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《櫻井ジャーナル》

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2013.03.21
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 キプロスは歴史的に中東や北アフリカに対する諜報活動や軍事行動の拠点としてイギリスやアメリカが使ってきた。そのキプロスが金融危機に陥っている。

 EUは100億ユーロの救済支援をする交換条件として、銀行預金へ課税して58億ユーロを調達するように求めた。当初の案では、10万ユーロ以上の預金には10%、それ以下の預金には6.75%の税率。主要銀行の債券や国債の保有者に負担を求めることはないという。預金者は引き出しにかかり、大混乱になったこともあり、2万ユーロ未満は課税しないことに変更、3月19日に法案が議会に提出されたのだが、否決された。当然のことである。

 この無茶な要求をEUが要求してきた理由のひとつは、預金額の約3分の1が外国人のもので、その大半がロシアやイギリスの富裕層だと見られていることにある。

 何度も書いたことだが、1970年代にロンドン(シティ)を中心とするオフショア市場/タックス・ヘイブンのネットワークが整備され、巨大企業や富裕層はそのネットワークを使って資産を隠し、課税を回避し、マネーロンダリングを行ってきた。その結果、投機市場(カジノ)が肥大化し、人びとが実際に住む社会が破壊されてきたわけである。

 こうした事情があるとしても、今回の課税要求は愚策。結局、庶民からカネを巻き上げることになり、経済活動は破綻する。キプロスの問題も、元をたどれば地下経済が成長させた金融市場の無法取引。オフショア市場/タックス・ヘイブンの実態とともに、金融市場を調査し、情報を開示しなければならない。それが無理なら、現在の経済システムは破綻するしかない。

 議会の法案否決を受け、キプロスのマイケル・サリス財務相はロシアを訪問し、アントン・シルアノフ財務相と会談している。伝えられるところによると、ロシアからの融資25億ユーロの返済期限を5年間延長し、金利を4.5%から2.5%へ引き下げるように求めているようだ。ロシア財務省の情報として、新たに50億ユーロの融資をキプロスは求めているとも伝えられているが、真偽は不明である。

 このほか、ロシアのエネルギー会社、ガスプロムもキプロス支援に興味を示している。本ブログでは何度も書いたことだが、21世紀に入ってから、地中海の東側に膨大な量の天然ガスや石油が眠っていることが知られるようになった。USGSの推定によると、エジプトからギリシャにかけての海域には9兆8000億立方メートルの天然ガス、そして34億バーレルの原油が眠っている。

 イギリス、フランス、アメリカ、トルコ、イスラエル、サウジアラビア、カタールなどがリビアやシリアの体制転覆を目指した理由のひとつは、このエネルギー資源にあったと見られている。

 実は、昨年12月、ガスプロムはイスラエル沖の天然ガス田の開発権争いでオーストラリアのウッドサイド石油に敗れていた。そこでキプロスに興味を持っているようなのだ。

 ところで、キプロスの財政破綻は、銀行がギリシャ国債を大量に抱えていたことが原因だという。ギリシャの財政破綻が波及したのだが、その破綻は金融機関が原因を作っている。つまり、2001年にギリシャが通貨をユーロに切り替えた際、ゴールドマン・サックスが財政状況の悪さを隠す手法を教え、債務を膨らませたのだ。

 ギリシャの問題が発覚した後、ヨーロッパ中央銀行の総裁に就任したのがマリオ・ドラギ。2002年から2005年までゴールドマン・サックスの副会長だった人物だ。そのほかにもゴールドマン・サックスの関係者は多い。

 例えば、アイルランドのピーター・サザーランド元司法大臣はゴールドマン・サックス系列のゴールドマン・サックス・インターナショナルの会長であり、1998年から2006年までヨーロッパ中央銀行役員会メンバーだったオトマール・イッシングはゴールドマン・サックスの顧問。イタリアのマリオ・モンティもゴールドマン・サックスの顧問だ。預金に税金をかける前に、銀行やヘッジファンドなど金融市場の住人を何とかしなければならない。





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最終更新日  2013.03.22 00:12:04



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