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《櫻井ジャーナル》

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2013.02.22
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 いわゆる「アラブの春」も一皮むけば、アメリカ、イギリス、フランス、トルコといったNATO諸国やサウジアラビア、カタールといった湾岸産油国による侵略戦争。日米欧の「有力メディア」は「民主化」や「人権」といった単語を連ねて侵略を正当化してきたものの、リビアやシリアの状況がそうした宣伝の嘘を明らかにしている。

 そうした中、イスラエル政府はジェニーなる会社に対し、ゴラン高原の南部396.5平方キロメートルの地域で油田開発することを許可した。とはいうものの、ここは1967年からイスラエルが軍事占領している地域。本来は、イスラエルでなくシリアの領土だ。

 ゴラン高原での油田開発を許可されたのはジェニー・イスラエル・オイル・アンド・ガスという会社で、ジェニー・オイル・アンド・ガスが管理、その親会社はジェニー・エネルギー。

 興味深いのはジェニー・オイル・アンド・ガスの戦略顧問会議のメンバーで、リチャード・チェイニー元米副大統領、多くのメディアを支配し、最近は盗聴事件で責任が問われているルパート・マードック、そしてジェイコブ・ロスチャイルドが名を連ねている。

 マードックとロスチャイルドはボリス・ベレゾフスキー(後にプラトン・エレーニンに改名)と親しいことでも有名。言うまでもなく、ベレゾフスキーはボリス・エリツィン時代のロシアで巨万の富を築いた人物のひとり。「規制緩和」と「私有化」の波に乗り、不公正な手段を使っての蓄財だった。少なくとも一時期、イスラエルの市民権を持っていたことがある。

 エリツィンが退場した後、2001年にロンドンへ亡命、マードックやロスチャイルドと親しくなったのだが、このふたり以外にも「ジャンク・ボンド」で有名なマイケル・ミルケン、ジョージ・W・ブッシュ元米大統領の弟でS&L(アメリカの住宅金融)スキャンダルでも名前の出てきたニール・ブッシュも彼の人脈に含まれる。

 2007年に調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは、アメリカ、サウジアラビア、そしてイスラエルが手を組み、シリアやイランへの秘密工作が行われていると指摘していた。その背後関係を考える上で、ジェニー・エネルギーは無視できない存在だ。イスラエルと同じように、サウジアラビアなる国が作り上げられる際、イギリスが重要な役割を果たしたことも忘れてはならない。

 ところで、イスラエルは第3次中東戦争でゴラン高原を占領した。1967年5月にイスラエル軍がシナイ半島に現れたという情報を受け、エジプトは予備役の兵士に動員令を出し、アカバ湾の封鎖を宣言、6月になってイスラエル軍はエジプトとシリアに対して空爆を開始、一気にガザ、シナイ半島、ゴラン高原、ヨルダン川西岸を占領する。

 その直後、アメリカは情報収集船「リバティ号」を地中海の東部へ派遣するのだが、この艦船をイスラエル軍は攻撃し、その乗組員34名が殺され、171名が負傷している。イスラエル軍は執拗に攻撃したが、沈没する前にリバティ号は遭難信号を発信することに成功し、第6艦隊が動き始める。これを受け、イスラエルは外交攻勢をかけはじめ、結局、アメリカ政府は「誤爆」ということで事件を封印した。

 当時の国防長官、ロバート・マクナマラはリバティ号を攻撃したのはソ連軍だと最初は思ったと証言しているので、リバティ号が遭難信号を出す前に沈没していた場合、イスラエルの軍事作戦が続いて占領地が拡大しただけでなく、米ソ開戦という事態もありえただろう。この当時、CIAのイスラエル担当は、あのジェームズ・アングルトンだ。

 この出来事から46年。イスラエルには公的な文書は例外なく50年後に公開するという決まりがあり、2017年には第3次中東戦争に関する文書も明らかになるはずだった。ところが、2010年にベンヤミン・ネタニヤフ政権は情報公開を20年遅らせることを決めている。今頃、都合の悪い文書を必死に処分していることだろう。

 1967年から現在に至るまで、国連もイスラエルの占領を止めさせることができないでいる。イスラエルの軍事侵略を「国際社会」とやらは、事実上、容認しているわけだ。ガザやヨルダン川西岸での殺戮と破壊に対しても手をこまねいているばかりである。





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最終更新日  2013.02.22 23:55:52



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