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《櫻井ジャーナル》

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2013.03.25
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 日本においても、アメリカにおいても、フリードリッヒ・ハイエクやミルトン・フリードマン教の影響が拡大する中、独占禁止法(反トラスト法)は骨抜きにされてきた。そのひとつの結果として、巨大金融機関の場合は、大きすぎて潰せない、大きすぎて処罰できないということになっているわけだ。

 しかし、3月25日付けの朝日新聞によると、自動車部品をめぐる価格カルテルにかかわった日本メーカーの社員12名がアメリカで収監されつつあるようだ。2011年から昨年にかけて禁錮1年1日から2年を認める有罪答弁をし、今年2月の段階ですでに10名が収監されたという。自動車メーカーにしてみれば、部品メーカーのカルテルは好ましくない。当局としても比較的、気楽に摘発できるだろう。

 価格カルテルの是非は別にして、この出来事はTPPの本質を垣間見せている。本ブログではすでに書いたことだが、TPPとはアメリカの巨大企業が国を支配するための仕組み。ISDS条項によって企業活動や金融システムに対する規制、食糧の安全、環境汚染の防止、労働者の権利保護などを各国の政府や議会で決定することが不可能になり、庶民は巨大企業に生殺与奪の権を握られる。要するに「1%」にとっての楽園、「99%」にとっての地獄をつくろうとしているのだ。だからこそ、TPPは秘密のベールで覆われている。

 今回のケースはTPPと直接関係ないようだが、TPPを導入する戦略という観点から見ると、密接に結びついている。企業活動のありかたもアメリカの支配層が決めるということだ。

 アメリカの描く戦略はラテン・アメリカで行われたことを見ても推測できる。フリードマン流の経済政策を実践に移した最初の国はチリだが、この国では軍事クーデターでアメリカの巨大資本にとって邪魔な人たちを弾圧、虐殺している。そうした中、フリードマンの弟子たちが「私有化」と「規制緩和」を推進したのだ。国有企業を私有化、労働者を保護する法律を廃止、労働組合を禁止、そして外国からの投資を促進、さらに健康保険、年金、教育なども私有化しようと試みている。こうした政策の結果、チリの国内産業はダメージを受けて社会は崩壊、経済の根幹部分を外国の投資家が支配することになった。

 「北」の金融機関にとって独裁者は略奪の必須アイテム。「国」に対して巨額の融資を行い、その資金は欧米にある独裁者の「個人口座」へ流れ、その資金は金融機関の商売に使うことができる。その一方、カネを受け取ったわけでない庶民が借金を返済させられるわけである。手口は「闇金」と大差がない。

 こうしたアメリカ支配層の戦略を承知の上で日本の財界はTPPへ参加しようとしているのだと思っていたのだが、朝日新聞には奇妙なコメントが載っている。「現地がどんな法制度なのかさえ知らなかった。」

 こんな認識で仕事をしていたとは驚きだ。TPPがどのようなものなのか、日本の企業経営者は理解していないと思わざるをえない。この無能な「エリート」が日本の庶民を地獄へ引きずり込もうとしている。

 ところで、記事によると、2011年から昨年にかけて禁錮1年1日から2年を認める有罪答弁をし、今年2月の段階ですでに10名が収監されたという。この話を朝日新聞の記者はどの段階で知ったのだろうか?3月15日に安倍晋三首相はTPPの交渉に参加すると正式発表しているが、その前に情報をつかんでいたのではないだろうか?あるいは、情報の提供者がタイミングを選んだのだろうか?

 菅直人政権にしろ、野田佳彦政権にしろ、安倍晋三政権にしろ、日本をアメリカに隷属させようと必死だ。そのアメリカでは不正行為を続けている巨大金融機関を儲けさせる一方、庶民から富や権利を奪っている。

 庶民を支配する第一歩として行われているのが教育システムの破壊。例えば、最近では、公立学校を閉鎖している。シカゴでは61校を閉鎖すると発表、その影響を受ける生徒は3万人に達するという。

 すでにアメリカの公立学校は崩壊状態で、まともな学校へ子どもを通わせるためには、巨額な学費をとる私立学校でなければ、「高級住宅街」の公立学校へ行かせるしかない。つまり、親には不動産の負担がのし掛かり、個人破産する人も少なくないようだ。このところ、日本でも「教育改革」が叫ばれ、庶民は教育を受ける権利を奪われつつある。

 教育の破壊にしろ、経済犯の摘発にしろ、日本の「エリート」はアメリカに従うしかないようだ。その一方、アメリカの支配層は日本にアメリカ流のシステムを押しつけ、環太平洋を自分たちの「領地」にしようしている。TPPはそのための重要な仕組みである。





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最終更新日  2013.03.26 03:30:35



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