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フランスがマリに軍事介入したという。北部地域を支配しているアル・カイダ系の武装集団、AQIMを攻撃することが目的だというのだが、リビアやシリアでは体制転覆のために利用しているのも同じアル・カイダ系の武装集団だ。
AQIMには、アメリカのAFRICOM(米アフリカ統合軍)を正当化するために使われた過去がある。この統合軍は国防長官だったドナルド・ラムズフェルドが音頭をとる形で2007年に創設が発表され、2008年に活動を開始しているのだが、本部はドイツ。アフリカ諸国からは侵略軍と見なされ、拒否されたのだ。 また、マリでは昨年3月にクーデターがあったのだが、そのリーダーであるアマドウ・サノゴはアメリカで訓練を受けた軍人。マリを不安定化させている黒幕はアメリカやフランスのような「西側」だと疑われても仕方がない。アフガニスタン、旧ユーゴスラビア、リビア、シリアなどと同じように、戦乱で体制を揺るがし、軍事侵攻したり、そのチャンスを狙うというシナリオに見える。 考えてみれば、「イスラム武装勢力」を出現させたのはアメリカ。アフガニスタンにソ連を誘い込み、「ベトナム戦争」を経験させるためにズビグネフ・ブレジンスキー大統領補佐官(当時)らが作り出したモンスターである。(詳しくは拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』を)そうした集団の中からアル・カイダも出てきた。 ブレジンスキーがモンスターを作っていたころ、CIAではOPC(政策調整局)の流れをくむ破壊工作(テロ活動)人脈が整理されていた。そこで、CIAの外部に「民間CIA」のネットワークが作られていく。資金を調達するために武器や麻薬の密輸に手を出していたが、サウジアラビアというスポンサーもいた。 1980年代にイランの一部勢力への武器密輸とニカラグアの反政府ゲリラ支援が発覚、「イラン・コントラ事件」と呼ばれるようになるが、この秘密工作ではアメリカのOPC人脈のほか、サウジアラビアとイスラエルが主役を演じている。 調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュが2007年に書いた記事の中で、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアは協力関係にあるとしているが、遅くとも1980年代にはこの同盟関係は成立していたと言えるだろう。そして、そこにイスラム武装勢力/アル・カイダが加わる。 ユーゴスラビアで「西側」はアル・カイダと同じ側に立って戦っていた。リビアでは地上軍の主力だったLIFGがアル・カイダ系であり、リビアで体制転覆に成功した後、そうした戦闘員がシリアへ移動したことも本ブログでも何度も書いてきた。シリアの反政府軍とは、そうした武装勢力なのである。AQIMへ戦闘員や武器が流れたとしても不思議ではない。 シリアの場合、NATOの空爆はまだだが、すでに傭兵を使って軍事介入中。NATOや湾岸産油国の一部は電子戦での支援だけでなく、特殊部隊を潜入させているとも言われ、今後、NATO軍が前面に出てくる可能性もある。今はイランに揺さぶりをかけている。 リビアのムアンマル・アル・カダフィ体制を倒した理由のひとつはアフリカの統一を阻止することにあった。「西側」のやっていることは中東/アフリカを戦乱で破壊し、細分化して自分たちの利権を維持拡大しようということだ。その延長線上にマリの状況もある。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013.01.13 02:38:12
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