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《櫻井ジャーナル》

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2013.01.21
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 中東やアフリカで戦乱が広がっている。この地域はかつてイギリスやフランスをはじめとする欧米の植民地。第2次世界大戦後はアメリカの影響力が拡大していたが、21世紀に入るとこうした「西側」の国々が保有していた利権が揺らぎ始めた。

 その大きな原因はBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)やSCO(中国、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン)の台頭にある。BRICSはベネズエラなどのラテン・アメリカ諸国もつながり、SCOにはオブザーバー国としてインド、イラン、モンゴル、パキスタンが参加している。勿論、BRICSとSCOを結びつけているのは中国とロシアだ。

 現在、「西側」の国々は揺らぎ始めた利権を取り戻し、さらに拡大しようとしている。そのひとつの結果が「アラブの春」。マリやアルジェリアでアル・カイダ系武装集団が活発に動き始めた理由もその辺にあるだろう。好戦的な雰囲気を高めるためにメディアが果たした役割も忘れてはならない。

 ネオコン(アメリカの親イスラエル派)に支えられたジョージ・W・ブッシュが大統領に就任した2001年の9月11日に大きな出来事があった。ニューヨークの世界貿易センターにそびえていた超高層ビル2棟に航空機が突入、国防総省の本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されたのである。その後、アメリカは中東に軍事侵攻、国内ではファシズム化が急速に進む。

 9/11から10日後の時点でブッシュ・ジュニア政権はイラク攻撃を決定、6週間後にはイラク、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンが攻撃予定国のリストに載っていたとクラーク大将は語っている。

 中東/北アフリカでは中国とアメリカは強力なライバル関係にあるが、経済面で強く結びついていることも事実。いわば、握手しながらナイフを突きつけ合っているような状態である。そうした中、日本は中国との軍事的な緊張を高めようとしている。

 最近の動きを見ると、2010年9月に尖閣諸島の付近で操業していた中国の漁船を、海上保安庁が「日中漁業協定」を無視する形で取り締まり、その際に漁船が巡視船に衝突してきたとして船長を逮捕している。事件当時の国土交通大臣は前原誠司だった。

 2011年12月には、ネオコンのシンクタンクとして有名な「ハドソン研究所」で石原伸晃が講演、尖閣諸島を公的な管理下に置き、自衛隊を常駐させ、軍事予算を大きく増やすべきだと発言、2012年4月には石原慎太郎がネオコン系のシンクタンク「ヘリテージ財団」主催のシンポジウムで講演し、尖閣諸島の魚釣島、北小島、南児島を東京都が買い取る意向を示した。

 7月になると、「尖閣を含む領土・領海で不法行為が発生した場合は、自衛隊を用いることも含め毅然と対応する」と野田佳彦首相(当時)が発言、その翌日には森本敏防衛相も尖閣諸島で「自衛隊が活動することは法的に確保されている」と述べている。8月には日本の地方議員5名を含む10名が尖閣諸島に上陸、日の丸を掲げて中国人を挑発した。

 今年に入ると岸田文雄外相がアメリカを訪問、1月18日に国務省でヒラリー・クリントン国務長官と記者会見している。クリントン長官はアメリカ政府の立場に変化がなく、領土問題に関しては中立の立場だと明言した。そのうえでアメリカ政府は「島々が日本の施政下にあることを認識し、日本による施政を弱体化させることをもとめるいかなる一方的な行為に反対し、全ての関係者に対し、事件が起こることを回避すること、平和的な方法によって不合意事項を扱っていくことを勧めます。」としている。

 しかし、日本のマスコミは領土問題に関してアメリカは中立だという長官の発言を無視している。日本側は長官がもう少し踏み込んだ発言をしてくれると期待していたのかもしれない。

 実は、外相が訪米する前、日本政府は中国を挑発して日中間の緊張を高めようとしている。中国側から攻撃的な反応を引き出し、アメリカ政府に厳しい姿勢をとらせようと思ったのかもしれない。

 例えば、13日に陸上自衛隊の第1空挺団が「離島防衛」のシナリオで訓練を実施して中国を挑発、16日に安倍晋三首相は自民党の河井克行をベルギーに派遣してNATOのアンス・フォ・ラスムセン事務総長に「NATOとの安全保障上の連携強化を呼びかける首相親書」を手渡したという。NATOは中東/アフリカで軍事介入、ロシアや中国と対立しているわけで、中国に対する挑発と見られても仕方がない。

 河井派遣の前日、15日には小野寺五典防衛相が記者会見で「中国の飛行機が日本のいわゆる領空に入ってきた場合、この警告射撃ということは、ありうるということでしょうか。」と記者に質問され、「どこの国も、それぞれ自国の領空に他国の航空機が入って来て、さまざまな警告をした中でも退去しない、領空侵犯を行った場合、これはそれぞれの国がそれぞれの対応を取っておりますし、我が国としても、国際的な基準に合わせて間違いのない対応を備えていると思っています。」と答えている。

 尖閣諸島を特別扱いしない、つまり状況によっては警告射撃の可能性はあるということで、戦争を辞さないとも聞こえる。菅義偉官房長官も16日の記者会見で小野寺大臣と同じ趣旨のことを述べた。

 前原にしろ石原親子にしろ、安倍晋三政権にしろ、ネオコンの強い影響下にあり、バラク・オバマ政権との間にすきま風が吹き込んでいる。ネオコンは中東/アフリカでの軍事行動を推進している勢力。その軍事行動でアル・カイダ系の武装集団と手を組んでいることは本ブログで何度か指摘した通りだ。

 アル・カイダ系武装集団のスポンサーはサウジアラビア。調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは2007年に書いた記事の中で、アメリカ(当時はネオコン系のブッシュ・ジュニア政権)、イスラエル、サウジアラビアは協力関係にあると指摘している。





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最終更新日  2013.01.21 17:46:39



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