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《櫻井ジャーナル》

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2013.02.03
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 4機のイスラエル軍戦闘機がシリアを1月30日に空爆した。アメリカ政府は大量破壊兵器がヒズボラなどの手に渡ることを危惧、イスラエルに攻撃を許可していただけでなく、将来の攻撃も認めていることをレオン・パネッタ国防長官が2月1日に示唆、アメリカ軍の攻撃もありえるという西側の情報機関オフィサーの見方も報じられている。

 オバマ大統領が攻撃に合意したのは、1月22日にアビブ・コチャビAMAN(イスラエルの軍情報部)司令官からワシントンで攻撃計画の説明を受けた後で、同じ時期にイスラエル政府は安全保障担当の顧問、ヤコフ・アミドロールをロシアへ派遣して攻撃を通告していたとも言われている。

 攻撃の2日前、イランはイスラエルに対し、シリア領に対する攻撃はイラン領に対する攻撃だと見なすと警告していたが、ロシア・ルートからイスラエルの動きが知らされていた可能性がある。そうなると、シリア政府も事前に攻撃を知っていたと考える方が自然であり、攻撃された後の対応を検討、反撃を自重したのだろう。トルコの外相がシリアの反撃自重を批判しているのは興味深い。イスラエルの空爆にシリア軍が反撃し・・・別の展開を期待していたのかもしれない。

 攻撃を正当化するために持ち出されたのは、高性能兵器や大量破壊兵器。対空ミサイルSA-17のような兵器が「テロリスト」の手へ渡ることを防ぐためにアメリカはあらゆる手段を講じ、反政府軍がアレッポで「大量破壊兵器」を管理下に置きそうになったなら、アメリカは攻撃する準備ができているという。アメリカ政府はイスラエル側に騙されているのか、騙された振りをしているのか、ということだろう。

 対空ミサイルSA-17や化学兵器。こうした高性能で大量破壊を可能にする兵器が「テロリスト」の手に渡らないようにするため、アメリカはあらゆる手段を講じるとパネッタは語ったというのだが、シリアの体制転覆を計画し、「テロリスト」を雇い、訓練し、武器を提供してきたのはアメリカ、イギリス、フランス、トルコなどのNATO諸国とサウジアラビア、カタールなどの湾岸諸国。

 つまり、NATOと湾岸諸国はリビアに続いていシリアの体制を転覆させようと計画し、「テロリスト」を送り込んでシリアを殺戮と破壊で混乱させ、混乱して危険だからといってシリア領内を攻撃するというわけだ。シリアを攻撃したいだけの話である。シリアを攻撃する口実が大量破壊兵器の存在・・・イラクの場合と手口は同じだ。

 当初、米国政府筋からの情報として、シリアからレバノンを拠点とする武装勢力、ヒズボラへ対空ミサイルSA-17を含む兵器を運んでいた車列が攻撃されたとされたのだが、すぐにレバノン側から国境近くでの空爆はないといる証言が伝えられ、今では取り消されている。軍事基地内に停車中だった車列や研究施設が攻撃されたということになっている。

 この研究施設はイスラエルの戦闘機に破壊される前、反シリア政府軍の攻撃を受けていた。化学兵器、あるいは生物兵器がそこで保管されていて、反シリア政府軍の手にそうした兵器が渡ることを嫌ったイスラエル軍が攻撃したという解説もあるのだが、別の情報もある。実際、そうした研究を行っていたならば、攻撃後にその影響が出てくる可能性が高いのだが、そうした話はいまだに聞かない。

 攻撃された当時、その施設では政府軍が回収した兵器関連の物質を分析していたとする情報がある。その物質はイスラエル製の可能性が高く、イランやロシアで詳しく調査する予定になっていたのだが、イスラエル軍の攻撃でそれは不可能になったという。反シリア政府軍もその物質を回収、あるいは破壊する目的で攻撃したが、失敗に終わり、イスラエル軍が攻撃したというのだ。

 中東/北アフリカの体制転覆プロジェクトでイスラエルが表に出てきたわけだが、これまで無関係だったわけではない。1980年代にアメリカの情報機関や軍がイスラム武装勢力を作り上げてソ連軍と戦わせているが、この工作を含む「イラン・コントラ事件」にはイスラエルもサウジアラビアも連座している。

 ソ連が消滅した1991年の段階でアメリカの親イスラエル派(ネオコン)はイランやイラクと同じように、シリアを攻撃する計画を持っていた。2001年9月11日から6週間後にネオコンが主導権を握るジョージ・W・ブッシュ政権は、イラク、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンを攻撃する計画を作成、2007年には調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュがアメリカ、サウジアラビア、そしてイスラエルの同盟関係を指摘している。

 こうした攻撃プランの節目節目で登場するのがアル・カイダ。アフガニスタンでアメリカなどの国々とアル・カイダは同盟関係にあったことは言うまでもないが、リビアでの工作でこの関係が再び表面化した。シリア、マリ、アルジェリアでアル・カイダを「悪役」として描き、軍事介入の口実に使っているが、説得力はない。





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最終更新日  2013.02.04 03:03:00



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