示賛成派が集めた資金は920万ドル。

 遺伝子組み換え食品の危険性を示す研究もある。例えば、フランスのカーン大学で行われた実験で、遺伝子組み換えトウモロコシを与えたネズミに腫瘍ができ、臓器にもダメージが見られたとする発表が今年の9月にあった。

 モンサントが作り出した「NK603」系統のトウモロコシをネズミに与え、寿命に近い24カ月目の時点で調べると、腫瘍の発生率が対照群では30%だったのに対し、実験群のメスでは50から80%に大きな腫瘍が現れ、早死にの傾向も見られたという。またオスでは肝臓や皮膚に腫瘍が発生し、また消化管での異常もみられたとされている。

 こうした腫瘍の多くは18カ月をすぎてから発見されているのだが、EFSA(欧州食品安全機関)の委員会は90日間(3カ月)の実験しか行わず、「安全」だとしてヨーロッパは輸入を認めたようだ。カーン大学の研究発表があってからロシアでは遺伝子組み替え食品の輸入を停止したと伝えられている。

 これに対し、フランス政府はHCB(バイオテクノロジー高等評議会)とANSES(フランス食品環境労働衛生安全庁)にカーン大学の研究に関する調査を要請、その結果、従来の安全性評価が疑われるような点は何も確認できなかったという。後に自分たちの責任が問われることを避けるためなのか、「このデータでは不十分だ」という言い方をしているが。

 農業国ということもあり、少し前まで、フランス政府は遺伝子組み換え作物に否定的な姿勢を示していた。こうしたフランス側の姿勢をアメリカ大使だったクレイグ・ステイプルトンは懸念し、2007年12月には、長期にわたる「報復」が必要だと政府に進言している。この問題でフランスはカギを握る国で、フランスで遺伝子組み換え作物に好意的な意見を広めることは重要な意味があった。

 こうしたアメリカ政府の働きかけがあることは、ウィキリークスが公表した外交文書で明るみに出た。2007年当時の大統領はジョージ・W・ブッシュだが、バラク・オバマ政権になっても政府とモンサントとの関係を示す文書の公表は拒否されたままだ。

 遺伝子組み換えにしろ、原子力にしろ、巨大多国籍企業の利益に反する発表をする学者は社会的に制裁を受け、場合によっては抹殺される。勿論、ジャーナリストも同じ。伝統的な農業を続けている農民に対する攻撃も激しく、多くの自殺者が出ている。

 こうした中、モンサントをはじめとするバイオ企業の侵略を日本は何とか防いできたが、TPPはその防波堤を一気に破壊することになる。この取り決めが成立したなら、アメリカの巨大企業にとって都合良く金融や経済のルールが変更されるだけでなく、環境汚染や食の安全に関する規制は緩和、あるいは消滅、つまり庶民の生きる権利が奪われてしまうだろう。





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最終更新日  2012.11.10 05:21:04



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