27221253 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

《櫻井ジャーナル》

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

バックナンバー

2013.05.06
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
 現在は賭博の時代である。その主役はヘッジ・ファンドやプライベート・エクイティ投資会社といった投機筋。そうした人びとは株式、債券、石油、穀物、通貨など、さまざまな市場で資金を動かしているが、何らかの価値を生み出しているとは言い難い。

 安く買って、高く売る(あるいは高く売って、安く買う)のが基本だが、現物取引は流行らない。何らかの形で融資を受けて売買する方法は昔からあったが、最近ではデリバティブ取引なるものが盛んになり、投機性が高まった。売買の対象になる物が存在する必要もない。

 賭場全体を考えると、相場が上昇するのは外部から資金が流入しているとき。実社会で富の集中が進み、「カネ余り」になると富裕層は賭場へ資金をつぎ込む。そこで相場が上昇し、みんな、儲かった気になるわけだが、その間、庶民は貧困化していく。庶民が相場の上昇を喜ぶのは滑稽、ということだ。

 相場が上昇しているときは、多くの相場参加者は大儲けしている気分になるが、これは絵に描いた餅にすぎない。賭場への資金流入が細ると相場は天井を打ち、下がり始めるわけだが、そうなると大半の人が大損することになる。

 昔なら、博奕に負けた人間は身ぐるみ剥がれて終わりになるが、最近は「大きすぎて潰せない」という摩訶不思議な議論が罷り通り、庶民から新たに資金をむしり取る形で損を帳消しにする。不正行為が発覚しても「大きすぎて処罰できない」というから呆れる。

 大きすぎて何もできないというなら、解体して小さくする必要があるが、それと同時に金融取引を厳しく規制しなければならない。すでに投機は犯罪の領域へ入り、経済活動や社会を破壊しはじめた。少なくともアメリカでグラス・スティーガル法を復活させ、同様の法律を各国で制定する必要はある。

 そうした投機筋の大手にブラックストーンという会社がある。先日、どこかの新聞が取り上げていた。ピーター・ピーターソンとステファン・シュワルツマンが1985年に設立した法人で、2012年の総資産は約290億ドル、純利益は2億ドルに達する。

 ピーターソンは1973年から84年までリーマン・ブラザースの会長兼CEO(最高経営責任者)を務めていた人物で、ブラックストーンを創設したのと同時にCFR(外交問題評議会)の議長に就任、2007年まで務めている。

 CFRはアルフレッド・ミルナーがイギリスで創設したRIIA(王立国際問題研究所)のアメリカ支部とも見られていた団体で、当初はJPモルガンの影響下にあった。ところが1933年にJPモルガンを中心とするウォール街のグループが反ルーズベルト大統領のクーデターを計画して失敗すると、ロックフェラー系の人々が主導権を握るようになった。

 1969年にピーターソンはジョン・D・ロックフェラー3世、ジョン・マックロイ、ダグラス・ディロンといった金融資本の大物に目をかけられ、72年には商務長官に就任、その翌年にリーマン・ブラザースへ移ったわけだ。

 シュワルツマンはエール大学出身で、ブッシュ親子やジョン・ケリー国務長官と同じようにスカル・アンド・ボーンズ(海賊のマーク)に入会を許されている。この結社の出身者は金融界や情報機関の幹部になるケースが多く、そうしたネットワークにシュワルツマンも組み込まれているのだろう。

 現在はシュワルツマンが君臨しているブラックストーン。大儲けしているのだが、払っている税率は15%だという。アメリカの一般企業は35%と言われているので、かなり低い。大金持ちには巨大な税金の抜け穴が用意されているわけだ。

 ただ、日本の大企業に比べると、税率がそれほど低いようには見えない。中央大学の富岡幸雄名誉教授によると、企業利益相当額に対する法人税納付額の割合は、資本金100億円以上の企業では15〜16%で、法定税率30%の半分程度ということになる。(「税金を払っていない大企業リスト」、文藝春秋、2012年5月号)

 富岡教授以外にも、少なくとも大企業に限ると、日本の法人税は高くないと指摘する専門家はいる。日本も多国籍企業も1970年代にロンドン(シティ)を中心に築かれたオフショア市場/タックスヘイブンのネットワークを利用しているだろう。大企業や富裕層は資産を隠し、課税を回避する抜け穴が用意されているのだ。投機を規制する動きにイギリス政府が反対するの理由は言うまでもないだろう。

 北海油田の生産が落ち込み、リビアやシリアへの押し込み強盗がうまく行っているようには見えない現在、イギリスは資産隠し/「節税」支援業を止めるわけにいかない。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2013.05.07 13:36:41



© Rakuten Group, Inc.