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《櫻井ジャーナル》

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2013.01.19
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 天然ガス関連施設を襲った武装集団の掃討に成功したとアルジェリア政府は発表した。その際に人質7名のほか、武装集団の11名が死亡したという。

 この襲撃を命令したのはAQIMの幹部だったモクタール・ベルモフタール、実行部隊を率いたのはアブドゥル・ラーマン・アル・ニジェリで、部隊はニジェールからアルジェリアへ侵入したと伝えられている。このニジェリは2005年にGSPC(後にAQIMへ名称変更)へ参加し、AQIMの幹部だったモクタール・ベルモフタールと知り合ったという。

 1990年代に入ってから、つまりアフガニスタンからソ連軍が撤退して数年たってからアルジェリアではアル・カイダ系武装集団が体制の打倒を目指して動き始めた。1992年に創設されたGIAは住民を虐殺し、単に社会を破壊するだけ。当然、人びとの支持は得られず、自分たちがより良い社会を築くという理念は微塵も感じさせない集団だった。

 このGIAから飛び出す形で1998年に生まれたのがGSPC。2006年にGSPCはアル・カイダに参加、2007年1月には正式加盟して名称をAQIMに改めた。もっとも、GSPCもアル・カイダもアフガニスタンでアメリカの情報機関/軍から訓練を受けた人びとで構成されているわけで、前からつながりはあった。AQIMはマリに勢力を拡大し、MUJAOが分離する。アンサール・ディーンもAQIMに近い。ベルモクタールはMUJAOに参加しているという。

 また、AQIMと同じ年に正式なアル・カイダになったのがリビアのLIFG。NATO(フランス、イギリス、アメリカ)やサウジアラビアやカタールがムアンマル・アル・カダフィ体制を倒す際、地上軍の主力になったのがLIFGだった。LIFGで戦った戦闘員が武器を携えてシリアへ移動し、体制転覆を目指して殺戮と破壊を繰り返している。この軍事侵攻を「西側」のメディアも「偽情報」を流すことで支援してきた。

 アフガニスタンでイスラム武装勢力が組織されて以来、この勢力のスポンサーはサウジアラビアであり、LIFGと結びついても不思議ではないのだが、それはNATO/湾岸産油国がLIFG、AQIM、アンサール・ディーン、MUJAO、つまりアル・カイダ系の武装集団とつながっていることを暗示する。今回、アルジェリアで天然ガス施設を襲ったという武装グループの背後にもNATO/湾岸産油国が存在している可能性がある。

 1990年のイラク軍によるクウェート侵攻を受けて始まった湾岸戦争を切っ掛けにしてアル・カイダはアメリカと袂を分かったことになっているのだが、イスラム武装勢力は今でもアメリカの同盟国、サウジアラビアに雇われているのが実態。

 アフガニスタンの麻薬取引にしても、その仕組みを作り上げたのはアメリカの情報機関であり、稼いだカネを隠し、洗浄するためには「西側」の金融システムの協力が必要である。BCCI、ナガン・ハンド銀行、ディーク社のような「CIAの銀行」もあったが、今では一般の金融機関が使われているようだ。

 中東/北アフリカで民主化を求めるエネルギーが高まっていることは事実。そのエネルギーが「アラブの春」につながるのだが、そのエネルギーを「西側」がコントロールしている。チュニジアからはじまり、リビア、エジプト、シリアでの蜂起は西側から支援を受けていたのだが、湾岸産油国などでは死人を出すような激しい弾圧にも沈黙してきた。そして今、チュニジアの西にあるアルジェリアだ。

 少なからぬ人が「アラブの春」を資源の支配と結びつけて考えている。例えば、エジプトからギリシャまで、地中海の東側に膨大な量の天然ガスや石油が眠っていることがわかっている。USGS(アメリカ地質調査所)の推定によると、天然ガスが9兆8000億立方メートル、石油が34億バーレルだという。ギリシャの財政破綻は巨大金融機関とファンドが演出しているが、これも調べる必要があるだろう。

 また、リビアのカダフィはアフリカを統合し、欧米から自立させようとしていた。その核になる政策が「金貨ディナール」だったと言われている。貿易の決済でドルやユーロを使わないようにしようという計画だった。

 しかし、アフリカに眠る莫大な量の資源を盗まなくては、欧米を中心にした現在の世界秩序は崩壊してしまう。カダフィ体制はきわめて危険な存在になっていた。そして今、フランス、イギリス、アメリカはアフリカに軍隊を送り込もうとしているのだが、その計画の成否はアル・カイダの活動にかかっている。





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最終更新日  2013.01.20 04:04:50



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