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《櫻井ジャーナル》

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2013.01.18
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 鳩山由紀夫元首相を小野寺五典防衛相は「国賊」だとBSフジの番組で発言したのだという。尖閣諸島は日本と中国との間の係争地だと中国で語ったからだというが、係争地だと認めないということは、この件に関して中国とは問答無用、「中国政府を相手にせず」ということである。

 日本政府は1895年1月に尖閣諸島を日本の領土にすることを閣議決定、この決定を金科玉条のように主張しているのが小野寺防衛相のような人びと。日清戦争の最中の決定であり、しかもこの決定を日本政府は少なくとも正式には公表していないのだが、そういうことは意に介していない。そして翌年の3月に日本が戦争で勝利、中国/清側は文句を言えない状況になった。その後、中国では他国の侵略を受け、内戦もあって国土は荒廃する。

 中国を侵略していた国の代表格が日本だが、その日本は1945年にポツダム宣言を受け入れ、連合国に無条件降伏する。第2次世界大戦で敗北したわけだ。日本の戦後はポツダム宣言を受け入れるところから始まった。

 そのポツダム宣言の第8条には次のように書かれている。

 「『カイロ』宣言ノ条項ハ履行セラルヘク又日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国並ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルヘシ」

 本州、北海道、九州、四国は日本領として認められているが、それ以外は連合国側が決めるとしている。1946年1月に出された「連合軍最高司令部訓令」によると、日本の領土とは4主要島のほか「対馬諸島、北緯30度以北の琉球諸島等を含む約1000の島」で、竹島、千島列島、歯舞群島、色丹島などは除かれている。(孫崎享著『日本の国境問題』)

 そしてカイロ宣言も日本は受け入れなければならない。カイロ宣言には次のようなことが書かれている。

 「第一次世界戦争ノ開始以後ニ於テ日本国カ奪取シ又ハ占領シタル太平洋ニ於ケル一切ノ島嶼ヲ剥奪スルコト」、また「満洲、台湾及澎湖島ノ如キ日本国カ清国人ヨリ盗取シタル一切ノ地域ヲ中華民国ニ返還スルコト」、そして「暴力及貧慾ニ依リ日本国ノ略取シタル他ノ一切ノ地域ヨリ駆逐セラルヘシ」。

 日本が中国人から奪った一切の地域を中国へ返還しろとされているのだが、尖閣諸島は日清戦争のドサクサ紛れに領土だと閣議決定、しかも外部に対しては宣言していない。歴史的な背景を云々かんぬんする以前に、ポツダム宣言/カイロ宣言で日本側の主張は揺らいでいる。少なくとも日本側は中国に対し、「問答無用」と言うわけにはいかない。

 しかし、日本政府は尖閣諸島を係争地でないと主張している。尖閣諸島を自国の領土だと主張する中国の航空機が日本の主張する「防空識別圏」に入ればどうなるのかは明らかだ。その明らかなことを小野寺大臣は1月15日の記者会見で語っている。

記者:「つまり、中国の飛行機が日本のいわゆる領空に入ってきた場合、この警告射撃ということは、ありうるということでしょうか。」

大臣:「どこの国も、それぞれ自国の領空に他国の航空機が入って来て、さまざまな警告をした中でも退去しない、領空侵犯を行った場合、これはそれぞれの国がそれぞれの対応を取っておりますし、我が国としても、国際的な基準に合わせて間違いのない対応を備えていると思っています。」

 尖閣諸島を特別扱いしないことを確認している。当然、状況によっては警告射撃の可能性はあるということ。菅義偉官房長官も16日の記者会見で、国際的な基準に基づいて、尖閣諸島に限らず、一般的に領空侵犯機に対しては、従前通りの厳正な対領空侵犯措置を実施する、と述べている。

 尖閣諸島が係争地でないと主張する以上、警告射撃の可能性があるというのは必然的な結論。係争地でないとする主張が軍事衝突、戦争の勃発を引き起こしかねないことを再確認させる記者会見だった。





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最終更新日  2013.01.19 00:36:05



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