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ひとつの出来事に複数の側面があることは言うまでもなく、現在、中東/北アフリカで続いている戦乱にもいくつかの原因が考えられる。例えば、シオニスト/イスラエルの戦略、エネルギー資源の支配、戦争ビジネスのカネ儲け、経済/金融問題などで、これらが相互に影響し合う。
こうした問題の中で、このところ注目されているのが経済/金融問題。ティモシー・ガイトナー財務次官補からローレンス・サマーズ財務副長官に宛てた1997年11月24日付けの文書が明らかにされたことが切っ掛けだ。 その文書の中でガイトナーはサマーズに対し、金融/証券会社のCEOと連絡をとるように勧めている。その相手とは: バンク・オブ・アメリカのデイビッド・コールター シティバンクのジョン・リード チェース・マンハッタンのウォルター・シップリー ゴールドマン・サックスのジョン・コーザイン メリル・リンチのデイビッド・コマンスキー 巨大な銀行と証券会社で、いずれも「FLG(金融リーダーズ・グループ)」に所属。WTO(世界貿易機関)の金融サービス交渉が最終場面に入った時期にFLGのCEOに会うことは良いアイデアだろうとガイトナーはしている。 この時期、金融の分野で最も大きな問題は何だったかと言えば、グラス・スティーガル法(1933年銀行法)の廃止だろう。1920年代の経験から投機が経済を破壊すると考え、銀行業務と証券業務を分離していた。1933年にアメリカ大統領となったフランクリン・ルーズベルトは金本位制から離脱している。金市場は一部の勢力に支配されていたため、金相場を操作することで通貨を支配することも可能だった。 金融界から見ると、この規制はカネ儲けにとって邪魔な存在。「新自由主義経済」、つまりレッセ・フェール的資本主義が1970年代から「人気」になり、「規制緩和」と「私有化」が推進された。イギリスでは1986年に金融市場で規制緩和、いわゆる「ビッグ・バン」が実施され、アメリカではグラス・スティーガル法の無力化が進み、99年の金融制度改革法で完全に撤廃されている。 1990年代の後半から2000年代のはじめまで、日本でも金融の規制緩和が実行されている。銀行業務と証券業務の分離を止め、顧客への責任転嫁を推進、デリバティブのような投機性の高い商品を扱えるようになった。その前提とされた情報開示の徹底は実行されていない。その典型例が東京電力だ。 WTOのFSA(金融サービス協定)によって、金融取引を各国政府が独自に規制することが困難になり、巨大銀行のデリバティブ取引も受け入れざるをえなくなった。本ブログでも何度か書いたことだが、金融/投機は経済を破壊する。現在、経済が比較的に順調な国はFSAのくびきに拘束されていない。 ひとつの国がWTOに立ち向かうことは難しいだろうが、いくつかの国が団結したなら不可能ではない。「西側」がBRICSを敵視する一因はここにあるだろう。2001年にアメリカ政府が攻撃リストに載せたイラク、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンにもそうした側面がある。南アメリカ諸国も団結に向かっている。日本が東アジアで団結を阻もうとしている理由は言うまでもないだろう。 「西側」が湾岸の産油国と手を組み、アル・カイダを使って体制を転覆させたリビアの場合、ムアンマル・アル・カダフィはアフリカをひとつの共同体にしようと考え、「金貨ディナール」を導入して貿易の決済に使おうとしていたと言われている。ドルとの決別である。 こうした服わぬ国をアメリカは軍事力で制圧しようとしている。そうした中で「アラブの春」も現れた。勿論、TPPも巨大資本が世界を支配する仕組みの一部にほかならない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013.09.06 00:18:15
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